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Bardoxolone methyl

ASNのLate-Breaking Clinical Trial SessionでBardoxolone methylの臨床試験結果(フェーズ2)が発表されていました。2型糖尿病によるCKD患者に使われ、eGFRがおよそ 30 ml/minから40 ml/minに半年以内で改善したそうです。Bardoxolone methylはいわゆるanti inflammation modulatorsのひとつで、Nrf2を誘導することが知られています。Nrf2は酸化ストレスを抑制するマスターと言われています。Nrf2 と腎不全に関する動物実験もこの記事のほかにも多く報告されています。
antioxidants.jpg
糖尿病も腎不全も酸化ストレスが関わっているので、抗酸化薬を使用する治験が行われているのは納得ですが、まさかeGFRにこれほどの改善がみられるとは想像もしていませんでした。ちなみに実際のGFRは測定されなかったようです。また、記憶が正しければたんぱく尿は減少していなかったと思います。来年度にはこの薬のフェーズ3治験が行われるようです。個人的には組織学的な変化がみられるのかどうか、腎生検が気になります。いずれにせよ、臨床レベルでめったにブレイクスルーのでない腎臓領域で、こういったニュースはうれしいものです。また、daily dialysisとnocturnal dialysisの臨床試験結果はASNでの発表直後にNEJMに詳細公開されました。

波戸 岳
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ラシックスは一日何回処方していますか?

Lasix (Furosemide) はループ利尿薬ですが、その作用機序はヘンレ上行脚におけるNKCC2(Na-K-2Cl)carrierのCl-siteを阻害することにより尿中へNaClを排泄します。極量を使用した場合、糸球体からろ過されたNaの20-25%を尿中に排泄することができる強力な利尿薬です。またヘンレ上行脚はCa2+ がNaClの取り込みに伴って受動的に再吸収される部位であるため、ループ利尿薬の使用によって尿中Ca2+ 排泄も促すことも特徴です。
shouben.jpg
ところで、ループ利尿薬をNa+の排泄目的で使用する場合注意すべき点は、通常1日1回の使用では、一日当たりの尿中Na+排泄量はラシックスを使用しないのと同じであるということです。この図は人に一日当たり270meq、120meq、20meqのNa+を摂取させ、ラシックス40mgを一日一回投与した結果を示しています。棒グラフは6時間間隔です。ラシックス投与前は、ほぼ尿中Na+排泄=経口摂取ですが、ラシックスを投与すると最初の6時間で尿中Na+排泄は急激に上昇します。ところが塩分を多く摂取(左グラフ)するほど以後Na retentionが起こり、実質の尿中Na+排泄は投与しない場合と同様になることが示されています。一方、極端に塩分制限をした場合(右グラフ)、尿中Naの実質排泄はラシックス1回でも十分に得られることが分かります。ループ利尿薬で十分なNa+排泄を達成するには
1) 塩分制限をすること(もっとも理想)
2) ラシックスを2回/日以上投与することが必要なことが分かります。
LasixはLasting six hoursからきているので、2回以上投与するようにできています。

ところで腎不全ではループ利尿薬の投与量を増やす必要があります。その理由は、ループ利尿薬は近位尿細管から分泌されヘンレ上行脚に達しますが、腎不全があると蓄積した馬尿酸塩などのorganic anionと競合しlasixの尿細管での分泌を阻害するためです。
腎不全では1回あたり最大160mg程度を一日3-4回まで増加させることによりよいレスポンスが得られると示されています。

T.S
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Urine Protein-to-Creatinine Ratio

尿蛋白の測定に24時間蓄尿でなく、スポット尿蛋白/Creatinine比をよく使用します。例えばこの比が3であった場合、その患者は一日おおよそ3 gramsの蛋白尿がでているととらえます。このurine protein/creatinine ratioは過去10年で非常に頻繁に使用されるようになったにも関わらず、この比がなぜ使われているのか意外に知られていないように思います。二つポイントがあると思います。
urine cup.jpg
1)人間のcreatinine排泄量は1 gram/day
我々人間は偶然にもおおよそ1 gram/dayのcreatinineを尿中へ排泄するため、これを分母にとったdimensionlessな比が成立します。もちろん体格、性別、人種などにより実際のcreatinine排泄量は多少前後します。体格の良い男性で24時間蓄尿creatinine排泄量が1.5 grams/dayだったとすれば、本当はurine protein/creatinine x1.5と1.5倍した比を使ってフォーローしたほうが正確なわけです。

2)Steady stateの理解 
このurine protein/creatinine ratioは腎機能が低下していても同様に使用されています。これはGFRが低下していても、おおよそ1 gram/dayのcreatinine排泄が維持されるというassumptionに基づいています。なぜGFRが低下していてもcreatinine排泄量が変わらないのでしょうか?血中creatinine値が上昇していれば、ろ過されて尿中へ移行するcreatinine濃度も上昇します。その結果、GFRが低下していても総creatinine排泄量は維持されるためです。非常にlooseな説明ですがこれがsteady stateという概念です。
我々のGFRが100/day、血中creatinine濃度が1、そして筋肉などからのcreatinine産生量が一日100だととします(Day 1、例えばの話なので単位は無視してください)。これで一日のcreatinine産生量と排泄量が釣り合っています(下表)。ところが、GFRが100から20に低下した場合、その日の尿中へのcreatinine排泄量は20のみになります(Day 2)。一日creatinine産生量100は変わりません。その結果、余分なcreatinine 180が体に残り、血中creatinine値が上昇します(Day 3、Cr 2という数値は任意)。しかしながら、下表のように、やがては一日creatinine産生量と排泄量が一致して、血中のCr濃度上昇がストップします(at the cost of high serum creatinine)。
table.jpg
このsteady stateという概念は非常に大切だと思います。例えば、CT造影剤によるAKIでは通常数日後にcreatinineが上昇します。多くのレジデントは、造影剤投与後、腎機能が持続的に悪化しているのでcreatinineが徐々に上昇してくると思っているようです。しかし実際には、CT造影剤投与直後に一気にGFRが低下して、GFRはその後プラトーに近い状態になっていると考えられます。Steady stateを理解するのに良い例だと思い、ここにあげてみました。

波戸 岳
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Salt Secretion(MDIBL: Origins of Renal Physiology)

Origins of Renal Physiology のコースでとても印象的だったのがsalt secretionのモジュールです。一般的に海水魚は主に塩を排出し、淡水魚は水を排出することにより周囲環境から身を守っています。海水の浸透圧は1000 mOsmと高く、魚(bony fish)はえらから塩水を分泌してこの浸透圧下に適応します。ところがサメやエイなどのElasmobranch(軟骨魚類)は塩水を主にCl-チャネルを有するrectal glandから分泌します。
rectal gland.JPG
Rectal glandはとてもユニークな構造をしています。血管側(basolateral)に NKCC2 transporter、Na-K-ATPase、K チャネル、CNP(C-naturetic peptide)などいくつかのトランスポーターやレセプターがありますが、分泌側(apical)にはATP依存性のCFTR(Cl-チャネル)しかないため、Cl-分泌の重要な実験モデルとなります。またこの器官は一つの動脈と静脈でfeedingされているため扱いやすいという利点もあります。
ここではdogfish sharkのrectal glandを摘出し、adenyl cyclaseやphosphodiesterase:PDE阻害薬を投与することによってATP↑からCl-の分泌を観察しました。また、NKCC2はループ利尿薬、Na-K-ATPaseはOuabain、Kチャネルは臭素で阻害可能ですから、こういった薬剤を投与することによって腎臓に存在する重要なトランスポーターの機能を見ることもできます。

軟骨魚類の多くは血漿の浸透圧が海水と同様に高く、ureaは350-400mOsmと極めて高値です!これは海水の高浸透圧環境から身を守るためですが、尿毒症の症状はないのでしょうか?実はこの高いureaは軟骨魚類の細胞が正常に機能するためには必須でることが分かっています。すなわち浸透圧をurea以外で高く保った環境においても細胞は正常に機能しません。きっと彼らには、高いurea濃度を要しかつそれから身を守る物質があるのでしょう。これが何かを解明できれば人の尿毒症の治療に応用できるかもしれないですね。それとも、ureaは尿毒症物質ではないのかもしれません。

Bull sharkやAtlantic Stingray (エイ) は海水のみならず淡水でも生きていけます。彼らは淡水環境(浸透圧の低い)にいくと、浸透圧差から水分をより多く吸収しますが、腎臓(糸球体と尿細管)が頑張って水を排出していて、rectal glandの機能も極めて抑制されます。Bony fishと違い、軟骨魚類は体液管理に関しては腎臓が大きく関与していることが分かります。Bull sharkは淡水で産卵しますが、これは他のサメから子供を守るためとされています。塩水、淡水の両方で生きていける環境適応機能の高い魚は生存能力が高いのです。

T.S
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MDIBL Origins of Renal physiology: Fluorescence microscopy

一週間の限られたコースで多様な実験系に触れることができるように、モジュールにより様々な工夫が凝らされていました。中でもfluorescence microscopyは多くのモジュールで使われました。
1)蛍光標識を付与したイヌリンによるGFRの測定
2)蛍光標識+Na+/phosphate co-transporter (NaPi-IIa)を移入したcell lineを使用。NaPi-IIaのtraffickingを観察しました。ここではPTH、ドーパミン、actin阻害剤などを使用しました。
3)Chloride sensitiveな蛍光標識を付与したNaKCCトランスポーターを移入したcell lineを使用。ここでは細胞外の電解質や浸透圧をかえて、細胞内のCl濃度の変化をみました。細胞内Cl濃度や細胞内ボリュームの変化などがNaKCC1の活性化に影響を及ぼすことが知られています。
4)3)の実験系ではさらにFluorescence Resonance Energy Transfer (FRET) も使用。NaKCCのN-末端のアミノ酸の位置の変化に伴い、トランスポーターが活性化/不活性化するのを、FRETを使い示していました。

FRETの詳細は、スペースの都合上今回省略しますが、非常にneatな技術で、まさかMDIBLで使われるとは予想していませんでした。Confocal microscopy, multiphoton microscopyなど蛍光標識を利用した技術は広く使われているので、今後また触れることになると思います。今回は一例として、two photon microscopyを使用した生きたマウスの腎尿細管をアップロードしてみました。最初のムービーはstackとしてとった写真をVoxxというフリーのソフトウェアを使い3次元化したものです。核をHoechst(青)で染めた以外はautofluorescenceによる色です。


2番目のムービーでは、全く同じフィールドを使ってイヌリン(黄色)を頚静脈に投与、その数秒後に低分子デキストラン(青)を投与しました。間質はperitubular capillaryによってほぼ全てが占められ、血球が勢いよく流れているのがわかるとおもいます。


波戸 岳
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小児の肥満増加と高血圧

以前アメリカ人の肥満の多さについて触れましたが、こんなニュースがあったので紹介します。
childhood_obesity.jpg
もともと、ウェストバージニア州の人は一般のアメリカ人口より心疾患による死亡率が20%も高いといわれていますが、その実態を調査したCARDIAC (Coronary Artery Risk Detection in Appalachian Communities) というスタディーから分かったショッキングなことは、この地域の小学校5年生の2割は高血圧だということです。このうち肥満児の高血圧罹患率は33%とさらに高く、小児の肥満増加とそれに対して小児の生活習慣病要素 (血圧、血糖、脂質) のスクリーニングや食生活の改善の必要性を強調しています。
日本で小学校5年生の子供が糖尿病を発症したら誰もが1型糖尿病を想像するでしょうが、アメリカの実態は1型だけではなく2型糖尿病がかなりの割合で増加傾向にあります。彼らのほとんどに家族歴もありますが、すでに体のサイズが大人と同じかそれ以上であることが多く、生後から幼児期にかけての食事の重要性を感じます。
健康な食事に興味を示す人もいれば全く興味ない人とさまざまですが、食育の重要性をこの国でどう広めて行けるかというところなのでしょうが難題は山積みです。CDCは塩分に関して、塩分摂取量を9g程度 (ナトリウム換算2.3g)を推奨していて、40歳以上、高血圧歴、黒人のいずれかである場合(アメリカ人の2/3はこれに当てはまる)は6g (ナトリウム換算1.5g)に抑えるべきとしています。
この塩分制限を行動に移した都市がいくつかあり 、CDCはその都市に対しawardを出したようです。
実際にどのようなことをするとかまだその結果は出ていませんが、受賞条件はCDCにはこのように書かれています。Activities could include working with restaurants and food service suppliers, grocery stores, schools, hospitals and government facilities to develop low sodium food policies, and media campaigns to help raise awareness of the dangers of too much sodium in the diet.

はたしてうまく行くでしょうか? Processed food (冷凍食品、缶詰、その他ファストフード) への塩分制限が最も有効なのでしょうが、やはり食事量の多さが問題です。 基本的には食べる量を減らすと塩分のみならずカロリーの接種も抑えられるので、レストランのお皿にのる食事量を減らせば(お代も減らす)よさそうですが、アメリカでこの概念を受け入れてもらうには時間がかかりそうです。なにしろ、アメリカのレストランガイド誌のZAGATの高評価をもらうには質だけではなく、量がアメリカ人のおなかを満たさないとダメといわれていますので。。。

T.S
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糖尿病薬によるCKD患者の血糖コントロール (その2)

ビグアナイド薬は、腎障害患者では、排泄が遅延し、血中濃度が上昇して乳酸アシドーシスを起こす可能性があります。ビグアナイド薬にはいくつかの薬がありますが、日本では、すべて軽度腎障害でも禁忌になっていました。その理由は、ビグアナイド薬は、当初、重篤な腎機能障害を禁忌と設定されましたが、軽度腎障害の患者も乳酸アシドーシスを起こしやすい状態であるとして禁忌になりました。
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そこで、海外で販売されている「グルコファージ®」を国内に導入し、メトグルコ®として承認され、ビグアナイド薬の中でこの薬だけが軽度腎障害にも使用できます(中等度腎障害では禁忌)。一般的に軽度腎障害はCcr 50~80 mL/min、中等度腎障害 Ccr 30~50 mL/min、重度腎障害 Ccr 30 mL/min未満です。米国での添付文書では、「Renal Insufficiency: In patients with decreased renal function (based on measured creatinine clearance), the plasma and blood half-life of metformin is prolonged and the renal clearance is decreased in proportion to the decrease in creatinine clearance. Contraindication: Renal disease or renal dysfunction (e.g., as suggested by serum creatinine levels ≥1.5 mg/dL [males], ≥1.4 mg/dL [females] or abnormal creatinine clearance) which may also result from conditions such as cardiovascular collapse (shock), acute myocardial infarction, and septicemia.」と記載されています。
ビグアナイド薬を処方されている中等度腎障害で、臨床上問題を認めない患者もいます。米国では、添付文書に従い、血清クレアチニン濃度で男性 1.5 mg/dL以上、女性 1.4 mg/dLでビグアナイド薬は必ず中止しているのでしょうか。それとも、アシドーシスやeGFRなどを指標にしているのでしょうか。

日本大学医学部附属板橋病院
腎臓高血圧内分泌内科 岡田一義
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糖尿病薬によるCKD患者の血糖コントロール (その1)

腎排泄性の糖尿病薬は、腎機能の低下とともに減量したり、インスリン治療に変更しますが、日本と米国で適応が異なる薬があります。
速効型インスリン分泌促進薬を進行したCKD患者に投与すると、血漿中薬物未変化体濃度の消失半減期が延長し、低血糖を起こす可能性があり、日本では、因果関係がはっきりしていないもののナテグリニドの重篤な腎障害患者への投与により、低血糖昏睡や死亡例があり禁忌になっています。米国の添付文書では、「No dosage adjustment is necessary in patients with mild-to-severe renal insufficiency」と記載されており、特に注意喚起されていません。一方、日本では、ミチグリニドは重篤な腎障害患者へは慎重投与になっており、透析患者にも使用されています。
rosiglitazone.jpg

 インスリン抵抗性を改善するチアゾリン誘導体(ピオグリタゾン)は、日本では、重篤な腎障害があると禁忌ですが、米国の添付文書では、「The serum elimination half-life of pioglitazone, M-III, and M-IV remains unchanged in patients with moderate (creatinine clearance 30 to 60 mL/min) to severe (creatinine clearance < 30 mL/min) renal impairment when compared to normal subjects. No dose adjustment in patients with renal dysfunction is recommended」と記載されており、腎障害患者でも減量せずに、透析患者にも投与されています。日本で禁忌な理由は、製薬会社が治験を実施しなかったためと思われ、我々は、倫理委員会の承認を得て、血液透析患者から文書で同意を得た上で臨床研究を行い、ピオグリタゾン30 mg/日を12週間投与し、蓄積性を認めませんでした。ピオグリタゾンは、透析患者の血糖コントロールやインスリン抵抗性が改善するだけではなく、総コレステロール・中性脂肪・血圧・TNF-α・IL-6、HS-CRPが低下し、HDL・アディポネクチンを上昇させる上、エリスロポエチン投与量を減少させます(1)(2)
海外で広く普及する薬を国内でも早期に使用できるようにすることを目的に厚生労働省が2009年に公募した未承認薬・適応外薬に、生命予後を改善する可能性が高いピオグリタゾンを申請しました。検討会議の結果、学会や患者団体から要望のあった374の医薬品のうち109品目(未承認薬 50品目、適応外薬 59品目)が「医療上の必要性が高い」と判断されましたが、ピオグリタゾンは「検討中」の129件に入っているのではないかと思います。

同じチアゾリン誘導体であり、日本では未発売のロシグリタゾンは、ピオグリタゾンより、LDL粒子数の変化が大きく、HDL上昇が少なく、中性脂肪を上昇させます。メタ解析により、ロシグリタゾンは心筋梗塞の発症を増加させるため、FDAは2007年に、ロシグリタゾン(商品名:アバンディア)の黒枠警告に心筋虚血リスクに関する項目を追加したと聞いています。また、高齢者において、ロシグリタゾンはピオグリタゾンより脳卒中・心不全・総死亡が多いことも報告されました。北米で行われたACCORD trialにおいて、通常血糖管理群のチアゾリン誘導体内服率は58.3%(ロシグリタゾン57.3%)、厳格血糖管理群の内服率は91.7%(ロシグリタゾン91.2%)と、ロシグリタゾンは依然として多くの患者に使用されています。米国では、ピオグリタゾンは1999年から発売されており、2005年前後よりロシグリタゾンの処方数を上回ったと聞いています。

日本大学医学部附属板橋病院
腎臓高血圧内分泌内科 岡田一義
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Renal physiology: Glomerulotubular Balance

前回少し触れましたが、糸球体でろ過された大量の水と物質の大半は再吸収されなければなりません。そして、GFRは毎分毎秒変動します(これについては今度詳細述べたいと思います)。GFRに応じて尿細管で再吸収されるボリュームが微調整されなければ大変なことになります。例えばGFRを100 ml/minとした場合、一日144 Lろ過されることになります。ところが99%近くのボリュームが再吸収されることにより、最終的な尿量は通常1 – 2 L/dayになります。もしもGFRが103 ml/minとわずかに上昇して尿細管再吸収の微調整が起こらなかった場合、一日のGFRは148.3 Lとなるため、尿量は5 – 6 L/dayとなってしまいます。このような劇的な尿量の変化を防ぐためにいくつかのメカニズムがありますが、そのひとつがglomerulotubular balanceです。よくtubuloglomerular feedback (TGF) と混同されがちですが全く別の概念です。
peritubular capillaries.jpg
Glomerulotubular balanceは、GFR の増加/減少とともに近位尿細管での再吸収も増加/減少して、糸球体と尿細管での水分バランスを維持する、というその名の通りの概念です。糸球体でのろ過が増加するほどperitubular capillaryに行く血中の蛋白質が濃縮されますが、それによるcapillary oncotic pressureの上昇がglomerulotubular balanceの主な機序と考えられています。また、capillary oncotic pressureはGFRとrenal plasma flow (RPF)との比(GFR/RPF = filtration fraction)に依存していることが明らかかと思います。このfiltration fractionが上昇するほど尿細管での再吸収が増加します。

例えば、心不全では一般にfiltration fractionが上昇していることが知られています。Renal plasma flowは減少していても(ポンプ不全やカテコラミン上昇などから)、GFRは維持されるためです。塩分過多ではなおさらです。利尿剤を使ってもむくみが取れず、心不全がいっこうに改善しない例がありまずが、その理由のひとつがこのglomerulotubular balanceです。糸球体と近位尿細管の間を過多の水分がずっと再循環しているようなイメージです。

波戸 岳
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Water Homeostasis (MDIBL Renal Physiology Course )

赤血球(RBC)は腎臓髄質の毛細血管など高浸透圧の環境を通過する際、どうやって身を守っているのでしょう?RBCの細胞膜にはアクアポリン(AQP)とよばれる水チャネルがあるため、細胞内外の水の動きを調節できていることが関係しています。現在では多くのAQPチャネルが腎臓を含め体内に広く存在し、水の再吸収およびosmoregulatorとして機能していることはよく知られていますし、この赤血球にある水チャネル(AQP-1)を発見したPeter Agreはノーベル化学賞を受賞しています。
RBC.jpg
このモジュールではいくつかのおもしろい実験を行いましたが、今回はRBCがさまざまな浸透圧物質(sucrose、urea、glycerol)によって水がどう移動するかを観察した実験を紹介します。詳細はこのコースのdirectorであるZeidel先生がAgre先生と20年前に行った実験結果 に記されています。
実験方法はStopped-Flow Fluorimeterとよばれる光散乱分析装置(RBCが膨張すると散乱が抑制され、縮小すると散乱が増強される)を使用してRBCを高浸透圧下において水の動きを観察します。最初はsucrose液(高浸透圧)にRBCをいれると予想通り細胞外に水が移動しRBCは縮小します。次にsucroseではなくureaやglycerolを使用して同様の浸透圧を作ると水の動きはあまりありません。ところが、RBCを1M urea(1100 mOsm)でincubateしたのち、0.5M urea + NaCl (1100 mOsm)下におくと、RBCは縮小します。 そしてphloretin(Urea transport 阻害)やHg2+(AQP阻害)下では細胞外への水の動きは遅延します。これからわかることは、1)RBCはUrea透過性であること 2)transporterはphloretinやHg2+で阻害可能であること 3)Ureaやglycerolは有効な浸透圧物質ではないことがわかります。
xenopus oocytes.jpg
AQPが水透過性であることはXenopus Oocytes(カエルの卵母細胞)を使用した実験でもよくわかります。この細胞はAQPがなく、水透過性がありません。ところが、AQPのRNAを卵母細胞に注入すると、細胞膜にAQPが発現し、水透過性が増加します。
Toad bladder.jpg
Toad bladderはAQPが発現しているため、この膀胱を水で満たし、さまざまな浸透圧の溶媒に入れて、ADHを投与することによりその膀胱容量を観察する実験も行われました。

さまざまな方法により水の動きを観察できるよい実験だと感じました。

T.S
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