「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

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「先生、何年目?」←この言い方やめましょう

アメリカで医師をしていると誰もが感じることだと思いますが、「○年目の医者?」と言う聞き方をまずしませんね。年齢なんてまず聞かれたことはありません。新聞でもテレビのニュースでも人の名前の横に(○○歳)表示はされません。これは差別に当たります。履歴書にも生年月日はいれません。
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日米双方で医師をしてきて「先生は何年目?」と聞くこともあったし聞かれたこともありますが、アメリカに来てからはこの言い方はよくないと感じるとともにあまり意味がないと思います。医師の総合的な能力は経験年数に比例しません。もちろん1年目のインターンと5年目のフェローでは違いはもちろんあるわけですが、本質は何年医師として働いたかではなく、どういった環境で何を診て、何を勉強して、それをどのようにキープし、最新の情報に常にupdateできているかが大事なわけです。このような総合的な最新の医学知識を持ったうえで、医師としての経験が初めて意味をなしてきます。一方で、人は年齢を重ね成熟していくわけですから、「何年目か」は人として、医師としてどの程度成熟しているかの判断する材料としては良いのかもしれませんが、あいさつ代わりに聞くことではないですね。

日本の医療現場は年功序列が強いと思いますが、医学は経験年数の多いものが必ずしも優れているわけではありませんし、少なくともこの序列が優秀な学生や研修中の医師の発言や行動をつぶすような圧力として機能してはダメだと思います。日本ではそういった序列を明らかにしないことから何か始めてみるべきです。こちらで研修をしていると、優秀で素晴らしい学生や研修医はfacultyと対等に議論を交わすことができることから、私も彼らから多くを学ぶことができ、最近経験年数は思っているほど重要ではないとつくづく感じる日々です。
これを読んでいるみなさんはまず、「何年目の医師の○○です」という言い方をやめることから始めましょう。

T.S
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