「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

   日本・アメリカそれぞれの話題をお届けします日米腎臓内科ネット
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症例クイズ(2)

このケースは先月のコンサルトで見た実際の患者さんです。

41歳男性、既往に精神疾患(詳細不明)、高血圧、飲酒歴があり意識混濁を主訴に救急車で来院。何かを飲んでいたとのことですが詳細は不明。バイタル171/109mmHg、脈拍78/分、体温36.1C、O2:100%、呼吸26回/分。
身体所見上は意識混濁あり、瞳孔は5mm光反射(-)、その他ほぼ正常。
血液所見
Na: 137 meq/L, K: 4.4 meq/L, Cl: 107 meq/L, HCO3: 6 mmol/L, BUN:22 mg/dl, Cr: 1.7 mg/dl, Ca: 8.1, Alb 3.6 mg/dl, Mg 2.2 mg/dl, 肝機能正常、CPK 430 IU/L, 乳酸正常
血漿浸透圧320mosm/kg
血ガス:pH:7.24, CO2 :10, O2:124
尿沈渣正常、薬物検査:サリチル酸(-)、エタノール(-)、その他は検査中

Q.この人の飲んだものは何でしょう?
1) 違法蒸留酒 (moonshine)
2) アスピリン
3) メタノール
4) イソプロパノール
5) アセトアミノフェン

T.S
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メンバー会@ASN2012

サンディエゴでは日米腎臓内科ネットのメンバーとも集まりました。
その時の一枚です。
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右からインディアナ大学で腎臓内科研修を今年で修了され、現在J1waiverのためhospitalistとAKIの基礎研究を両立されている多忙な波戸岳先生。
その隣(右奥)がアイオワ大学で現在2年目の腎臓内科フェローとして研修中の塚原知樹先生。彼は米国のRenal fellow Networkでブログを書いていますのでぜひご覧ください。その隣(左奥)がバージニア州立大学で腎臓内科と腎移植内科研修を2010年に修了し、現在は聖路加国際病院で腎移植管理、教育、臨床、研究に頑張られている長浜正彦先生です。左は私、三枝孝充です。今年サウスキャロライナ医科大学で腎臓内科研修を修了し、引き続きファカルティーとして基礎研究と臨床をかけ持って何とかやっております。

米国に長くいると日本の先生方とお会いするチャンスがなかなかないので、来年はもっといろいろな方たちに声をかけて情報交換会が出来ればいいなと思いました。

T.S


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ASN2012

米国腎臓学会(ASN)が先週サンディエゴで行われましたが、臨床研究ではADPKDにおけるTolvaptanの有効性が示された臨床研究TEMPO
は明るい話題だったと思います。正常腎機能のADPKDにこの薬を3年間投与した結果、腎臓のサイズがプラセボに比較してよかったことと、腎機能の低下も少なかったという結果です。気になるのは口渇による副作用が多かったことでドロップアウトも多かったことです。このstudyで解決できなかったことはCKDなどすでに腎機能の低下した患者に果たして有効性はあるのかということで、この薬を実際に投与し腎機能が低下してきたら、いったいどのタイミングで中止すれば良いのかといった問題もあります。基本的にV2R阻害薬であるこの薬はネフロンが少なくなるとそれだけ作用部位も減りますからCKDが進むにつれて、その作用は減弱するはずです。

もう一つpharmacogeneticsはこれからとても大事になっていくと思います。薬効は千差万別であることは以前からわかっていますが、人種や性別によってたとえば肝臓におけるCYP代謝能の違いが遺伝子レベルで分かるようになっています。すなわちある薬はこの人種では早く代謝される一方、違う人種では遅く代謝れるとするとします。当然、薬の作用も増減しますので薬効のみならず副作用の差も出てきます。したがって、今後の臨床研究というのは血液からその薬のCYP代謝など遺伝子を調べ代謝能別に臨床結果を分析しないと正確な結論は導き出せないでしょう。これはRCTが多施設化していけば行くほど大事です。
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基礎研究の分野でもいろいろありました。観客はまばらでしたが今あるノックアウトマウスを置き換えるであろうzinc finger nucleaseの研究は非常に興味深いです。簡単にマウス以外の動物でも遺伝子のノックアウトやノックインモデルが作ることができます。もととなる原著はこちらです。
zinc finger nucleaseでpubmedを検索するとたくさん出てきますので見てください。いまのところ28種類の動物でノックアウトモデルができているようです。またすごいのは人でも適応できてもうclinical trial が行われています。遺伝子疾患の多くがこういった研究によって治療されていくことでしょう。

日米腎臓内科ネットのメンバー数人ともお会いしてなかなかよい情報交換ができました。
カンファレンスはいろいろな話題を学ぶとともに人と交流できて良いですね。

T.S
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症例クイズ(続)

この皮膚所見はuremic frost (尿素霜)です。
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Uremic frostは重度の腎不全により血中の尿素窒素や窒素性化合物が汗に凝縮し、水分が蒸発したのち白く結晶化したものです。これは腎不全が重度になる前に透析を開始する事が多い今、とても稀な皮膚所見ですが、アメリカでも無保険患者など医療費を払えない患者層や透析を拒否した場合、また透析が治療選択肢として存在しない発展途上国でみられます。

この患者さんは頭皮にも結晶化した尿素霜がみられ、血液所見ではBUN 180mg/dl, Cr 31 mg/dl, 超音波で両側腎とも萎縮して、かつ心膜摩擦音(pericardial friction rub)が聴取されたため、すぐに血液透析を開始しました。

参考文献

T.S

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症例クイズ

私が数カ月前にみた実際の患者さんです。
31歳黒人男性、高血圧歴は18歳からあり。以前AKIで透析歴があるが腎機能が改善したため透析離脱。その後5年間フォローアップせず。呼吸困難で来院。この皮膚所見はなんでしょう?
T.S
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Bardoxolone phase 3 trial、打ち切り

昨日のAjay Singhのブログからしりましたが残念です。
Barodoxolone Methylは波戸先生が以前に記事を書いていますが
糖尿病性腎症(CKD stage4)の腎機能改善に期待されていた薬ですので残念です。
試験中止理由は、bardoxolone群に死亡率および重大な副作用が多く見られたとしか書いていませんので詳細は不明です。
製薬会社のコメントです。
T.S
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肝腎症候群 その2

今回は治療についてです。
肝硬変と腹水に伴った急性腎不全はHRS の可能性が高い場合も腎前性腎不全を必ず否定する必要がありますのでまずは生理食塩水などの等浸透圧性輸液とアルブミン(1g/kg/day) によるvolume expansionを試みる必要があります。また腹水による腹腔内圧の上昇(abdominal compartment syndrome)が疑われる場合は腹水穿刺を行い腹水の除去を行う必要があります。この場合もアルブミンの補充が必須です。現在ある治療選択肢は大きく分けて血管収縮治療とTIPS (Transjuglar intrahepatic portosystemic shunt)です。
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血管収縮治療は1) Midodrine + octeriotide 2) norepinephrine or terlipressinが現在もっとも多く行われている治療です。1)についてですが、midodrine(血管収縮作用)とocteriotide(門脈圧を下げる)はアルブミンとの併用が前提としています。おそらく米国ではこれが最もよく行われている治療ですがそれをサポートするエヴィデンスはいまのところありません。前向き臨床研究はいずれ小さいものですが死亡率、腎機能の改善に至ったと示されています。この治療が有効な例はいずれも平均3日程度でMAPの上昇と尿量の増加がみられます。後ろ向きデータ解析でも同様の結果が示されています。面白いことにこのstudyではMidodrineの量に治療反応性の相関はみられませんでした。

欧州で認可されているterlipressinという血管収縮薬はとても良いようです。この大きなランダム化臨床試験によるとプラセボ+アルブミン群に比較してterlipressinの治療(14日間)は腎機能(Cr<1.5)と短期死亡率の改善(14日目)に加えHRSの再発が少なかったとしています。Midodrine+octeriotideとterlipressinを比較した試験は要旨のみでの結果によると30日での生命予後に差はなかったものの、responderはterlipressin(92%)midodrine+octeriotide (54%)と前者に多かったとしています。では古典的なnoreinephrineとの比較はではどうでしょうか?これら小さなpilot studyによるとHRSの治療成績に差はないとしています。すなわちHRSの治療で最も大事なのはMAPを上げることであるとこのpool analysisでも強調されています。一つの機序として末期肝不全では交感神経系の活性から、腎血流のautoregulation curveが偏移していることが考えられています。すなわちHRSのでは血圧を通常よりも高く保たないと腎血流量は上昇しない可能性があります。したがってHRS患者が一般病棟でmidodrineで反応しない場合、ICUへ移しnorepineprineやterlipressinの投与により血圧をさらに上げるか後述するTIPS で交感神経系の亢進を抑制する事が重要になります。

アルブミンの投与はいずれの治療薬との併用でも大事になってきます。肝硬変とSBP(Spontaneous bacterial peritonitis)を伴った患者に抗菌薬(cefotaxime)にアルブミン(初日1.5g/kg/day、以降1g/kg/dayを3日間投与)を投与した場合とそうでない場合をみた結果、腎不全と死亡率(3ヶ月)に有意差があったとしています。またHRSでteripressinにアルブミンを併用した場合としなかった場合も腎機能と死亡率(3ヶ月目)に差がみられたとしています。

ではlarge volume paracentesis (LVP)はどうでしょうか?いくつかのstudyでLVPは腎機能を悪化させるという報告をしていますが、例えばこの報告をよく読むと腎機能の悪化はAKIではなくCKDであることがわかります。最近のstudyでは血行動態のモニタリングのもとLVP+アルブミンにより腹腔内圧を平均で25から9mmHgに下げた場合、腎機能の改善がみられ安全性も確認されています。

TIPSは数々のstudyがHRSへの有効性を示しています。TIPS は経静脈的にカテーテルでアプローチし、肝静脈と門脈に交通をもたせ門脈圧を下げる手技です。これにより消化管出血や腹水を減らす他、HRSでは腎機能の改善や交感神経系の亢進を下げ生命予後の改善につながるとしています。患者の状態をみながらですがTIPSを行える状態であれば行うべきです。

最後に末期肝不全で透析をするか否かについてひとこと。結論から言うとしてもしなくても生命予後に影響はきたしませんので肝移植の可能性がある場合を除き、個人的には透析はオファーしません。このあたりはいろいろな意見があるようですがこれら文献を見てください。

まとめるとHRSは除外診断なので最初はアルブミンなどでvolume expansionを行い腎前性腎不全を否定する必要があります。腎血流を保つのに大事なのは血圧を上げること。また腹腔内圧が高い場合は腹水穿刺をを行うことも考慮し、可能な限りTIPSを行うべきです。ただしHRSに関連した大きな臨床研究がないことから標準治療はいまのところ確立されていません。以上、HRSの病態から治療まで簡単におさらいしました。

T.S
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肝腎症候群 その1

腎臓内科医が診断や治療に悩むのが肝腎症候群(Hepatorenal syndrome:HRS)です。今回は肝腎症候群の歴史と病態生理について、2回目は治療について大事なstudyを取り上げながら書いてみます。
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HRSの病態生理は、肝硬変などにより門脈圧亢進が続くと内臓や全身の血管拡張(splanchnic vasodilation)から有効循環血液量の低下を招き、その反動で交感神経が亢進し腎血管の収縮から腎虚血→腎不全をおこすためと考えられています。強力な交感神経系の活性から体液貯留をおこし腹水がみられるのも特徴です。
HRSの概念は1863年にすでにAustin Flintによって指摘されています。その後、肝性昏睡で亡くなった方の腎臓を剖検した症例報告によると、18/22人の腎臓は正常所見であったことがわかり、肝硬変に伴う腎不全は腎実質障害よりも、虚血による影響が大きいことが指摘されました。
これを実際画像で鮮明に証明したのがこのstudyです。HRSの患者の腎臓を造影すると腎虚血があるが(左)剖検時、腎臓を取り出し再度造影したところ今度は血管がくっきりと造影されている(右)のがわかります(注:HRSの腎臓を造影したのはこれが最初で最後だと思います)。
シクロスポリンが使用される以前の1969年のこの報告ではHRS(罹患期間5-104日)の診断で亡くなった方の腎臓を7人のESRDに移植をしたところ6人中7人が14日目で良好な腎機能を維持していたとされます。したがって今でも、HRSによる虚血による腎障害の可逆性を決める期間は90日程度とされます。

HRSの診断は除外診断ですので、腎前性の急性腎不全やATNなどを否定する必要があります。そういっても、最後までATNかどうかわからない事が多いのも事実です。HRSの診断基準は腎臓内科ではなく消化器医が決めています。このガイドラインは2007年に改定されましたが、以前あった尿中Na<10meq/lや乏尿の記載が外れているのと、最近では特に重要視されている腹腔内圧に関しての記載がありませんので注意が必要です。またCrの上昇の規定も曖昧で、肝硬変でよくある筋肉量の低下した患者さんは特にそうですが仮にCr0.5から1.4に上昇したら急性腎不全ですが、これだけみるとHRSの診断から外れてしまいます。したがってHRSの診断には注意をはらう必要があります。このあたりこの記事によく議論されています。

次回はHRSをの治療について書いています。

T.S
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腎不全におけるオピオイドの使用 (Part 2)

Codeine
Codeineはプロドラッグでそれ自体はオピオイド作用がありません。同じくCYP2D6により代謝されMorphineになります。この酵素の低い人種はPoor metabolizerといわれcodeineによる鎮痛作用が見られなかったり、逆にrapid metabolizerは急激にmorphineへの変換が行われ中毒作用を呈する人もいます。Codeineは腎不全では体内に蓄積しますし、分子量やVdが大きく透析では除去されないことから、透析患者での使用は禁忌です。

Fentanyl
Fentanylはmorphineの100倍もの鎮痛力を有するオピオイドで、即効性があり半減期も短い薬です。手術中の痛みのコントロール、癌の疼痛緩和や慢性疼痛などに使用されます。外来で処方されることが多いのが比較的緩徐に効くパッチですが、用量を守らないと呼吸抑制などの副作用を引き起こします。Fentanylは肝臓でほとんど不活性物質であるnorfentanylに代謝されます。中等度以上の腎不全では腎臓からの排泄が遅延することが報告されています。透析ですが、fentanylは分子量が大きく、タンパク結合率が高く、Vdも大きく親水性が低いので透析では除去されにくいです。

Meperidine
Meperidineは当初morphineなどのオピオイドに比べ効力があり、依存性が少ないなどとうたわれていましたが、実際はその反対で、痙攣の閾値を下げたり、セロトニン症候群をふくめ様々な問題があることが指摘されています。Meperidineは肝臓で半減期のきわめて長いnormeperidineに代謝されますが、腎不全があるとこの半減期がさらに延長し、血中濃度が上昇します。したがって腎機能障害のある場合は使用が薦められません。またnaloxoneなどのオピオイド受容体拮抗薬も無効です。その理由としてnormeperidineの抗コリン作用が指摘されています。この薬は分子量が小さく、親水性があり透析で除去されやすいと報告されています。
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Methadone
Methadoneは経口のオピオイドできわめて半減期の長い薬です。作用するオピオイド受容体がmorphineやheroinと同様で効力が長く持続することからアメリカではヘロインなどのオピオイド依存症の治療に使用されます。癌の疼痛緩和や慢性疼痛のコントロールにも使用されます。代謝物の排泄経路ですが半分は便、残りが腎臓です。きわめて親水性が低くVdが大きく、タンパク結合率の高く透析では除去されにくいのですが、少ない報告によると腎不全患者には安全に使用できる薬とされます。


オピオイドを腎不全患者に使用する場合は代謝物質が腎排泄のことが多いため投与量の調整が必要になってきます。腎不全/透析ではoxycodone、codeine、meperidineの使用は避けたほうがよい一方でmethadoneは便排泄であることと、fentanylは代謝物質が不活性であることから比較的安全に使用できるとされます。ただし、透析ではともに除去できないので注意が必要です。

参考文献

T.S
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腎不全におけるオピオイドの使用 (Part 1)

NSAIDsは血管収縮をきたしますので腎機能障害のある患者での使用は腎機能の悪化を招くことは知られていますが、オピオイドなら比較的安全に使用できると思っている人は結構多いように感じます。各オピオイドの薬物動態を知り腎不全で使用する際の注意点をいくつか上げてみます。
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Morphine
Morphineは肝臓で代謝され多くは腎臓から排泄されますので腎不全では代謝産物の蓄積が問題になることがあります。中でも活性代謝産物(鎮痛作用を有する)のmorphine-6-glucronide(M6G)は代謝産物中10%程度と少ないものの、腎不全での使用は呼吸抑制作用や中枢神経作用を増強する可能性(脳血管関門(BBB)を通過する)があるため、投与量の調整が必要になります。MorphineやM6Gはタンパク結合率が低く、比較的親水性であるため透析でよく除去されます。しかしM6GがBBBを通過し脊髄液に移行した場合は除去が遅延します。

Hydromorphoneやhydrocodone
HydrocodoneはCYP2D6という肝酵素によりhydromorphoneへ代謝されます。Hydrocodone自体オピオイド受容体に作用し鎮痛作用を持ちますが、鎮痛力が何十倍も強いhydromorphone(morphineの8倍)に比べると小さいので、CYP2D6がもともと少ない人は鎮痛作用が減弱します。Hydromorphoneは肝臓で代謝され、代謝産物は腎臓から排泄されます。代謝産物のひとつhydromorphone-3-glucronide(H3G)は鎮痛作用は有さないものの、幻覚、興奮など神経刺激症状を持つとされます。腎不全ではhydromorphoneや代謝物の血中濃度は上昇することが知られていますので、投与量を少なくするとともに投与間隔を広げる必要があります。Hydromorphoneは名前のとおり親水性で、分子量も小さくvolume of distribution (Vd)も小さいので透析で容易に除去されます。

Oxycodone
経口投与での生体利用効率が高く、morphineの2倍程度の鎮痛力を有することからoxycodoneは米国では頻繁に使用される薬です。実に世界の80%のoxycodoneはアメリカで消費されているそうです。この薬はstreet drugとしても使用され、結構な高値で売れるのでこれを目当てで来るdrug seekerも多くいます。Hydrocodone同様CYP2D6による代謝を受けるので、この酵素が不十分な人では鎮痛作用は減弱する可能性があります。代謝産物は沢山ありここでは書きませんが、多くは肝臓で代謝され腎臓より排泄されるので、腎不全での使用は代謝物の蓄積を引き起こし、鎮痛作用の増強や遷延他、副作用の増強が予想されます。OxycodoneはVdが大きいのですがタンパク結合率が50%程度で親水性のため、理論上透析では除去されますが透析に関するデータはなく、一般的に透析患者での使用は推奨されていません。

次回はcodeine, fentanyl, meperidine, methadoneについて書きます。

T.S
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