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煙草と腎臓

smoke icon.jpg
喫煙が「癌」や「心臓病」の増加に関与することはよく聞きますが、「喫煙」と「腎臓病」はさほど話題に上がりません。喫煙が血管内皮障害を誘発したり、動脈硬化による高血圧よりCKDに進展するのではないかと推測はされていますが、実際喫煙者がCKDになりやすいかどうかの証明はされていません。

腎臓移植に関しても喫煙とgraftの予後や生命予後に関する話題はありますが、今月のAJKDにちょっと違った視点からみた記事がありました。Nogueriaらによると喫煙者や喫煙歴のある人は非喫煙者と比較して、生命予後及び移植腎臓の予後を悪くするだけではなく、移植腎の早期拒絶に陥りやすい可能性があると結論づけています。後ろ向き研究で生活歴の詳細は不明なところもあるでしょうが、もしこれが事実だとすると、喫煙および喫煙歴の有無によりレシピエントのselection
criteriaに制限を設けるべきか?なんていう議論も出てきてもおかしくないですね。
喫煙はおそらくパーキンソン病を除く多くの病気に害を及ぼすでしょうから、喫煙と病気を関連付けた話題=禁煙推進につながることを考えると、様々な分野から喫煙の害に関して報告されるべきでしょう。

ところでアメリカ国内の喫煙率は平均20%前後で州ごと差はあるようですが、日本の男性喫煙率の約半分です(約38%)。たばこの値段はアメリカ>日本ですが、実際は州ごとに大きなgapがあるようです。いま私のいるサウスキャロライナ州は全米でもっともたばこ税が低く(7セント/箱)、このrateは1970年代から1度も変わっていないそうです。(実際3ドル台でたばこが買える)それにくらべ、NY市は全米で最も高額の4ドル25セント/箱を課します。(たばこは8、9ドル/箱)
ですがNYの喫煙率は18%でサウスキャロライナは22%ですから、値段の割に喫煙率にさほど差はないようです。必ずしもたばこの値段だけで、喫煙率を大きく下げることは難しいのかもしれません。
日本とアメリカの違いは、レストラン、会社、病院など公共場所での喫煙がアメリカではできないことが大きいような気がします。日本は飛行機は全面禁煙ですが、電車は喫煙車両が今でもありますし、レストラン、居酒屋では当然のように喫煙席があります。
日本でも公共場所での全面禁煙が実現することを願います。

T.S
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「アメリカ移植学会年次総会2010/5/1~5/5」

先週サンディエゴで行われたAmerican Transplant Congress (ATC)に参加してきました。
Nephrologyの年次総会であるAmerican Society of Nephrology (ASN) と比べると、規模はやや小さいですが、それでもAmerican Society of Transplantation (AST:主にTransplant nephrologistsと hepatologistsのためのどちらかというと内科サイドの学会)と、American Society of Transplant Surgeons (ASTS:移植外科医がメインの学会)が合同で毎年一回この季節に開催する、アメリカの移植学会としては一番大きな学会です。
医師以外にも、基礎研究者はもちろん、薬剤師、ナース、コーディネーターなどが参加します。
tacrolimus.JPG
今年の話題として印象に残ったものでは、ステロイドフリーの維持免疫抑制療法のみならず、Calcineurin inhibitor (CNI: Tacrolimus やCyclosporin Aなど現在の腎移植における免疫抑制の基幹となる薬剤)フリーの試みも発表されており、“Calcineurin inhibitor: Love Them or Leave Them ?”というタイトルのシンポジウムもありました。またステロイドやCNIに変わる新しい薬剤に関する報告も多々あり、今私達がアテンディングの先生に「先生がフェローの頃ってradiationとかImmuran (Azathioprine)がメインだったんですよね?」ときくように、いずれ私も『先生がフェローの頃ってタクロリムス全盛の頃だったんですか?』といわれる日がくるかもしれない、などと思いながらセッションをきいていました。他には2008年のNEJM(Scandling. Kawai , Alexander )で、同時に3つの異なるグループからヒトでの報告が発表されて以来、更なる注目を集め、現在移植学会でのホットトピックスとなっている免疫寛容についてのもの、そしてRegulatory T cell(TReg)に関するセッションが多くみられました。Tregの発見者でTregの父と呼ばれる日本の坂口志文先生(京都大学再生医科学研究所)のTregと免疫寛容に関するシンポジウムは学会のトピックスとして大きくとりあげられていました。

学会そのものもさることながら、学会開催中日に、臓器提供推進キャンペーンの5kmのRun & Walkがありそれにも参加してきました。早朝6時すぎに学会場そばの海沿いのランニングコースに500人近い参加者が集まり、皆それぞれのペースで楽しんでいました。最近運動不足の権化のような生活を送っていることもあり、当初は「靴をもってきてないから。」と断っていたのですが、アテンディングに「僕らも参加するんだから君もぜひ参加しなさい!」といわれ、前日に郊外のTargetというスーパーに学会発表のポスターの大きな筒をかついだままつれていかれ、急遽ジョギングシューズと、パーカーなどを買い、参加することになった次第です。頑張って早起きして、思い切って参加した5km walkは、思いのほか非常に爽やかで気持ちよく、多くの移植に関わる人たちと会話しながらの海沿いの散歩は、よい体験になりました。日本人の先生方も少なからずおみかけしましたが、runの先頭集団を突っ走る数人の日本人の先生方を、尊敬のまなざしでみておりました。皆さんも海外の学会に参加されることがあったら、どの学会でもけっこうこうしたイベントを行っているので、思い切って参加されてみてはいかがでしょうか?何かを一緒にすることによって、非常に気軽に会話の糸口が開かれるものですし、意外な出会いがあるかもしれませんよ。(ただし、翌日の筋肉痛には御注意を)。

インディアナ大学 腎臓移植フェロー

鈴木倫子
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Moonshine

“Moonshine”という言葉を知っていますか?今いるアメリカ南部に来るまで私は聞いたことがありませんでした。Moonshineは違法蒸留酒のことで、特にアメリカ南西部では自宅で今なお作っている人たちが多々います。なぜジャック・ダニエルではなくmoonshineか?それは安く大量に製造できるからで、味に関してはよくわかりません。地下に古くから蒸留装置が設置しているなんてお家は相当数あるようです。
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なぜmoonshineを取り上げたかというと、違法蒸留酒は「鉛」を多く含むからです。最近の蒸留装置はだいぶ少なくなったようですが、以前は車のラジエーターが蒸留装置に使用されていたので、漏出した鉛による、lead nephropathy(慢性鉛腎症)が問題です。
ローマ帝国はワインに含まれていた鉛が原因で衰退したのが一つの原因といわれるほどですから鉛は昔から問題を引き起こすことがわかっています。米国では1980年以前に製造されたペンキは鉛を含むため主に子供への中毒が知られていますし、大人に関しては精錬所勤務者における中毒は今も問題です。

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Lead nephropathyは高血圧性腎症と区別がつけにくく、特にこの地域では高血圧性腎症の診断を受けている人たちの中で鉛の影響が見逃されていることがよくあると言われます。「高血圧」、「軽微たんぱく尿」、「痛風」と「慢性腎臓病」が主なサインです。これって日本ではいっぱいいますよね、所変われば違った疾患があるものですね。つくづく問診の重要性を感じます。「Moonshineはするか、もしくはしたことがあるか?」は今の病院では必ず問診事項に含まれ、驚くことに結構な割合で「yes」と答える人がいます。慢性鉛腎症が疑われた場合、確定診断にはCaNa2EDTAという鉛に結合するキレート剤を注射し、尿中の鉛を測定します。また治療も同様です。

それにしてもmoonshine=「月明り」ですから夜中に製造したからついた名前なのでしょうか?ちなみに研修医のアルバイトをmoonlightingと呼びます。これも届け出なしでやると違法な場合がありますのでご注意を。

T.S
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臨床研究について

アメリカでは、腎臓内科のフェローシップ(日本での後期研修にあたる)中に、研究の機会が与えられます。基礎研究をする人もいますし、臨床研修をする人もいます。私がフェローシップを行ったペンシルバニア大学病院では、以前の臨床研修セミナーでのスライドで紹介しましたが、フェローシップの2年目のスケジュールのうち約半分が研究にあてられており、なんらかの研究を行い、学会に抄録を発表すること、あるいは論文を書くことがフェローシップ修了の条件でした。私は臨床研究をすることを選び、何本かの論文を書くことができました。

ところで、臨床研究を行うには、統計の知識が必須となってきています。ラッキーなことに、私の場合、フェローシップの卒業生の先輩でとても統計ができる先生が全くの好意でお手伝いをしてくれましたが、必ずしもそんなラッキーなことがいつでも、どこでも可能なわけではありません。アメリカでは、統計の専門家がいて、ある程度のお金を払って、研究のアイディアを持って相談に行くと、データの形式を専門家が指定してくれて、そのデータを集めて持っていくとデータ解析を行ってくれます。統計を本当にきっちりしようと思うとかなりの知識と統計ソフトを使いこなすことが必要になりますが、臨床をしながら、というのはなかなか困難です。でも臨床研究というのは実際臨床の現場にいる人間が最も必要で重要な臨床研究テーマのアイディアを持っています。ということで、アメリカではそのあたりの分業が進んでいて、上記のような委託が可能になっています。

臨床研究をする機会をアメリカでいただき、とても興味深いと思っています。日本帰国後も少しずつ続けていきたいと思っています。日本でも、臨床研究を援助するシステムがもっと発展するとよいなと日々思っています。

田川美穂
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食育か食制限か?アメリカ頑張れ!

先日のOrlandoの学会のあとWalt Disney Worldにも遊びに行きましたが、そのとき感じたのが「肥満の多さ」です。大人だけではなく子供の肥満が目立ったのが印象的です。実際肥満のお子さんは肥満であることが多い。

70%以上のアメリカ人はoverweight (BMI>25)で、35%は肥満(BMI>30)ですから日本の肥満率3%と比較するとかなりの差です。この肥満の割合は増加傾向にあり、糖尿病、高血圧、心疾患の大きな原因になっていることは言うまでもありません。

アメリカで食事をしたことのある人ならわかると思いますが、レストランでの食事は量が多く、味も濃く、デザートも甘すぎて日本人の口には合わないと感じているのは私だけではないと思います。大体、こちらの外来などで肥満の患者さんに体重の話をはじめると皆、「私はあまり食べていません」とか「遺伝ですから」と口にすることが多いですが、遊園地のObese peopleは絶えず何か食べていますね。遺伝する肥満もありますが、親からもらうものがあるとしたら彼らの多くはbad eating habitです。これは生まれた時からすでに始まっています。母乳を飲ませない、formulaのミルクのほかに哺乳瓶でsodaを飲ませたり、junk foodが離乳食となるなんてことは現実にあり、もう立派なchild abuseといえます。
これは主に母親の栄養に関する知識の欠如が大きな原因で、minorityにその傾向が強いのも事実です。ですから解決法は簡単ではないのですが、「妊婦の栄養指導」は大事な気がします。これから生まれるわが子のことを気にしない親はいません。また小さな子供への栄養指導を授業の一環にし、学校のカフェテリアでは栄養バランスのある食事を与えるなど対策を何か練らないといけません。Obama夫人は“Let’s Move”と題し、小児の肥満減少を目指したキャンペーンを立ち上げましたが、少しでも肥満の歯止めになればよいですね。「食育」という概念を植えつけなければなりません。

一方「塩」に関してはFDAが加工食品とレストランの食事に使用できる塩分上限に関する勧告を行いました。 ほとんどこちらの人たちは加工食品の摂取と外食しかしませんから、効果が期待できるそうです。40年以上も前から塩の過剰摂取は高血圧を引き起こすことは分かっていたにもかかわらず、今まで塩の制限には規定を設けていませんでしたので、とうとうといいますか、とにかく大きなニュースのような気がします。
Institute of Medicine(IOM)によるとこの制限により、アメリカ人の平均塩分摂取量(ナトリウム換算)3.4gから2.3gまで下げることができ、年間10万人の命を救うことができると記事には書いてあります。ただし、アメリカ人の口に馴染んだ食事をすぐに変えることは難しく、徐々に減らしていくそうですが、何年かかるのでしょうかね~?IOMの資料をみると幼児からすでに塩分摂取が高いのが印象的です。FDAは糖分制限にも踏み切るべきなのでしょうか?強制的に制限するのではなく、「食育」から制限できないものなのでしょうかね?先進国なのですから。。。

T.S
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National Young Investigator Forum@NKF

フロリダのオーランドで開催されたNKF /Amgen主催、5th Annual National Young Investigator Forumに参加してきました。これは主に腎臓内科フェローが行っているリサーチに関する全国レベルのcompetitionでアメリカ各地区予選から選出された人たちが、Basic science、Clinical scienceの2部門に分かれその成果発表するものです。総勢29人が一日で発表をしますので、質疑応答を含めて15分/人でしたが、かなり疲れました。

私はbasic部門で発表の機会をいただきましたが、みな素晴らしい発表ばかりで、とても良い刺激になりました。中には数人postdoctoral PhDがいましたが、大体はフェローレベルのMDたちで、本当に同じフェローかな?と思わせるhigh levelのpresentationもありました。
前回も書きましたが、presentation能力に関しては、アメリカ人は特にですが、まねのできない素晴らしいものが多々ありました。少しでも彼らの楽しいプレゼンのessenceを習得したいものです。研究の評価の基準は、1)臨床的に意義ある研究か?2)結果のquality 3)文献を引用しているか、4)Presentationの仕方、5)質疑応答の仕方で評価されますが、実は5)を特に重視するようです。みなこれは苦手ですよね。
一つよいことを学んだのが、質問を受けた際は、その質問の内容を繰り返して、間を少しおいて、答える手法。これによって、観客も質問を再度聞くことができ、自分も考える時間を作れます。これはJudgeである方から、会終了後のreceptionで教わりました。

この様なforumは腎臓内科に限らないと思いますが、年々アメリカでは人気が薄れている「研究のできる医師」の育成を目的としています。基礎・臨床研究の面白さを同じ土俵で頑張っている人たちの発表を聞く機会を設けることは、良い研究発表を聞くことによる刺激と同じフェローたちや一流の臨床-研究医であるJudgeの先生方との交流を深めることもでき、とてもよい機会だと思いました。NKFはこういったフェローにグラントも用意していますので、NIHのほかにNKFのグラントを取っているフェローが結構いたのも印象的でした。
これだけハイレベルのプレゼンを一つの会で聞いたことはないとJudgeのひとりが言っていましたが同感です。また来年も参加したいです。

T.S
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日本人の討論力

 アメリカで仕事をしていると日本人の「討論力のなさ」をつくづく感じます。決して内容が悪いわけではないのですが、討論やプレゼンテーションが下手です。それに比べアメリカ人は本当にプレゼンテーションが上手です。独特の雰囲気作り、展開のうまさ、ユーモアを取り入れた内容の濃い、すばらしいプレゼンを聞くと本当にまねができないと感じてしまいます。

DiscussionやPresentation能力は、大人になってうまくなる人はもちろんいるのでしょうが、大半は子供の頃から繰り返し訓練を受けているからできるわけです。私はアメリカで小学校時代を過ごしましたが、すでに小学生の低学年から、新聞の切り抜きを持参し、その話題に関してみんなの前で発表をさせ、クラスでDiscussionを繰り広げる場面が多々ありました。皆がうまいわけではないですが、こういった環境の中で育つ人とそうでない人の違いは将来大きな差を生むことは事実でしょう。このあたりの比較・体験は以前書いたエッセイに書いてあります。

日本人が討論力を欠くもう一つの要因は「出る杭はうたれる」環境にあると感じています。「平均」を心地良いと好む国民性に加え、とにかく日本特有の「みんな仲良く」という学校教育の基本方針をどうにかしないと、良いことも悪いことでも目立った人は指をさされ、結果としてその子供の行動を委縮させてしまいます。

いじめが最近よく日本では問題になっているようですが、いじめなんてどの国にも昔からあるもので今更始まったことではありません。そもそも人はみんな違うのですから、「みんな仲良く」できるわけがないのです。そんなことができたら世界で戦争なんておきませんよ。人はみな楽器に例えるといいのです。弦楽器、管楽器や打楽器、みな音色や音量は違いますが、オーケストラとして一緒の曲を奏でたら素晴らしいわけです。(オケの多くは弦と管、通常仲悪いです)教育とは個々がまずどういった楽器なのかを示してあげることから始まり、次にその楽器をいかによく奏でるか導いてあげることだと思います。アメリカでは子供が学問のある分野が苦手だったとしても、その子に駄目だしすることは少ないでしょう。結局、弦楽器は打楽器にはなれないわけですから当然ですし、それを先生がよく認識しています。

Discussion能力の育成は楽器同様小さいころから習わないとうまくなりません。
日本では文部科学省の「質の高い大学教育推進プログラム」の中で多くの大学が「討論力養成」を目標に掲げていますことはよいことだと思いますが、大学生から養成しても遅いのです。そういったことを考えると、日本人の苦手とする「討論力」を養成するには、もっともっと小さいころから訓練することが大事になってくるでしょう。

T.S
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外国人のアメリカでの献腎(死体腎)移植

日本での絶対的ドナー不足により、海外で臓器移植を受ける日本人もいるが、日本人がアメリカで献腎(死体腎)移植を受ける場合はどうだろうか。アメリカの施設での外国人の移植は、その施設の年間移植数の1%まで許されている。つまり、その移植施設で年間100件の移植をしていれば、1人は外国人の移植をしても良いということだ。しかも、待機期間は外国人でもアメリカ人と同様の順番でドナーを待つことができる。日本ほど深刻ではないがアメリカでもドナーは不足している。最近の待機期間は血液型にもよるが、約3年である(O型:4年、A型:2年、B型5年、AB型1.5年.SRTR Annual Report 2006年)。

移植にかかる費用は外国人だと医療保険なしのため、バージニア州立大学の場合は総額11万ドル(移植前評価に1万ドル、移植手術・入院費用に10万ドル)と高額になるが、アメリカ人でも4万ドルは程かかる(日本では保険適応で約400万円)。

しかし、2008年5月にイスタンブール宣言が出され、腎移植も含めた臓器移植は自国で行うべきであるという方向性が世界的に示された。従って、実質上の海外渡航移植は禁止となり、今後は海外での(ドナーに依存した)移植の機会は減少せざるを得ない。

長浜 正彦
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サイト更新

世話人リスト(高橋哲史先生)と関連リンク(腎移植を学ぶ会)が更新されました。
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日米比較:腎臓移植成績

日本での腎臓移植件数は2006年にやっと年間1000件を超えたが、アメリカの腎臓移植数は日本に比べて圧倒的に多い(日本:1302、米:16119. 2009年)。単純にアメリカの人口が日本の2倍強である事を考えても、やはり大きな違いである。内訳を見てみると、日本では9割近くが生体腎移植であるのに対して、アメリカでは生体腎移植と献腎(死体腎)移植が、約半数ずつである。最も異なる点は、日本は献腎(死体腎)移植のうち脳死の占める割合はわずか1割以下なのに対してアメリカでは逆に脳死が9割以上を占める点である。
また、献腎(死体腎)移植の待機時間が日本では15年と極端に長い。これは透析患者さんの5年生存率が60%であることを考えると、深刻な長さである。ただ、アメリカでもドナーは不足しており、以前に比べると待機期間は延びてきており、今では3~5年である。
周術期管理は日米共に外科が中心に行う。しかし、腎臓移植後は日本では外科がそのままフォローするのに対して、アメリカでは腎臓内科がフォローする。移植後は感染症や慢性腎臓病の管理が主体になり、しかも5年、10年といった長いスパンになることを考えると、腎臓内科がフォローするのが妥当だと思う。治療成績は両国ともに1年生着率(1年後に移植腎が機能している率)が約90%と良好ではある(日本:90.1%、米:92.5%)。

SRTR Annual Report 2009年
日本移植学会2010年
長浜 正彦
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