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Clinical J-1ビザでのリサーチとその制限

フェローシップ中にリサーチをすることは、多くのプログラムで重視されおり、義務化されているところも数多くあります。腎臓内科のフェローシップは通常2年間で、その間にリサーチも行いますが (Fellows schedule)、所属するプログラムの条件によっては3年間、もしくは4年間の研修が可能です。通常、3年目以降の研修ができるかどうかは、プログラム、もしくはフェロー/メンターの資金次第となり、この資金源は、グラントがとれるかどうかに関わってきます。グラントを獲得するのは至難の業ですが、グラントを書くこと自体が良いトレーニングになるので、フェローシップ中にグラントにチャレンジする価値は大いにあると思います。ちなみに、National Kidney Foundationの資金が尽きたため(サポートしていた会社が倒産)、American Society of Nephrologyがかわりに立ち上げたフェローシップグラントが、今後腎臓領域では一番の頼りどころになると思われます(おそらく成功率は他のグラントと同様10%台あたりと、厳しいことには変わりないと思います)。
grant.jpg
アメリカで臨床に従事している日本人レジデント、フェローはClinical J-1ビザで渡米している方が多いと思います。フェロー終了後もアメリカに残ってリサーチを続けたいと希望する場合、ここでClinical J-1ビザの制約に直面します。まず、J-1 waiverをこなさないといけません(もしくは、時間と条件が合えばO visaに切り替えるのが、現実的には”2 year rule”を乗り越える別の策かと思います)。J-1 waiverをこなしながらリサーチを続けるためには、本当の僻地に行くわけにはいかないので、VA(退役軍人病院)で職を見つけるのが良いと言われています。VAはVA独自のグラントシステムを持っていて、研究をサポートしてくれます。しかし、自分の研究テーマと合致するVAが見つからないかもしれませんし、そもそもVAの研究スポットは空いていないことのほうが多いので、適したVA職を見つけるのは容易ではありません。さらに、VAはwaiver終了後のグリーンカード申請をサポートしないので、本当にアメリカでphysician scientistとしてやっていこうと考えている場合、長期的には問題があります。ある移民弁護士が冗談まじりに、”They (VA) need you, but they don’t like you.”と言っていました。National Institute of Health (NIH)も政府組織なのでwaiverができるとの噂を耳にしたことがあり、実際に尋ねたことがありますが、Clinical J-1 waiverをNIHでリサーチしながらこなすというのは、受け入れていないそうです。

そうなってくると、市中の病院でJ-1 waiverをこなしながら(waiverは意外に多くの都市部でも可能)、臨床片手間に研究室に通いつつリサーチを続ける、という策を考えますが、今度はグラントに応募できないという制限に直面することになります。なぜならば、グラントが取れた際には通常7, 8割の時間を研究に割くことが条件なのですが、J-1 waiverをしているとそのようなな時間が取れないからです。

ビザの種類が何であれ、外国人であるということ自体が、グラント応募時には大きなハンディキャップになります(もちろんアメリカ人からみれば、その制限は理にかなっていると言えますが)。フェロー終了後に応募できるグラントは各種ありますが、応募資格の規定に、アメリカ市民、もしくはグリーンカード保持者のみと指定されていることが一般的です。ビザでも応募できるがアメリカ人を優先する、と明記しているグラントも多くあります。アメリカでキャリアを築くために重要なNIHのKシリーズ(Career development grants)もアメリカ市民権が必要です。通常、臨床に関わっているM.D.が応募するのはK08 (basic research)かK23(clinical)です。R00/K99だけは市民権不要ですが、これはPh.D.ベースのスーパースター達が、今にも独立できる状態で応募してくるので、臨床にも時間を割いているM.D.にはとても歯が立ちません。また、応募資格がフェロー終了後5年以内なので、J-1 waiverを3年間もしているとあっという間にチャンスを失います。

まとめますと、Clinical J-1ビザはその名の通り、臨床トレーニングのために設けられたビザなのだと言えます。

波戸 岳
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SLED(sustained low efficiency dialysis)

急性腎障害(AKI)の治療に関してはここ50年、透析方法、透析量にかかわらず死亡率は大して改善していません。血行動態の不安定なAKIはICUでの管理が必要になります。AKIは透析を要さない場合と、体液過剰による呼吸・心不全/電解質・酸塩基異常/尿毒症症状などともなった症例など、透析が必要な場合に分かれます。透析方法は1) 間欠的血液透析(IHD)2)持続的血液透析(CRRT)と3) SLEDがあります。血行動態が安定していればIHDを行うことができますが、不安定な場合、CRRTやSLEDを選択するべきです。あまり聞きなれないSLEDとはなんでしょう、そしてそのメリットとデメリットは何でしょうか?
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SLEDは通常の透析よりも血流・透析液ともに低く設定され、長時間、頻回に血液透析を行うものです。除水量もIHDよりも透析時間が長いため緩除になります。例をあげると、IHDが週3回、各4時間、血流400ml/min、透析液800ml/min程度であるとすると、SLEDは週6回、各8時間、血流200ml/min、透析液350ml/minといった処方になります。SLEDは通常の血液透析器を使用し、透析ナースが管理し、抗凝固は通常使用しません。メリットは通常の透析器で行えること、透析膜や回路等はCRRTのそれよりも安価であること、通常の透析ができるナースがいれば可能であること。デメリットは、ナースがこの患者のために余計に必要であること、除水による血行動態の変化はCRRTよりも大きいことと抗凝固は使用しないことが多いため回路凝固が1/4程度あることです。(アメリカではnafamostat(フサン)は認可されていません)

一方、CRRTは持続的に透析濾過を行う方法ですが、血流は100-300ml/min、透析量はIHDにくらべ極めて低く20-35ml/kg/hr程度になります。CRRTは専用の透析器/透析膜/透析回路を使用し高価で、ICUナースがこの管理方法を習得している必要があります。メリットは余計に透析ナースを要さないこと、24時間で投与した輸液や体液過剰を除去するため体液管理が容易であること、抗凝固はクエン酸を使用することが多く回路凝固の頻度はSLEDよりも低いことなどが上げられます。デメリットはCRRTを管理するスキルを持った施設(ICU)とICUナースが必要であることとコストが余計にかかることです。

IHDでもCRRT/SLEDを選択してもAKIの生命予後に変わりがないことはたくさんのstudyからわかっています。コスト、抗凝固や溶質除去に関してSLEDの利点を主張する小さなstudyもありますが、最近では透析量の多い少ないにかかわらずAKIの予後に差がないことが示されています。 ICU管理を要する重症のAKI患者にCRRTはとても便利なわけですが、そういった設備や環境を備えていない場合SLEDという透析方法もあります。

T.S


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Nitrogenous end products (part 2)

2.尿素

アンモニアよりも毒性がかなり減少します。そのため、アンモニアよりも何十倍も高い濃度の尿素を血中に維持することが可能です。これはまた、水へのアクセスが悪い哺乳類が、水をセーブしつつ窒素を排泄するのにも都合が良いです。哺乳類の他に、カメ、カエルなども尿素がメインの窒素代謝産物です。我々哺乳類の腎臓髄質では、尿素を浸透圧調整物質としても利用しています。しかしながら、以前触れたように、高濃度の尿素は有害です。また、エネルギー効率で言えば、尿素を産生するには、アンモニアと同等の窒素を排泄するよりも4 ATPから5 ATP余分にかかります。
余談ですが、尿素を扱ったことがある方はご存知だと思いますが、尿素粉末を水にまぜると水の温度が一気に下がります。アイスパックなどは、この反応を利用しています。また、高濃度の尿素中に組織をつけておくと、組織が透明になり、顕微鏡で深部までみることができるようになります。これは日本のグループによって数ヶ月前のNature Methodsに発表されました。自分も実際に試したところ、autofluorescenceの強い腎臓も、だいぶ透き通ってみえるようになりました(何週間もかかりますが)。
gout.gif
3.尿酸

尿酸は、腎不全以外にも高血圧や炎症など、各分野で話題を集めているようです。尿酸は抗炎症作用も言われていたり、その良し悪しについては議論の分かれるところです。今年のアメリカ腎臓学会で尿酸のセッションを聞いてきた友人は、尿酸値とIQには相関関係があるらしいとまで言っていましたが(尿酸値が高いほどIQが高い)、私は真実のほどを確認できていません。
尿酸を最終代謝産物とする代表的な動物には鳥、爬虫類、昆虫があげられます。鳥はよく痛風になり、獣医にはなじみのある疾患とも聞いています。尿酸を産生するためには、尿素よりもさらに多くのATPが必要ですが(12 ATP versus 4 ATP)、利点としては、尿素よりもさらに毒性が低いことがあげられます。また尿酸は、水溶性が極端に低いため、濃縮して結晶化した形で排泄することが可能です(車に付着した鳥のフンは尿酸の塊です)。この濃縮化は、陸上にすむ生物にとって、水をセーブできるという点で尿素以上に優れています。同等の窒素代謝物を排泄するために必要な水の量を比較すると、アンモニアを1とした場合、尿素は1/40、尿酸は1/100程度の水で済むと言われています。
毒性や水の観点から進化の過程を推測すると、アンモニア→尿素→尿酸となりそうですが、なぜ哺乳類は尿酸を最終代謝物としないのでしょうか?憶測の域をでませんが、ATPのコストを含めた総合的なバリューは、ほぼ尿素と尿酸で同等なので、どちらでも良かったのかもしれません。尿酸は結晶化して窒素代謝物が拡散しないので、鳥、爬虫類、昆虫など卵から産まれる動物は孵化する前に、尿素よりメリットがあると考えられています。

そもそもornithine-urea サイクルは、進化の過程でアンモニア代謝にとってかわるものとして出現してきた、と考えるのは正しくないようです。早期に出現した魚もornithine-urea サイクルを遂行する遺伝子を全て持っていた、と一般的に考えられています。事実、現存する魚をみると、サメ、エイ、Toadfish (MDIBL Origins of renal physiology (GFR))、 Lungfish (Extremophiles)などはornithine-urea サイクルを使い尿素を産生しますが、サケ、バス、コイなどはornithine-urea サイクルに関わる遺伝子の一部に欠損があり機能していません。各種魚の出現時期と、機能しているornithine-urea サイクルの有無には一定の関係がなく、水中ではアンモニアの排泄で間に合っていたために、ornithine-urea サイクルが欠損しても生存に影響を及ぼさなかったのかもしれません。ちなみに、多くの一般的な魚(bony fish)は尿酸、allantoin経由で尿素を産生することもできますが、メインの排泄経路ではありません。また、我々人間はuricaseを欠いているので、この経路からの尿素産生はしていません。

波戸 岳
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Professional Development Seminar (その2)

医療やサイエンスはきわめて発展の早い分野ですが、それに携わる科学者や医師の多くは時代遅れのアプローチを取っていることが多いことに警鐘を鳴らすレクチャーがありました。サイエンスとビジネスにおけるイノヴェーションは同等のレベルで考えていないことが多いわけですが、その最大の理由は医師は多少生産性が悪くても職を失わないからなのだと個人的に思います。
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科学者に必要なinnovation/motivationに関してDan PinkがTEDで面白いプレゼンをしていますのでみてください。あるアイデアから始まり、実験、薬の開発、治験、実用化とサイエンスはもはや独立した分野ではなく、ビジネスと大きくかかわっています。遺伝学や臨床治験データなど膨大な情報量の共有、実験は同時に多数の人間とコラボレーションをし、その行程を場合によってはアウトソースしたりする。ボスから与えられた研究テーマを地道に一人ラボで行うのは21世紀のアプローチではなくなっているのかも知れません。発展する科学をリードする科学者に必要なのは1) Autonomy (自主性) 2) Mastery (精通性) 3) Purpose (目的)をしっかりと備えていること。そしてこのプレゼンでも繰り返し出てきますが ”There is a mismatch in what science knows and what business does”というのは事実かもしれません。

実際、医師や科学者がinnovativeになるにはどうしたらよいかということに関しては難しいのですが、ここでも出てくるグーグルの話は我々にとって大事な要素だと思います。グーグル社員は勤務時間の20%を“仕事と全く関係のない”ことに費やすようになっていて、実際、彼らの新しいアプリケーションやアイデアの半分はこの20%の“全く関係のない”時間から生まれているそうです。日々の診療や研究に忙殺されている医師や科学者にとって容易な課題ではないのですが、世界経済が落ち込み、リサーチに費やされるお金もカットされている今、"innovative mind" を持ち続けることは大変重要なことだと思います。

T.S
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Nitrogenous end products (part 1)

たんぱく質は、細胞の形態維持から酵素まで、生命の全ての局面において重要な働きを担っています。事実proteinとはギリシャ語でforemostを意味します。今回は、たんぱく質、アミノ酸代謝から生じる窒素の排泄に焦点をあててみたいと思います。アミノ酸代謝が糖、脂肪代謝と異なる点のひとつに、我々はアミノ酸を将来のために貯蓄することができないことがあげられます。余分な糖は肝臓、余分な脂肪は脂肪組織に貯蓄されるのに対し、血液中を循環している不要なアミノ酸(窒素)は捨てられる運命にあります。
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我々人間は、ornithine-urea サイクル経由で産生された尿素を介して、窒素の大部分を排泄します。核酸プリン体はアミノ酸と代謝経路が異なり、尿酸として排泄されますが、絶対量は多くありません。大部分(95%) の窒素排泄物はたんぱく質、アミノ酸由来です。もちろんクレアチニンなど他の物質としての窒素排泄も存在しますが、絶対量は微量です。他の動物に目をむけると、クモやダニなどはguanineとして排泄したり、ダンゴムシ(pillbug)のようにアンモニアガスを噴出したり珍しいものもいます。しかしながら、広く一般的に動物の窒素排泄方法は、以下の3つにまとめることができます。
1.アンモニア/アンモニウム、2. 尿素、3. 尿酸

1.アンモニア/アンモニウム
最も原始的な排泄方法です。周知のとおり、アンモニア/アンモニウムは体に蓄積すると有害です。理由の一つとして、アンモニウムとカリウムは水の中で似た特性を持つために、Na-K-ATPaseを含めたトランスポーターに非特異的に入り込み、その結果、特に脳神経細胞において問題となります。“似た特性”というのはionic radius, hydrodynamic radius, mobility to H2Oなどを指し、私の理解の範囲を超えます。アンモニアそのものの毒性よりも、アンモニア過多によりglutamateとalpha-ketoglutarate間の反応のバランスがglutamateに傾くことがトラブルの原因ともよく言われています。例えば、1)glutamateが浸透圧物質として作用すること、2)glutamateが脳のNMDAレセプターを刺激すること、 3)TCAサイクルの一物質であるketoglutarate減少によるATP欠乏、などがあげられます。

アンモニアはトラブルのもとにもかかわらず、多くの魚にとって、アンモニアが窒素の最終代謝産物です。理由は1)アンモニアは尿酸や尿素をつくるよりもエネルギー効率が良いこと(少ないATPで産生可能)、2)魚は水中で生活するので、常に鰓からアンモニアが拡散するため、体内への蓄積が抑えられる、の2点があげられます。魚は哺乳類よりはるかに高濃度のアンモニアに耐えられる、といわれていますが(2 mM versus 50 uM/L)、臨床的意義は不明です。
上記のアンモニウムとカリウムの類似性は、必ずしもネガティブな影響を及ぼすわけではありません。腎臓の近位尿細管でつくられたアンモニアが遠位尿細管にたどりつくためにも、アンモニウムとカリウムの互換性が利用されていると考えられています

次回は2.尿素、3.尿酸についてふれてみます。

波戸 岳
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Professional Development Seminar (その1)

先日アメリカ腎臓学会のプレコースの一つのProfessional Development Seminarに参加しました。2日間にわたって、「Nephrologistとしてのキャリアの作り方」を中心にいろいろdiscussionされました。腎臓内科医として中長期キャリアプランの立て方、clinician scientist/clinical educator/private practiceの選択 、グラントの仕組み、リーダーシップ/innovation、面接で必要なこと、論文やグラントの書き方、プロモーションに必要な要素、contractやsalaryの交渉術など含め、多くの分野についてレクチャーや小さなグループセッションがありなかなか良い経験でした。また1:1mentoringといって、各参加者が経験のあるmentorたちと個人的に面談をし、自分のCVや将来のvisionについてカウンセリングを受けられるセッションもありました。

腎臓内科は以前にも書きましたが、米国では比較的人気のない分野になっています。理由はたくさんありますが、驚くことに多くの人は進路決定を医学生のうちにするということです。腎臓内科を考慮したが最終的に選択しなかった人の多くには「腎臓生理がわからない」「透析は複雑」といった意見が多いそうです。腎臓内科医に限りませんが、医師は学生や研修医を「教え方」を正式に教わりません。「~がよくわからない」という学生や研修医のレスポンスの理由の一因は教える側にも少しあるのかなと思いました。医師のためのフォーマルな「教え方」に関するトレーニングがResidencyやFellowship中にあってもいいのかもしれません。
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プロモーションに関してアメリカははっきりしていますね。教授(準教授)になるには1)…2)…と事細かにどの大学(病院)のwebsiteに書いてあります。日本ではないですよね。どのような基準で選抜されているか不透明な日本の教授選と違って、アメリカはわかりやすいですしfairです。こちらではCVに年齢を書く必要もありませんし、promotionの要素を満たしていれば誰でもeligibleなわけで、年功序列はありません。アメリカは日本の医局制度と違いがあるのも関係していると思います。私のいる大学の腎臓内科プログラムは小~中規模ですが、教授、准教授それぞれ6人、講師はその倍程度ですから、教授1人、準教授2人…とピラミッド型の日本の医局とはまったく違います。また最近はclinical educatorなどがclinician scientistと同等な位置づけにどこの施設でもなりつつありますが、彼ら「教えること」がメインの人たちを正当に評価することがいろいろなプログラムで課題となっています。次回はこのセミナーでいろいろ議論された「医師/科学者がinnovativeであるには」について書いてみます。

T.S
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Nephrology Blogs

American Society of Nephrologyを含め、public awarenessを広めるためにfacebookなどソーシャルメディアを利用している学会や団体が増えています。今回はいくつか腎臓に関するブログを紹介したいと思います。
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1.Renal Fellow Network  
当時腎臓内科フェローだったNate Hellmanが創設し、驚異的な頻度で質の高いブログを更新していました。彼はアメリカ人としては珍しく海外での留学経験を持ち、非常に優れたPhysician Scientistで、将来の腎臓内科を担う人物として期待されていましたが、予期せぬ脳出血にて急逝しています。彼はzebrafishモデルを用い、ハーバードにて腎臓発生の研究を精力的に行っておりました。昨年のASNで彼のボスが講演の最後に故Dr. Hellmanの写真とともに謝意を表していたのが印象に残ります。現在このブログは現フェローやファカルティーによって維持されています。 

2.The Kidney Doctor
自分の知る限り、今世界で最も質の高い腎臓内科のブログです。Dr. Ajay Singhがほぼ毎日更新しています。彼は CHOIRをはじめ腎不全や貧血の分野における臨床研究で有名ですが、それ以上に教育者として腎臓内科に多大な貢献をしていると思います。ハーバードでのNephrology Board Review Courseの主催者であり、いくつかBoard Reviewに関する本も出版しています。
話がやや逸脱しますが、Dr. Singhはブログをうまく利用していると思います。彼のブログの総閲覧数は、会員のみしか閲覧できない腎臓専門のジャーナルに記事を一本書いた場合よりも、はるかに上回っていると思います。彼のブログの”Editorial”は、editorial without editで、あくまで彼個人の意見ですが、非常に考えさせられる内容に富んでいます。特に数ヶ月前にNEJMに掲載された透析の間隔に関するシンプルなスタディー
から派生したいくつかのブログ記事は、特筆にあたると思います。このスタディーの内容は腎不全患者とその家族を含め、透析に関わる全ての人に知っていただきたいと思います。1), 2), 3), 4)

3.American Journal of Kidney Diseases
最近はAJKDのようなジャーナルもブログを始めています。

4.Renal Association Education
UK発のブログです。

5.HemoDoc
Dr. Lairdは透析患者、医者としての視点を日々発信しています。彼はNextStageを使い、家で毎日透析しています(透析病院での週3回透析ではなく)。
他にもいくつも興味深いブログが存在しますが、その大半はRenal Fellow Networkのリンクにて含まれているので、そちらを参照してください。

波戸 岳
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SIADH (続)

血漿Na 115meq/Lの患者にNa 154meq/Lの輸液をすると血漿Naは上がりそうなものですがどうでしょう?SIADHでは比較的一定したADHの分泌があるため、尿浸透圧も一定しています。尿浸透圧が一定であると仮定し、生理食塩水1Lを投与すると、308mosmの溶質(NaCl)は453mlの尿に排泄されることになります。(308mosm÷680mosm/kg=453ml)
したがって、投与した生理食塩水1Lの残り547mlは自由水として体内に貯留することになります。
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実際Naがどのくらいになるか計算してみます。
体内総溶質=total body water (TBW) x 血漿浸透圧
   =0.5(♀)x 60 kg x 2 x 115
=6900 mosmol
547mlの水貯留はTBWを30+0.547= 30.55Lにあげますので、上記式から逆算すると
血漿Na= 総溶質÷2 x TBW
= 6900÷61.1=113 meq/L
と生理食塩液投与前のNaよりも低くなることになります。SIADHにおいて血漿Naをあげるには、尿浸透圧よりも高い浸透圧の輸液をする必要があります。

では1026mosmol/Lと高浸透圧の3%NaClを1L投与するとどうなるでしょう?1026mosmolの溶質は1500mlの尿として完全排泄されることになります。(1026÷680=1.5L)したがって、3%NaClを1L投与するとnet自由水500mlを体外に排泄できたことになります。よってTBWは30-0.5=29.5となり、上記式から
血漿Na=6900÷29.5 x 2 = 117 Meq/L
とわずかですが、血漿Naをあげたことになります。これらの実験からNaの上昇を妨げているのは高い尿浸透圧であることがわかります。

では尿浸透圧をループ利尿薬を使用して300mosmol/kgに下げた状態で3%NaClを1L投与したらどうでしょう?同じように、1026mosmolの溶質は3400mlの尿に完全排泄されることになります。(1026÷300=3.4L)したがって、この場合net 2.4Lの自由水を体外に排泄できたことになり、TBWは27.6Lとなるはずです。よって
血漿Na=6900÷27.6 x 2 = 125 meq/Lとより効率よくNaをあげることができます。

SIADHで血漿Naを補正する際に気をつけるべき点は、尿浸透圧が高いと補正が難しいということです。

T.S
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SIADH

低Na血症でも管理が難しいのがSIADHです。
真のSIADHはコンスタントにADHが分泌されているので尿の浸透圧が高く一定していることが多いです。治療は自由水制限、最近はV2R antagonistもあります。ひどい場合3%NaClやループ利尿薬などを使用します。
1.gif
ここで例題をみてみましょう。

60歳女性、small cell lung Caの診断、意識障害で入院。体重60kg。以下のデータからSIADHと診断。
Plasma Na: 115meq/L,
Plasma osm: 240mosmol/kg
Urine osm: 680mosmol/kg
U-Na: 62meq/L
尿量:1L

問題:この方がeuvolemicであると仮定して、1Lの生理食塩水(Na154 meq/L: 308 mosm/kg)を投与すると血漿Naはいくつになるでしょうか?

このthought processは大事ですので、ぜひ多くの方のコメントお待ちしています。

T.S
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Crossmatch testing (I)

腎臓移植の際には、拒絶のリスクを減らすために、クロスマッチを必ず行います。Terasakiらが40年以上前に確立したcomplement-dependent cytotoxicity (CDC) クロスマッチが今でも必須です。ドナーの免疫細胞とレシピエントの血清を補体とともにかけあわせて、細胞がどの程度破壊されるかを評価します。表1のケースではT-cell, B-cell のcrossmatchとも陽性(溶血あり)です。ちなみにHLA typingの数字は私が任意につけたので実在するかどうかは保証できませんが、これは5/6 matchです。
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T-cell, B-cell crossmatchともに陽性のまま移植するのはリスクが高すぎます。レシピエントがドナーに対する抗HLA抗体を持っているために、移植直後に腎臓を失う可能性があります。一方で、このクロスマッチの結果には偽陽性の可能性も残されています。レシピエントがリンパ球に対する自己抗体を持っていて溶血をひきおこしているのかもしれません。一般に自己抗体はIgM抗体が主体と言われており(IgG抗体ではなく)、また、IgM自己抗体は移植腎の予後に影響を及ぼさないと言われています。IgM自己抗体の関与をチェックするためには、IgMのdisulfide bondsをdithiothreitolなどで還元してIgM抗体の作用を弱めてから、クロスマッチを再度行い、また、自己血清と自己リンパ球間でのauto-crossmatch を行うのが一般的です。表2はIgM自己抗体によるauto-crossmatch陽性例です。

次に、CDCクロスマッチ陽性で、IgM自己抗体によるauto-crossmatchが陰性であった場合の解釈です。これには
1) T-cell crossmatch (-), B-cell (-);
2) T-cell (+), B-cell (+);
3) T-cell (-), B-cell (+);
4) T-cell (+), B-cell (-)
の4通りが考えられます。

1) T-cell (-), B-cell (-): 陰性です。DSA (donor specific antibody)なしとみなして、移植に進みます。ただし、この陰性結果には、DSA が存在しているにも関わらずそのtiterが低いため溶血がおこらなかった、もしくはマイナーな溶血のみであった可能性(偽陰性)が残されます。

2) T-cell (+), B-cell (+): これはレシピエントがDSAを持っていると考えられ、移植は不可です。特にT-cell CDC陽性例は、Terasakiらのスターディーをはじめ、予後が非常に悪いことが知られており、移植は許されません。

3) T-cell (-), B-cell (+): 可能性のひとつとして、HLA class II に対するDSA がレシピエントの血清に存在していることが考えられます。HLA class I (A, B, C)は有核細胞全てに存在するのに対して、HLA class II (DP, DQ, DR)の発現は”主に”抗原提示細胞(B cells, macrophages, dendritic cellsなど)に限られています。なのでHLA class II に対するDSAは、B cellを破壊しても、T cellは破壊されません。
二番目の解釈としては、HLA class Iに対するDSA が存在しているに関わらず、B cellだけが破壊された可能性が考えられます。B cellはT cellよりもHLA class Iを多く発現しているため、特に低濃度のHLA class I DSAが存在している場合に、B cellだけが破壊されるということが起こりやすくなります。

4) T-cell (+), B-cell (-): 何らかのテクニカルエラーがあったと考えられます。この結果にはB cellとT cellとのviabilityの違いも関係しているのかもしれませんが、いずれにしてもT-cell CDC陽性のまま移植に踏み切ることは禁忌です。

CDCクロスマッチ陽性でも、実際にどんなDSA がどの程度存在しているかは、CDCクロスマッチのみでは判断できません。もしかしたらレシピエントが何種類ものHLAに対するDSAを持っているかもしれませんし、non-HLAに対するDSAを持っているかもしれません。そのため、多くの施設ではCDCクロスマッチと合わせて、フローサイトメトリーやsolid phase assayを使用し、どんなDSAが存在しているのかを確認しています(生体腎移植で時間的に検査が許される場合)。次回はこれらフローなどの検査結果を合わせた解釈について書いてみたいと思います。

波戸 岳
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