「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

   日本・アメリカそれぞれの話題をお届けします日米腎臓内科ネット
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酸塩基平衡(5)

今回は混合性酸塩基平衡の鑑別についてです。

アシドーシスは何回かに分けて説明してきたとおり酸は体内で主に重炭酸により緩衝されます。
この図は14モルの酸を等量の重炭酸に加えた場合を例として示しています。酸は等量の重炭酸で緩衝されるのでΔAG(24-14=10)とΔHCO3-(24-14=10)の関係は1:1になりそうですが体中では実際は違います。

それは酸が“骨や細胞”でも緩衝されるためその分ΔAGはΔHCO3に比べ高くなるからです。最も多い代謝性アシドーシスは乳酸アシドーシスでΔAGとΔHCO3は概ね1.7:1程度にあると考えられています。したがって単純なAG性代謝性アシドーシスではΔAG/ΔHCO3は通常1-2の範囲になります。
ph.jpg
代謝性アシドーシスがあると下痢や嘔吐など様々な症状を合併しますので混合性酸塩基平衡異常が予想されます。

<AGアシドーシスに下痢が併発した場合>
胆汁や膵液はHCO3が豊富なので十二指腸より下部の腸管液喪失(下痢)はHCO3-の低下をまねきHCO3-喪失性の代謝性アシドーシスを起こします。HCO3-が失われると、血漿HCO3-は低下しますが等量のCl-により置き換えられるため、結果としてHCO3-↓+Cl-↑=和は変わらないことになります。したがってAG=Na-(Cl-+HCO3-)=不変です。これを非AG性もしくは高Cl-性代謝性アシドーシスといいます。

もしAG性アシドーシス(例えば尿路感染)に下痢が併発した場合はどうなるでしょうか?感染症による乳酸性アシドーシスのほか、腸管からHCO3-の喪失が起こるため、ΔHCO3はさらに増加するため、ΔAG/ΔHCO3は<1になることが多いです。

<AGアシドーシスに嘔吐が併発した場合>
胃液は主にHClですので、嘔吐はH+の喪失からアルカリ性に傾きます。Cl-も失われますがHCO3-はほとんど喪失しません。さらに嘔吐はvolume depletionからGFRが低下し、腎臓でHCO3-を保持しようとしますので、血漿HCO3-は上昇し、代謝性アルカローシスという状態を作ることがあります。AG性アシドーシスに嘔吐などにより代謝性アルカローシスが併発すると、ΔHCO3-は少なくなり、ΔAG/ΔHCO3比は通常>3となります。

以上、混合性酸塩基平衡の鑑別にΔAG/ΔHCO3は有用です。

1) 高AG性アシドーシス:ΔAG/ΔHCO3= 1-2
2) 高AG性アシドーシスと非AG性アシドーシス(下痢)の混合性アシドーシス:ΔAG/ΔHCO3<1
3) 代謝性アルカローシスの併存(ΔHCO3↓):ΔAG/ΔHCO3>3

5回に分けて代謝性アシドーシスの基本病態生理をおさらいしました。
まとめると代謝性アシドーシスの診断には以下の5つを順番にみていきます。
1) pH(アシドーシスかどうか?)
2) HCO3-(代謝性アシドーシスかどうか?)
3) Wintersの公式でpCO2の代償予測値を計算(正常な呼吸性代償があるかどうか?)
4) AGを計算(高AGアシドーシスか正常AGアシドーシスかを診断)
5) ΔAG/ΔHCO3 比(混合性アシドーシスや代謝性アルカローシスの併存を予測)

アシドーシスの機序を理解し、この手順を踏むとほとんどの代謝性アシドーシスが分析可能です。

T.S
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Grant

“The bane of academic existence is grant writing” と、とある本の冒頭が始まりますが、全くその通りで、 大学で研究を続けるには、常にグラントを確保し続けなければいけません。このグラントというシステムが競争力とイノベーションを生み出す原動力なのかもしれませんが、グラントを確保する過程というのは、自分のみでなく、そのラボに雇用されている人にも直接影響を与えるため、論文を書くよりも何よりも大きなストレスになります。
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アメリカの財政は相変わらず厳しく、近年のNIH RO1グラントの成功率は10%以下に落ち込んでいます。しかも2ストライクでアウトです(数年前までは3度チャンスがありました)。良い仕事をしているのに、グラントをとり続けることができず淘汰されていくラボをみていると、もう少し政府もフトコロを緩くしてくれないのかな、と思います。このご時世、確実に結果がでそうな内容のグラントでないとお金がでないので、競争率は高くても、むしろ全体のイノベーションの質は下がっているのでは、とも思います。実際、今回のASNをみても、決して新薬のパイプラインが太いとは言えません。

グラントという競争制度は素晴らしいと思うのですが、その競争と不確実性が嫌で、研究に手を出さないフェローや(大多数)、製薬会社に移っていく優秀な研究者を見聞きすると、現状がベストとは言えません。今年Young Investigator Awardを受賞したJeremy Duffieldももうすぐ大学を辞めてボストンの企業に移るという話を耳にしました。
次回はもう少しポジティブな話題をみつけるようにします。。

波戸 岳
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ASN 2013

今年のASNは何かと腎臓領域の研究ではぱっとしないことが多かった印象です。

RASのdouble blockadeは事実上効果なしというレッテルが貼られそうです。On Target, Altitudeに続き今回VA患者を対象としたDM Nephropathyに対するACE-I +ARBを試したNephronD試験も効果なしどころか悪影響ありとのことで早期にストップされました。RAS系は血行動態維持に必須である一方、高血圧では亢進している事が多いので、阻害することはいいはずなわけですが、阻害し過ぎるとダメということなのでしょうか?難しいですね。

また昨年ASNで発表されたTempo studyで効果がみられたトルバプタンもFDAは重度の肝機能障害がみられたことからADPKDへの適応を退けました。全く残念です。ほんとうに難しいですね薬の認可は。
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毎年、日米腎臓内科ネットのメンバーと集まっていますが今年も集まりました。左上は京都の田川美穂先生、隣は沖縄の塚原知樹先生、最右はインディアナの波戸岳先生、隣はNYで内科レジデントをしている野城加菜先生、でその横が私サウスカロライナの三枝孝充です。アメリカで腎臓内科を研修する日本人はあまりいませんので、我々の共通の目標はこちらで得た経験や知識をwebや実際日本で皆さんと少しでもシェアし、日本の腎臓内科医療の発展に少しでも貢献することです。塚原先生はブログを別に書いていますが、とてもプロダクティブで今回のASNに関しても素晴らしい内容満載ですので是非みてください。お勧めです。
T.S
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No silver bullet

先週ASN Kidney Weekが開催され、いくつかの臨床試験の結果がアナウンスされました。そのうち2つはNew England Journal of Medicineに掲載されましたが、残念ながらどちらもネガティブな結果に終わっています。一つは糖尿病性腎症におけるACE阻害薬とARBの併用、もう一つは糖尿病性腎症における抗酸化薬Bardoxoloneです。腎臓領域でアクティブな臨床治験の数は癌領域などと比べて圧倒的に少ないので、こうもネガティブな結果が続くのはとても残念です。

波戸 岳
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加速する“Garbage in garbage out”

先日、フロリダにいる日本人の先生から教えて頂いたのですが、世にある論文がどれだけ信用のおけるものかを試したおもしろい記事を紹介します。最近は、open access journalとよばれるオンライン出版のみのジャーナルが増えています。投稿する方からしてみると出版の機会は増えて嬉しいのですが、問題はその質です。今までの学会誌ジャーナルは学会メンバーの会費で運営がなされているのに対して、オープンアクセスジャーナルは投稿者により出資されることが大きな違いです。つまり、投稿論文が少ないとお金になりません。
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質に関してはいずれのジャーナルも投稿内容はpeer reviewといって、出版前に専門家により通常は査読されます。このpeer reviewという制度はしっかりと行われれば素晴らしい制度だと個人的には思っています。投稿内容に対して、専門家が手直しや追加により改善できることを示してあげるなど、内容をより良くする手伝いをするといった具合です。しかし、査読という作業は一般の科学者が奉仕的に行うもので、とても時間と手間がかかり、大変なわけです。また査読はどこかでしっかりとやり方を学ぶ機会はほとんどなく、なんとなく習っていく人が過半数だと思います。査読の現在の問題点やどうしたらよいかについて「査読の心得」という素晴らしい記事がありますので読んでみてください。

さて、本題の記事ですが、筆者はニセの名前、所属、国!を作りあげ、高校卒業程度の知識があれば、偽であることがすぐに判明する内容のニセ論文を300通り作り、世にあるオンラインジャーナルに一斉に投稿したそうです。その結果なんと、半分以上のジャーナル(神戸大学を含め)で受理されたそうです!受理しなかったジャーナルはおそらくpeer reviewに出されたのでしょうが、受理されたものはそういった過程を全く踏んでいないことになります(reviewを受けて受理されていたらもっと問題ですが)。論文の質よりも多く出版することに重点をおいてしまうオープンアクセスジャーナルの実態を見事に暴いた内容です。したがって、世にある論文の中には、査読を受けていなく、科学的な内容、実験方法や統計学的分析などに関して基準を満たしていない、読む価値の低い論文が多々あることが予想されます。さらに問題なのが他の論文や総説などによりこういった科学的に価値の低い内容の論文を題名や要旨だけで内容を判断し、引用してしまうことです。この論文はさらに次から次へと違う論文へ引用されてしまう。

これをgarbage in garbage outといいます。門番のいないオープンアクセスジャーナルが次々とあらわれ、garbage in garbage outはますます加速する可能性があります。困ったものです。

では、インパクトファクターの高いジャーナルは本当に内容的に信用していいのでしょうか?次回はそのあたりについて書いてみます。
T.S
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酸塩基平衡(4)

実際、人が食事から産生する酸はHClではありませんので、これを仮にHA(A- はCl-以外の陰イオン)とします。HAはHCO3-によって緩衝を受けますので
HA + HCO3- → A- + CO2 + H2O
となり、このA-は普段直接測定しない陰イオン(UA)となります。
体内に陽イオンと陰イオンは等量存在しますが、K+と普段測定しない陽イオン(UC)は極めて少ないので大まかに陽イオンはNa+です。また陰イオンはCl-と HCO3-で残りがUAということになります。このUAをアニオンギャップ(AG)ともいって、通常は8-10meq/L程度になります。体内で有機酸(HA)が増えると、A-が増加しAGも増加します。
mudpiles.JPG
それでは、AGが増加する状態(有機酸が増えた状態)にはどんなものがあるでしょうか?
アメリカでは語呂合わせで“MUDPILES”と覚えます。内容ですが
M: Methanol
U: Uremia
D: DKA/alcohol ketoacidosis
P: Propylene glycol (古くめったに見ないものとしてPhenformin, paraldehyde)
I: Isoniazid
L: Lactic acidosis
E: Ethylene Glycol
S: Salicylate
をさします。
すべて説明はしませんがもっとも多いのが乳酸アシドーシスですので例をみてみます。

68 男性、3日間の排尿痛、発熱、倦怠感を主訴に来院。 BP 90/50 HR 110
Na 138, K 3.1, Cl 110, HCO3 18, Glu 125, BUN/Cr 26/1.1, alb 2.0
pH 7.30 pCO2 33

まず
1.pHが7.30とアシドーシスがあります。
2.HCO3が18と低く代謝性アシドーシスがあります
3.呼吸性代償は予想CO2= 1.5 x 18 +8 ±2=33からされています
4.AGは138-110-18=10ですが低アルブミン血症があるので(メモ参照)2.5x2=5を加えAG=15とAG性代謝性アシドーシスがある

したがってこれは正常に呼吸代償されているAG性代謝性アシドーシスです。
実際この症例は尿路感染症による低血圧、循環不全から乳酸性アシドーシスを呈している症例でした。

次回は混合性酸塩基異常の鑑別方法(ΔAG/ΔHCO3)についてです。

T.S

メモ)AGの多くはマイナス荷電した血漿タンパクで、アルブミンはマイナス荷電している代表的なタンパクです。したがって低アルブミン血症があるとAGも低くなるので注意が必要です。具体的にはアルブミンが1g/dL↓につきAGは2.5meq/L↓となります。一方、免疫グロブリンはプラスに電荷しているため、多発性骨髄腫など免疫グロブリンの上昇がみられる場合などはAGが陰性になることもあります。
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酸塩基平衡(3)

HCO3-による酸の緩衝から遅れてH+は細胞内や骨内に移行します。ここでH+はタンパク、リン酸、炭酸カルシウムなどにより緩衝されます。したがって同じように12meq/LのH+負荷をした場合、実際HCO3-はもう少し減少し19meq/L程度になると考えます。PCO2は40mmHgで変わらないと仮定した場合、
[H+] =24×40/19=51nanoeq/LとなりpHは7.29となります。

このように細胞や骨の緩衝はpHの変化を更に少なくとどめるよう調整しているわけです。
turtle.JPG
実際、酸の負荷は呼吸換気を促します。したがって換気によりCO2は排出され、血中のCO2は低下します。これが呼吸代償です。呼吸代償の程度はある程度予測できます。
極端なアシドーシスがなければ大まかには
予想CO2はHCO3-に15を足した値になります。
(正確にはWintersの公式:予想CO2=HCO3-x 1.5 + 8 ±2) 

したがって前回書いた通り、HCLを投与した直後のHCO3が12だとすると、呼吸代償により予想されるCO2は12+15=27となり

[H+] =24×27/12=54nanoeq/LとなりpHは7.10ではなく7.25程度となります。

さらに、しばらくして細胞や骨での緩衝が加わると
上記からHCO3-が19として予想CO2は19+15=34となり

[H+] =24×34/19=43nanoeq/LからpHは7.37程度とほぼ完全にアシドーシスが代償されたことになります。

このように、人はHCO3などの緩衝システムと呼吸代償により産生される酸の多くを処理できるのです。

次回はアニオンギャプについてです。

T.S
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酸塩基平衡(2)

前回書いたとおり、人は酸を絶えず産生していますが、そのほとんどを代謝し、体外に排泄することができます。しかし
1) 腎不全で酸が排泄できない、もしくは酸の過剰負荷があるか
2) HCO3-の喪失
があると代謝性アシドーシスをおこします。
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酸の処理方法ですが、最初の対処は細胞外のHCO3-による緩衝システムによります。
酸(H+)が増加すると、HCO3-が緩衝剤として数秒~数分以内にCO2へと変化させ、肺胞換気により体外へ排出しています。

H+ + HCO3- →H2CO3 →CO2+H2O 

ここで例としてpH 1の強塩酸HCL(12mEq/L) を静脈注射したらどうなるか考えてみます。PCO2は40と変化しないと仮定します。HCO3-はHendersonの式から、正常値の24meq/Lから12meq/Lへと下がるため
[H+]=24×PCO2/[HCO3-]
  =24×40/12=80ナノeq/LとなりpHは7.1となります。(メモ参照)

つまり12mEq/L (12×10の6乗 ナノEq/L)の強酸の負荷をHCO3-の緩衝により、血中の[H+] を正常の40→80 ナノeq/Lとたった40 ナノeq/Lの増加にとどめたことになります。これは99.99%以上のH+がHCO3-によって緩衝されたことを意味しています。


メモ)pH7.00における[H+]は100 ナノmol/Lで、pHが0.1増加するごとに[H+]は20%減少すると覚えておくと便利。表参照


次回は酸の細胞や骨での緩衝についてです。

T.S
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酸塩基平衡(1)

人はたくさんの酸を産生するため絶えずそれと戦っているようなものです。人はその酸を中和して、体外へ排出するシステムがあります。このシステムが崩れると、体は酸性に傾きアシドーシスという状態を作る一方、反対に体がアルカリ性に傾き、アルカローシスという状態になることもまれにあります。何回かに分けてこの酸塩基平衡のシステムについて書いてみようかと思います。
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人が生きていくためには食事をとるわけですが、炭水化物や脂肪、タンパク質の代謝から酸が作られます。酸は2つあって
1) 揮発性の酸(最終代謝物が炭酸になるものでCO2として呼吸で排出される)と
2) 不揮発性の酸(主に含硫アミノ酸の酸化による)

にわかれます。人は揮発性酸をCO2換算で 一日に15,000mmolも作りますが、呼吸を普通にしている限りほとんど肺から出て行きます。その一方、不揮発性酸は主にタンパク質の代謝によるものですが、一日当たり50-100mEq前後のH+となります。

これら酸が絶えず産生されているにもかかわらず、血中のpHは7.40と安定しています。pHはH+のことでpH=-log[H+]で表わされます。pH7.4は血中の[H+]濃度に換算すると40ナノmol/Lと一日に人が産生する不揮発性酸の100万分の1程度の濃度です!
血中の[H+] 濃度が多くのH+産生にかかわらず、ほとんど変化しない理由は、HCO3-による緩衝システムが大きく関与しているためです。次回はHCO3-の緩衝システムについてです。

T.S
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CKD外来でみること

CKD外来で患者さんを見る際どういったことをチェックするべきかはわかっているようではっきりと教えてもらっていない人達もいるかと思います。
米国では大きくわけて3つに着目します。
1) 腎臓
2) 貧血
3) 骨
checklist.jpg
1)ですが5つのことを必ずチェックし明記します。

a) CKDのステージと原疾患
b) 進行具合
c) 血圧やvolume status
d) 電解質異常の有無
e) 酸塩基平衡異常の有無

2)ですが鉄欠乏性貧血と腎性貧血の理解です。まず鉄欠乏性貧血があるかをみます(transferrin saturation (TSAT)>20%、ferritin>100ng/ml)?そうなら鉄の経口かIV補充(最近のKDIGO ではTSAT<30%でferritin<500ng/mlなら開始しても良いとある)。経口の場合3ヶ月投与してもHbが改善しない場合はhepcidinなどによる腸管での吸収障害が考えられるのでIVに切り替える。それでもHb<9g/dlを切る場合はエリスロポエチンを開始。Hb 10g/dlを超えないようにする。

3)ですがまずリンが正常がどうか?高ければリン吸着薬を投与。Caが高ければ非Caリン吸着薬を使用。次にPTH を測定。高ければTotal Vitamin D(25-Hydroxy vitamin D)を測定。Total vitamin D欠乏(vitamin D deficiency <30ng/ml)ならvitamin D3 (cholecalciferol、2000unit/day程度) かvitamin D2(ergocalciferol、50000units/2weeks)の補充。Vitamin D insufficiency (<50ng/ml?)に関してははっきりしていませんが私は補充しています。それでもPTHが高い場合(high turnover bone、CKD のstage 別にターゲットレベルが推奨(Stage3(35-70)stage 4 (70-110), stage 5(110-300)とKDOQIには記載)されているのでそれにそって1,25-dihydroxy vitamin D3(Calcitriol)の投与を行います。(最近のKDIGOではまた違うことが書かれています:意見レベル)。注意するべきことは、高Ca血症とPTH を下げすぎて不可逆的なadynamic boneを起こさないことです。

以上、CKD 外来で最低限みることをまとめました。
T.S
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