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Extremophiles

最初の生物が出現したのは今から40億年前、およそ地球誕生から5億年後といわれています。我々の最古の先祖はhyperthermophilic mocrobesとよばれる、高温下で生存可能な生物だったと推測されています。Hyperthermophilic microbesを含めて、極端な環境下で生息する生物はextremophilesと呼ばれ、多くの場合それらは古細菌(archaea)です。例えば古細菌で最初に遺伝子解析されたMethanococcus janneschiは200 atmという高圧、85度という高温下で活動します。他の古細菌の中には113度の高温で繁殖するものや、高濃度塩(5 M)、強い酸(pH 0)で活動可能なものもいます。Deinoccocus radioduransに至っては、高濃度放射性物質と乾燥に強いので核廃棄物の中で生存可能です。 Metagenomics projectsが色々進行しているので、今後さらに我々の想像を超える生物が見つかるかもしれません。Metagenomics とは一般に海水をランダムにサンプリングして遺伝子解析したり、腸内細菌を全てシークエンスにかけるようなアプローチです。
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我々にもう少し近い動物に目をむけると、extremophilesほど極端でないにしても、我々からみるとextremeだと思える例は多くあります。腎臓に関連したものをここにいくつかあげてみます。
1. 鳥は常に高血糖ですが糖尿病性腎症を含め高血糖による合併症をきたしません。
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2. 熊は半年近く冬眠し、その間排尿しません。GFRは低下し、creatinineは1 mg/dlから3 mg/dl台になりますが、冬眠から明けると腎機能はもとに戻ります。また、筋萎縮や骨粗鬆症にもなりません。
3. 亀は長時間呼吸せずに泳げます。泥の底で冬眠する亀も少なくありません。冬眠中亀は嫌気的にATPを維持しますが、代償として高乳酸血症になります(150 mM)。しかしながらpHは生理的範囲内に維持されます。理由のひとつとして、亀は自分の甲羅を溶かして重炭酸濃度をあげることが知られています。
4. 最後にpHの維持に関連して人と魚。ヒマラヤに住む民族、Himalayan SherpasのPaCO2 は20 mmHg、HCO3- は14 mmol/L、そしてpHは生理的範囲内です。これは高山での”adaptation”です。魚は水中の酸素をえらからとりいれる際に大量の水を通過させないといけないため、CO2はwashoutされて2 – 4 mmHg程度です。HCO3- は3 - 6 mmol/LでpHは 7.5程度と生理的範囲内です。Garfish (“Lungfish”)はえらと肺の両方を持っています。冬季はえら呼吸のみなのでPaCO2 3 mmHg, HCO3- 6 mmol/L前後ですが、水中の酸素濃度が下がる夏季には未熟な肺を使います。結果、PaCO2 13 mmHg, HCO3- 10 mmol/Lとなり、pHは変化しません。
鳥も熊も亀もあまり産業とかかわっていないので生理学的研究が進んでいませんが、次回以降もう少し詳細に触れたいと思います。

波戸 岳
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CKDの透析予想計算機

みなさんの外来にもいらっしゃいますよね?Cr2.5程度で何年も安定しているCKD患者さん。一方でCrが1.8程度でまだ大丈夫かなと思っている人があれよあれよという間に進行して透析導入になるケース。CKD患者さんの透析導入予想ができたらよいと思いませんか?
そんな我々腎臓内科医の願いをかなえてくれる?かもしれない朗報があります。
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先日JAMAに発表されたこのstudyはCKD3-5の患者さんが将来腎不全に至る可能性を数値化しています。カナダと英国の大きなcohortを元に、さまざまなデータを分析し、腎不全をアウトカムとした場合に、どう入った要素が重要かを7つのmodelに分けて、実際のアウトカムと予想されるアウトカムを比べたようです。その結果、最も正確にCKD患者の腎不全を予想する要素は低GFR、低年齢、男性、アルブミン尿、低血清アルブミン値、高リン、低HCO3、低カルシウムでありこの要素を用いたmodelのc-statisticsは0.92と極めて高い数値になっています。驚いたのは、糖尿病や高血圧の有無、血圧の値や体重は予測に影響しないということです! そんなわけないと思うわけですが、理由としてCKDのほとんどはDMとHTNの罹患があることと低GFRやアルブミン尿がある状態ではすでに上記の要素による違いが影響を来しにくいという理由です。(決して血圧や血糖コントロールをしなくてもよいということではないです)
このstudyを元に作成された2年及び5年後に腎不全予測計算式はここ(Excel、スマートフォンapp )にあります。こういった予想式により、腎臓内科医に見てもらうべきハイリスクの患者さんの同定ができることや透析準備に入る大まかな予想ができたり、特にpreemptiveの腎移植希望の患者さんはメリットがあるかもしれないです。何よりも普段測定するデータで予測できるところがいいです。一方で5年後の腎不全のリスクが30%だったとしてもじゃあどうすればよいかという問題がありますが、やはりmodifiable factorの改善は絶対に行うべきであることはわかります 。(アシドーシス、CKDーMBD治療、RAAS阻害による蛋白尿の減少etc.)この論文はぜひ一度読んでみてください。
T.S
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糖尿病性腎症 (DMN) の自然経過

最近外来で診る腎臓病の多くは糖尿病です。指導医に"CKD secondary to DM"というと、なぜDMによるかを説明させられます。DMNはDM患者の30-50%さんにみられ、DMNに至るまでには少なくとも15年は必要と教わりますからDMの罹患歴は重要です。DMNへ至るには、初期のhyperfiltrationを経て、microalbuminuria からproteinuriaそしてGFR低下と経過していくのが一般的です。腎臓のサイズはhyperfiltrationからか比較的大きく、尿所見では血尿の頻度は比較的少なく、糖尿病性網膜症の存在はDMNの診断に重みを持たせるといわれます。このようなことがどのようにして分かったかは知っておくとよいですので、数ある文献からいくつか選んで見ていきます。1) DMNの自然経過 2)DMNの進行/アウトカムの2回に分けます。
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私がいるMUSCの腎臓内科のある指導医いわく、"DMは昔、NYとJoslin(ボストン)しかまともにやっていなくてNYでは血糖が腎症に影響するとは思っていなかったけど、Joslinではきっちり管理していて彼らが結局正しかったんだよ"なんて言っていましたが、そんな時代から現在は血糖管理に加え、RAAS blockadeを含めた血圧管理、インスリン抵抗性の治療などが加わり、大規模なclinical trial によりDMNのアウトカムが明らかになってきていますが、依然としてDMNはESRDへと移行します。無治療のDMNは年間GFRが10ml/min低下し、降圧療法により5ml/min/年に改善、RAAS blockadeで4ml/min/年改善することはここで書いています。

DMNの初期(70ー80年代)のstudyはほとんどが1型糖尿病についてばかりでした。その大きな理由はDM (II) はonset の確定が難しいことと、1型は若く、HTNを呈していないことが多くstudyがしやすいということがあると思います。腎臓のサイズについてですがChristiansenのstudyによると初期のDM(I)発症後2年程度ですでに腎臓のサイズとGFRの上昇が見られるとしています。したがって”1型糖尿病の初期(microalbuminuria出現前)ではすでに大きな腎臓とhyperfiltrationがある”ことが分かります。またmicroalbuminuriaがDMNの発症を予測できるかということに関してはMogensenが1984年にNEJMに報告しています。DM(I)患者43人(平均DM罹患12年)をmicroalbuminuria (-) 、microalbuminuria (+)にわけ10年観察した結果、血圧を保ってもDMNに至ったのはmicroalbuminuria (+)のグループであるとし”microalbuminuriaはDMNのriskである”と結論しています。Rudbergらは若年のDM(I)でmicroalbuminuria (-) とmicroalbuminuria (+)を呈した計64人を8年間追跡し、DMNに至ったグループとそうでないグループとでみたとき”hyperfiltrationの存在はDMNを予測できる”と報告しています。また血糖コントロール不良((A1C>8)がmicroalbuminuriaの出現に関与していることはこのstudyが示したとおりです。

したがって1型糖尿病腎症の自然経過としては初期からhyperfiltrationがおこり、血糖管理の不良はアルブミン尿の出現を招き” hyperfiltration /microalbuminuria”の存在はDMNへいたる一つのサインであるといえます。

次回は糖尿病性腎症 (DMN) の進行/アウトカムについてふれます。

T.S

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Medulla II: Conflicting demands

Medulla is like Hellと言い切る人もいますが、実際にそうなのかもしれません。浸透圧が非常に高く、低酸素な環境は細胞にとって決して好ましいものではありません。まず、腎臓髄質の低酸素下ですが、皮質でのoxygen tensionは70 mmHgほどありますが、outer medullaからinner medullaに入る時点で30 mmHgまで低下しています。Inner medullaの先端では10 mmHg以下しかないといわれています。
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低酸素に加え、腎臓髄質は高浸透圧です。腎髄質での浸透圧は大雑把に言えば半分は尿素、残り半分はNaなどの電解質から構成されています。話がそれますが、臨床の場でBUNが高くても、BUN自体は無害だから(透析しなくて)大丈夫、という主張を耳にします。確かにBUNが70 mg/dlなどというレベルではそうかもしれませんが、極端に高濃度の尿素は決して無害ではありません。尿素はdenaturantの代表です。実際、蛋白のunfoldingを促すために実験の現場で長年使用されています。高濃度のNaも同様です。例えばaffinity chromatographyで抗原抗体のbindingをほぐす時など、色々な場面で蛋白をdestabilizeする性質が利用されています。我々の細胞が正常に機能するために、正常な蛋白の働き、正常な蛋白のfolding、は非常に重要です。事実、腎臓髄質ではheat shock proteins (HSP)など、正常にfoldingしていない蛋白をレスキューするchemical chaperonesが、皮質と比べて何十倍も多く(正常腎で)発現しています。 たとえばHSP70だけで腎髄質の総蛋白量の0.5%を占めます。高浸透圧な環境で細胞が機能し続けるために必要なのだと思います。

髄質での低酸素と高浸透圧には密接な関わりがあることが知られています。前回述べたように、thick ascending limb (TAL)でのNaCl再吸収は、髄質での浸透圧を生み出すために、非常に重要です。事実、TALでのNa+K+ATPaseの働きはNaCl再吸収/浸透圧維持のために非常に活発で、大量の酸素を消費しています。しかしながら、TALでの酸素消費のために、これより深部にいくdescending vasa recta (DVR)は低酸素になります。Outer medulla以深が低酸素になる理由は他にもいくつかあります。
1)DVRとascending vasa recta間でのcountercurrent systemが、深部への酸素供給効率を悪くしてます。一方でこのcountercurrent systemは腎髄質の浸透圧物質の洗い流しを防ぐために重要です。
2)血管の減少。DVRの4/5はouter medullaでU-turnして皮質に戻っていきます。わずか1/5のDVRがouter medullaより深部の髄質に入っていきます。
3)遅い血流速度。DVRの血流速度は遅く、酸素供給に最適とはいえません。DVRの周りにはpericytesが存在しており、髄質深部へ行く血流速度が調整されています。髄質での早すぎる血流速度は浸透圧物質を洗い流してしまいます。遅い血流と、そしてごく限られたDVRが髄質深部に入っていく構造は、浸透圧維持にはプラスに働くようです。過度の血流不足で組織が虚血に至らないようnitric oxidide等の物質を介して微妙なバランス(酸素供給vs 浸透圧維持)が保たれているのでしょうが、腎髄質に虚血に対する予備能があまりないのは想像に難くありません。
4)また、TALとDVRは解剖的に離れており(少なくともラットでは)、腎虚血時にTALがダメージを受けやすいことに加担している可能性があります。一方で、TALとDVRが位置的に離れているのは髄質の浸透圧を維持するのに都合が良いようです(computer simulation)。

最後に、昨年のMDIBLの追記ですが、MDIBLのコースではNa+K+ATPaseによる腎臓組織の酸素消費の変化を、Na+K+ATPase inhibitorなどを用いて測定しました。Platinumの電気抵抗が酸素濃度によって変わることを利用して酸素消費を測定しました。腎臓で、酸素の80%はNa+K+ATPaseのために使われていると言われています。

波戸 岳

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大前研一 地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後

大前研一氏が地震や原発の被害を分析し、中長期的な予測をたて
今後どのように対応するべきかをしっかりと説明しています。
1時間ほどですが聞く価値があると思います。

T.S

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東日本大震災

2011年3月11日に起きました東日本大震災で亡くなられた多くの方にご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。地震、津波に加え福島原発の放射能汚染と数多くの問題をかかえる中、日本の皆さんが一致団結して助け合い復興に頑張っている姿には、ただただ感動と称賛の声がこちらアメリカでも聞こえてきます。寝る暇もなく救助活動にまい進されている方々には本当に感謝の気持ちと尊敬の念を抱くばかりです。今回の地震は、海外にいる私にも地震の様子を伝えるニュースに始まり、各団体のメーリングリストや掲示板からタイムリーに様々な情報交換が行われるのを目の当たりにすることができ、本当にネットワークの凄さを感じています。一方、被害が大きかった地区ではネットや電話などが使用できないことから孤立し、こういった貴重な情報交換の場に参加できないなどの問題もあることと思います。医療活動が水や電気や石油などのエネルギー不足により支障をきたしたことから、避難所や病院で衰弱および亡くなられるケースも多々あることを聞くと地震の大きさを改めて感じますし、2次的な被害をいかに最小限にとどめられるかという問題は大きいと感じます。腎臓に関しては透析患者さんを様々な施設に搬送するやりとりをメーリングや掲示板で活発に情報交換が行われるのをみて病院のみならず、行政とのやりとりを何よりも早く行うことが大事であることは多くの情報から学ぶことができます。海外にいると直接この状況に参加できていない歯がゆさを感じておりますが、今回の東北の地震で多大な被害に遭われた方々の一早い復興と原発の被害がどうか最小限にとどまることを心からお祈り申し上げます。
T.S
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Medulla I: Urine concentrating mechanism

尿濃縮は、水へのアクセスが限られた陸上での生活を可能にする、非常に重要な腎臓生理のひとつです。我々霊長類の尿濃縮能は1,000 – 2,000 mOsm/kgH2Oですが、マウスやハムスターは4000 mOsm/kgまで尿を濃縮します。砂漠に生息する哺乳類などは10,000 mOsm/kg近くまで濃縮可能なものもいます。小さな哺乳類の、数センチにも満たない腎臓髄質でこれを成し遂げるのは驚異的なことです。
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尿濃縮にあたって、thick ascending limb (TAL)での能動的なNaClの再吸収をdriving forceとする、 countercurrent multiplicationが重要なのは言うまでもありません。Outer medullaにおける尿濃縮はこのcountercurrent systemに全面的に依存していることは、1950年代にこのシステムが提唱されて以来、micropunctureやcomputer simulationなどで多角的に証明されています。臨床ではfurosemideで容易にTALでのNaCl再吸収の重要性を理解できます(高Na血症)。

しかしながら、このcountercurrent systemのみではそれより深部(inner medulla)での尿濃縮の説明をつけることができません; Inner medullaではpapilla方向に進むにつれ尿素の濃度が急速に上昇しますが、NaClの濃度もouter medullaから引き続き上昇を続けます。
まず一点は、尿素の急速な濃度上昇がUrea transporterを介して受動的におこりますが、その背景となるdriving forceが何なのかいまひとつはっきりしません。二点目は、能動的なNaClの再吸収はTALのみなのに、どうしてinner medullaでNaClの受動的な再吸収が持続するのか不明です。以前はNaClの受動的な再吸収が尿素濃度に依存しているという説 ”passive hypothesis”が有力でしたが、現在は疑問をとなえるグループが少なくありません。事実、2000年代前半に、いくつかのUrea transporter knockoutsが検証されましたが、それらは腎臓髄質の尿素濃度低下を示したものの、髄質のNaCl濃度に影響を及ぼしませんでした。ここここのレビューを参照。
数ヶ月前に、尿濃縮のメカニズム解明をライフワークにしているグループのトークを聴く機会がありましたが、実際のところまだまだ尿濃縮の解明は遠そうです。彼らは腎臓髄質の秩序だった構造が尿濃縮に関与していると仮説をたてて、髄質の3D構築computer simulationを中心に研究をしています。他のグループもいくつか異なる仮説を発表していますが、いずれも仮説にとどまっています。

波戸 岳
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Countercurrent multiplication

腎臓は1日あたり180Lもの濾過機能を有しますが、その1%前後しか尿として排出しません。その理由は水と電解質のほとんどは主に近位尿細管とヘンレのループで再吸収されるためです。体液バランスの変化に対応するため、人は尿を血漿浸透圧の1/5程度まで希釈したり、最大1200osmol/kg前後まで濃縮することが可能です。尿は浸透圧の高い尿細管間質と平衡状態に達することにより濃縮されますが、間質は一体どうやって高い浸透圧に達するのでしょう? これにはヘンレの太い上行脚 (thick ascending limb: TAL) における countercurrent multiplication というネフロンのユニークな機能が関与しています。
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TALは水に透過性がありませんので糸球体で濾過された尿が285mmOsmであると仮定すると、この図 から分かるようにTALではNaClのみが再吸収され、その結果、尿細管腔は低浸透圧になり、間質は高浸透圧になります。その後、下行脚の尿は浸透圧の高い間質と平衡状態に達します。この過程が繰り返し行われ最終的には髄質では高い浸透圧を作ることができます。したがって遠位尿細管に尿が達するころには尿は極めて希釈された状態であることがわかります。もし水をたくさん飲むと、水は腸管から吸収され、血漿浸透圧は低くなりますので、下垂体からvasopressin (ADH) の分泌が抑制され、集合管における水の再吸収が抑制され、上記の希釈尿はそのまま尿として出ていきます。一方、塩分負荷は血漿浸透圧を上昇させ集合管でのADHの作用から、アクアポリン (AQP2) が尿細管腔側に誘導され水を多く吸収することにより尿は濃縮されます(実際は口渇中枢が刺激され水を飲むためvolumeが負荷された状態になります)。また、ureaは集合管髄質遠位部で濃度勾配によって受動的に間質内にurea transporter(UTA1)により取り込まれますが、これはまた別の機会に話します。
このように最終的な尿の濃縮調整は集合管におけるADHに依存していますが糸球体で濾過された水と塩のほとんどは近位尿細管やレンレのループで再吸収されています。それを可能にする countercurrent multiplication はとてもユニークなネフロンの機能です。

T.S
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ドーパミンの利尿作用

ドーパミンはdopaminergic effect (dopamine receptor)とadrenergic effect (αとβ receptor)をあわせもつ昇圧剤ですが、利尿作用もあります。この図からわかるようにL-dopaは近位尿細管の尿細管側(apical)と血管側(basolateral)から取り込まれ、ドーパミンに変換されると、細胞外に分泌されG protein coupled receptor (GPCR) であるドーパミンレセプターに結合します。この結果Na+cotransporter、 Na+K+ATPaseが阻害され、尿細管におけるNa+の再吸収を阻害することにより利尿をもたらします。したがってドーパミンは尿細管ではパラクリン作用があるといえます。
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少量のドーパミンはdopaminergic effectによる血管拡張作用とadrenergic effect心拍出増加(β)及び renal perfusion増加(α)作用に加え、上記の利尿作用を期待できることから、少量点滴(0.5-3ug/kg/min)を用いてさまざまなstudyが過去には行われましたが、結論からいうと少量のドーパミンやFenoldopam(D1 receptor agonist)はsepsis、心臓手術後、contrast inducedなどに伴う乏尿性のAKIには利尿効果がみられない上、AKI、生命予後を改善しないため、現在ではその使用は推奨されていません。ICU管理されるようなAKIは概して交感神経系がすでに過剰に亢進している上に、ATNなどにより尿細管のmembraneが損傷していることまたドーパミンが正常な状態で尿細管にとどかないなどさまざまな理由が考えられます。また少量でもむしろ腸管壊死を招きやすいなど副作用も指摘されています。ただしループ利尿薬ほどではないですが、正常の腎臓にドーパミンを使用すると高い利尿作用が上記の機序から期待できます。

T.S

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HCV Cyclosporine

サンフランシスコのカリフォルニアパシフィックメディカルセンターで消化器内視鏡フェローをしている橋本裕輔と申します。現在1日10件ぐらいの治療内視鏡を中心とした研修をしています。仕事は週4日内視鏡を中心としていて遅ければ9時まで働いています。週1回リサーチのための時間が設けられており、充実した時間を過ごしております。
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今回は、私の経験から先生方が精通しているサイクロスポリンについて話をしたいと思います。実はサイクロスポリンは新たなHCV(肝炎ウイルス)治療薬となる可能性があります。HCV治療はインターフェロンとリバビリンと思われるかもしれません。また、なぜ免疫抑制剤を使用するのかという素直な疑問がわいてきます。私が勤めていた昭和大学の分院で劇症肝炎を扱っていました。劇症肝炎というと米国では通常移植の適応であり、他に手だてがないというのが現状です。しかし日本ではそういう訳にはいきません。同院では20年前から免疫応答が異常に爆発している劇症肝炎の患者さんにステロイドパルスや血漿交換などの治療を行っておりました。もちろんそれに加え、B型肝炎であれば抗ウイルス薬(現在はエンテカビル)、C型肝炎であれば(インターフェロン)というのが常でありました。さらに免疫を抑え、肝炎を鎮めるのに使われたのがサイクロスポリンでした。

HCV劇症肝炎患者の治療に伴う血中HCV濃度を検索したところ、明らかにサイクロスポリンを投与した症例の方が血中濃度が優位に低く、サイクロスポリンA (CsA)がHCVの増殖抑制をしていることがわかりました。さらにその後の研究によって、サイクロスポリンA(CsA)は宿主である我々のタンパク誘導を抑制することで複製を制御することがわかりました (CyPカルシニュリン(CN)/NF-AT経路P―蛋白質A)。サイクロフィリンBがHCVの複製を行っているある蛋白の活性化に必要であることが分かり、CsAは環状ペプチドでサイクロフィリンの結合部位を有していることも分かりました。つまり宿主でのHCV―RNA複製機能を抑えるのです。ただし、これだけでは複製機能を抑えるのみであり、ウイルス排除を期待できません。そのため同時にインターフェロンを投与することが必要でした。

私はこの治療を10例ほど経験しました。サイクロスポリンは血中濃度が条件によって左右されやすく、副作用も強いため血中濃度モニタリングが常に必要で、臨床的に困難でありましたが、通常の治療で失敗したジェノタイプ1の患者さんで持続的にウイルス排除できた方がいらっしゃいました。現在、副作用の少ないサイクロフィリン結合に焦点をおいた薬品がヨーロッパで臨床治験中と聞いております。欧米では抗ウイルス薬が第3,4世代と進んでいるため(非常に有効と聞いています)、将来実際に日本やアメリカの臨床の場にでてくるかどうかは現時点ではわかりません。今回は、サイクロスポリンの異なった作用について書かせていただきました。

橋本裕輔
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