
私がいるMUSCの腎臓内科のある指導医いわく、"DMは昔、NYとJoslin(ボストン)しかまともにやっていなくてNYでは血糖が腎症に影響するとは思っていなかったけど、Joslinではきっちり管理していて彼らが結局正しかったんだよ"なんて言っていましたが、そんな時代から現在は血糖管理に加え、RAAS blockadeを含めた血圧管理、インスリン抵抗性の治療などが加わり、大規模なclinical trial によりDMNのアウトカムが明らかになってきていますが、依然としてDMNはESRDへと移行します。無治療のDMNは年間GFRが10ml/min低下し、降圧療法により5ml/min/年に改善、RAAS blockadeで4ml/min/年改善することはここで書いています。
DMNの初期(70ー80年代)のstudyはほとんどが1型糖尿病についてばかりでした。その大きな理由はDM (II) はonset の確定が難しいことと、1型は若く、HTNを呈していないことが多くstudyがしやすいということがあると思います。腎臓のサイズについてですがChristiansenのstudyによると初期のDM(I)発症後2年程度ですでに腎臓のサイズとGFRの上昇が見られるとしています。したがって”1型糖尿病の初期(microalbuminuria出現前)ではすでに大きな腎臓とhyperfiltrationがある”ことが分かります。またmicroalbuminuriaがDMNの発症を予測できるかということに関してはMogensenが1984年にNEJMに報告しています。DM(I)患者43人(平均DM罹患12年)をmicroalbuminuria (-) 、microalbuminuria (+)にわけ10年観察した結果、血圧を保ってもDMNに至ったのはmicroalbuminuria (+)のグループであるとし”microalbuminuriaはDMNのriskである”と結論しています。Rudbergらは若年のDM(I)でmicroalbuminuria (-) とmicroalbuminuria (+)を呈した計64人を8年間追跡し、DMNに至ったグループとそうでないグループとでみたとき”hyperfiltrationの存在はDMNを予測できる”と報告しています。また血糖コントロール不良((A1C>8)がmicroalbuminuriaの出現に関与していることはこのstudyが示したとおりです。
したがって1型糖尿病腎症の自然経過としては初期からhyperfiltrationがおこり、血糖管理の不良はアルブミン尿の出現を招き” hyperfiltration /microalbuminuria”の存在はDMNへいたる一つのサインであるといえます。
次回は糖尿病性腎症 (DMN) の進行/アウトカムについてふれます。
T.S