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塩分摂取と高血圧

塩の取り過ぎは血圧の上昇につながりますし、高血圧は心疾患、脳血管障害などにかかわります。日本人は塩分摂取量が欧米に比べ高いといわれています。実際、1970年代後半まで日本人の死亡原因第1位は脳血管障害でしたが、適切な血圧管理と減塩の概念が浸透してきた結果でしょうが、今では脳血管障害は3位になっています。(図6)
DASH.jpg
実際、世界の人々の塩分摂取量を最初にきちんと見たstudyはおそらく
INTERSALTではないかと思います。これは32カ国のさまざまな人口の血圧とナトリウムの排泄などを観察した結果、尿中ナトリウム排泄は血圧の高さに相関するというものでした。またK排泄は血圧に逆相関していたようです。このなかで興味深いのが極めて塩分摂取の低い民族がいるということです。Yanomamo, Xinguとよばれるブラジルのインディアンはほとんど塩分を取らないため高血圧がいません。なんとYanomamoの人たちの尿中Na排泄は1mmol/day=23mg/day だそうです! これは低塩分食(ナトリウム2300mg)の1/100です。これらの民族には一切高血圧がいませんし、血圧上昇率が-0.8/10年だそうです。ただ、背はみな低く、平均寿命が50歳代なので遺伝的疾患があるのかもしれません。また、この調査が行われたのはもう40年も前の話なので、Yanomamoの現在の状況を調べて見ると興味深いですね。(i phone、internetの時代ですから彼らも。。。)

こちらで健康によい食事の代名詞はDASH diet(野菜や果物、穀物、低脂肪食)とされています。これはDietary Approaches to Stop Hypertensionの略ですがこのstudyを取り上げます。

400人ほど(疾患なし、s-BP120-159、血圧薬なし)を4週間同施設で通常の食事とDASH食を食べるグループにわけ、さらに各々を塩分別(ナトリウム換算で)1.2, 2.3, 3.5gにわけました。その結果、DASH食(高塩分グループ)を食べた人たちは通常食にくらべると、収縮期血圧が6mmHgも下がったそうです 。これはかなり大きな数字です。またもっとも血圧を下げたグループはDASH+低塩分です。DASHが血圧を下げる最大に理由は高K食であるからだと思われています。Yanomamoの食事もほとんどフルーツや穀物でしょうから、かれらの尿中KもDASH食の人たちと同じかそれ以上に高かったわけです。

DASH食=降圧薬一つ分にあたりますので、降圧治療のまず最初の処方せんであるべきですね。

T.S

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悩ましい透析患者でのMRSA血流感染症 Part 2 ( 耐性)

S. aureus (今回はMRSAに絞ります) が血培から検出された場合、もちろん抗菌薬治療が必要でvancomycinのトラフを15-20 mg/Lに保ちながら上述の期間治療します。当院では幸い薬剤部が入院中のトラフと投与量をモニターしながら、退院までに適切な量、投与間隔を教えてくれるのでそれに従っています。ただ、退院後にトラフがずれる例も多く、長期投与では、home infusion companyと連絡を取りながら微調整が必要な場合もあります。最近問題になってきているのはMRSAの中でもvancomycin のMICが高い株が増えてきていることです。
wash.jpg
CLSI (Clinical and Laboratory Standards Institute: 微生物の抗菌薬への感受性、耐性を分ける”breakpoint”と呼ばれるMIC値の定義、改定などをしている) の基準では、vanomycinのMICが≤2 mcg/mLであれば感受性 (susceptible) と判定されるものの、IDSAではvancomycin のMICが2で臨床的な改善が認められない場合、vancomycin以外の治療薬を考慮した方が良いとしています。これには例として以下のような理由が挙げられています。

1) h-VISA (Heterogeneous Vancomycin Intermediate Staphylococcus aureus) 患者に感染しているMRSAの集団のうち、vancomycinへの感受性が良いものと今ひとつのものが混ざっているためMICが高めに出る。このため、vancomycinを使い続けていると感受性の悪い株を選択していることになる、
2) Vancomycinの臨床的効果を得るためにターゲットとするAUC/MIC≥400はMICが2以上では到達しがたい。
また、hVISA やVISA ではvancomycinが使えない場合の治療の切り札となるdaptomycinへの感受性も悪くなるという報告もあります。いまだにcontroversialな領域ですが、IDSAのMRSAガイドラインに2人のauthorが入っている当施設では、vancomycinのMICが2の場合、原則としてdaptomycinでの治療を行っています。Linezolidもオプション (特に肺炎例では肺サーファクタントで不活化されてしまうdaptomycinは使えないので) ではありますが、殺菌性ではなく静菌性であるのと血小板減少 (ESRDではよりおこりやすい) やperipheral neuropathy, ocular toxicityなどの副作用のため、血流感染でvancomycinが使えない例ではdaptomycinに分があります。Daptomycinの主な副作用としてmyopathyがあり、CPKのモニターが必須です。昨年報告された意外な副作用としてeosinophilic pneumoniaがあり、当院でも最近1例見つかりました。またFDAの承認通りの量を使用すると (ちなみに承認量よりも高容量、10mg/kgを使用すべきという意見もあります)、ESRDの透析患者に対しては6mg/kg 48時間ごとの投与になってしまうので透析日とずれてしまうのもやや使いにくい点です。

というわけで、なかなかすっきりとはいかない透析患者でのMRSA血流感染症について書いてみました。

Wayne State University感染症フェロー
早川佳代子

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悩ましい透析患者でのMRSA血流感染症 Part 1 (ガイドライン、診断、治療)

Detroitにある当院での感染症科のコンサルト中で、最も多いのはなんといってもS. aureus、特にMRSAの血流感染です。Detroitの場合、IVDU (Intravenous Drug Use、ヘロイン) が原因のことも非常に多いのですが、各種ライン (PICC、CV), そしてHD カテーテルによるものも多いです。ここ数年、IDSA (米国感染症学会)からも立て続けにカテーテル関連感染症 (2009)、MRSA感染症の治療(2011) ガイドラインが出されています。
MRSA.jpg
 カテーテル関連感染症のガイドラインでは「カテーテル関連」であるための診断基準が詳しく書かれています。抜去したカテーテルのチップ培養の結果、15 colony-forming units以上の菌が見つかり(厳密には5cm以上の長さのカテーテル先端をコロコロと培地の上で転がす) 、更に同じ菌が末梢血血培からも見つかる (但しS. aureusの場合、カテーテルチップ培養陽性のみで末梢血血培陰性でも治療が勧めらています) というのが第1ですが、カテーテルをすぐ抜去できない状況も多く、末梢血よりも、カテーテルから得られた血培が2時間早く陽性になるという基準も可とされています。但し、HDカテ血流感染の場合、外来透析中にleukocytosisや発熱のため、HDカテから血培が取られ、それが陽性になったから (あるいは陽性になる前でも) 病院に送られてくるケースが非常に多く、末梢血培が得られていないことも多く(将来のshunt作成などのため採血困難な例もあり)、この2番目の基準も実際診療上有用とは言い難いです。日常診療では、他部位の感染症が否定的で、カテーテル感染に典型的な菌が陽性、HDカテの刺入部の炎症 (膿、発赤、疼痛など)、HDカテを長く使っている(何カ月以上も前に挿入された) などを手掛かりに診断している場合が多いです。

治療に関しては、同ガイドラインでは
1) カテーテルの抜去 及び
2) 血液培養が陰性化するまでに72時間以上かかっていれば4-6週間の治療を推奨しています。
もしも血培が72時間以内に陰性化し、かつTEE (経食道エコー) が陰性 (vegetationがなくIE: Infective Endocarditisが否定的) であればカテーテル抜去後に3週間の治療も可となっています。但し実際コンサルトを受けた場合、どれほど強くTEEを推奨するのかは悩ましく、1週間近く血培陽性が続いていれば間違いなく必要なものの、それ未満の場合はアテンディングによっても意見が異なります。

ごく最近CID (Clinical Infectious Diseases) に載った論文では、IEを予想するためにnosocomialなS.aureus 菌血症の場合、
1) prolonged bacteremia (>4 days)
2) presence of a permanent intracardiac device
3) hemodialysis dependency
4) spinal infection
5) nonvertebral osteomyelitisのうち、1つ以上を満たすというcriteriaを使ったところnegative predictive valueは99.2-100%であったという結果がでており (positive predictive valueは5.9-12.7%と低かった)、これを1つも満たさない場合、TEEは必要ないのではと結論付けていますが、hemodialysis dependencyは既に基準に入ってしまっているので、透析患者でのTEEの適応を絞り込むのには残念ながら有用ではありません。ただ例えば当院では、先月1カ月だけでもHDカテ由来の菌血症 (MRSAとCandidaが1例ずつ) に合併したIEの症例を経験しており、MRSA菌血症の症例は更に頸髄の硬膜外膿瘍まで合併していました。本当に少しでも疑わしければ (心雑音、塞栓症状、持続菌血症など) IEは常に重要な鑑別疾患です。

次回はMRSAの耐性についてお話します。

Wayne State University 感染症フェロー
早川佳代子

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CQI

以前フェローのスケジュールについて書いた際に、CQI (Continuous quality improvement)の発表が義務づけられていることを紹介しました。詳細はここでは述べられませんが、私は入院、外来における透析患者のとある問題に焦点を絞り話を進めました。CQI発表の際に作成したグラフの一部をここに添付しました。Inner cityに位置する、とある外来透析室のデータの一部ですが、日本の透析患者層と比較し、透析生存率などで大きく違いがあることがみてとれるかと思います。
image.jpg
他のフェローはContinuous renal replacement therapyの処方と実際の透析マシーンの稼動時間の差をみたり、透析患者の放射線被爆量と腎不全でない患者の放射線被爆量を比べてみたり、外科医個別のシャント,グラフト開存成績と感染率をだしたりと、何でもありです。

波戸 岳

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不法移民の透析

こんな記事がありました。
アメリカには不法移民が1100万人以上いるとされ、そのうちESRD患者は6000人ほどいるようです。不法移民は医療を受ける際は何でも引き受けるcounty hospitalなどのERに行くことになります。ERは原則、不法だろうがなんだろうが、sick patientは見なければならない法律になっています。ですが通常こういった人たちは、週3日透析をルーチンで受けられるとは限らず医学的には必要と分かっていても採血をしてKが高かったり、胸痛、呼吸困難など絶対適応がない限り透析させてもらえません。
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アメリカの透析費用は一人あたり約72000ドル/年で、通常はmedicareとよばれる国の保険でまかなわれていますが、不法移民は当然この保険の適応外になりますから自費(無理)かだれか(国民の税金)が払うことになります。コストはこれだけにとどまりません。ERで透析を受けますから上記に加えERでの人件費、X線、検査など毎回の受診費用を考えると莫大なものです。多くはアメリカに職を求めてきた若い人たちや自国では透析治療という選択肢のないといった人たちが大半です。

NYブルックリンにあるKings County Hospitalの外来透析患者の7割は不法移民だそうです。ここのフェローに以前聞いたびっくりした話です。フェローになって初めて見た透析患者は、60歳カリブの女性でJFK空港から直接救急車で来院、主訴:fatigue.採血するとBUN 450 Cr 75 HCO3<5 だったそうです! (ものすごいuremic breathがしたとか)
事情を聞くと、自国では透析を受けられないからアメリカに住む息子が母を呼び寄せたそうです。こういった患者はtunneled catheterを挿入され、透析を受けますが、シャントを作ってもらえることはありません。外科医は不法移民の手術をしてもまったく収入にならないからです。腹膜透析はERを受診しなくても家でできる分コスト削減になるはずですが、同様の理由から腹膜カテーテルを挿入したがる外科医がいません。

私のいるチャールストンの病院はcounty hospitalではないのでこういった人たちはあまり見かけません。先日いた同様の患者さんは、カテーテルを入れ数回透析後、自国(ブラジル)に帰っていただきました。ただ多くは貧困国から来ているため、慢性疾患で専門治療(透析や化学療法など) が必要な患者さんは強制退去ができないのが現実のようです。。この国は移民を受け入れ大きくなった国の一つでそれが強みなわけですがその半面、不法移民問題は医療のみならず大きな悩みの種です。

ちなみにERでの透析は不法移民に限らず、コンプライアンスの悪い透析患者さんではよくあることです。朝起きたら透析クリニックに行く気がしなかったから透析を飛ばし、数日後、ERにきて透析をする。ひどい場合、自分の好きな時に透析をしてもらうためにERばかりに来る患者もいます。アメリカで働くと日本では考えもしなかったいろいろな患者さんを見ます。
日本でこういった事情はまれでしょうが、仮にどこか貧困国からの不法移民が
このような状況になったら、どういったことになるのでしょうか?

T.S
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Acute kidney injury and repair

病棟でうけるコンサルトで最も多いのはAKI、その中でもacute tubular necrosis (ATN)は最も頻繁にみられます。ATNという名前からは尿細管細胞のsloughing, necrosis, apoptosisなどの病理所見に基づいた診断を匂わせますが、実際の現場ではATNは臨床的に診断するものであり、ATN疑いで腎生検をすることはまずありません。尿中の”muddy brown cast”を毎回ドキュメントしてATNと診断を下す腎臓内科医もいれば、そんなものは飾りで、臨床的にATNが強く疑われればATNと診断するべきで、尿中にgranular castが存在してもしていなくても関係ない、主張する医者もいます。
ATN.jpg
さて、ATNと診断した後の根本治療は、、、皆無です。我々は腎組織の自然治癒をひたすら待つことしかできません。”ATNだから待っていればよくなる”、と言って、そこで思考停止に陥っている臨床医が少なくありません。我々がこの思考停止から抜け出すことが治療の第一歩なのかもしれません。AKIからの修復のプロセスはあまりよくわかっていません。一方で、かなりのダメージをうけても、多くの症例で、腎機能が回復する事実には驚きを隠せません。

以下、AKI repairに関して最近の論文をここにいくつかあげてみたいと思います。
HarvardのDr. Bonventreのグループが昨年発表した、尿細管のcell cycle arrestとそれに伴うfibrosisは、ATNから回復せずに透析に至るケースを理解する手がかりになる可能性があり、非常に重要と思われます(Nature Medicine)。また同グループは、近位尿細管の修復は近位尿細管細胞によってなされることをつい最近発表しています(PNAS)。彼らの仕事から推測できるように、Bonventreはstem cell, bone marrow cell, epithelial mesenchymal transitionなどに対して否定的です。BonventreはAKIマーカー、KIM1で有名ですが、それに対抗するAKIマーカーNGALに関する論文も数多く発表されています。数ヶ月前に発表された論文では、NGALの発現を時間的、空間的に詳細に分析しています(Nature Medicine)。 シスプラチンやエンドトキシンなど近位尿細管に通常ダメージをきたす物質を用いても、なぜか遠位尿細管にばかりNGALの発現をきたしていたのが印象に残りました。いずれにせよ、AKIマーカーが乱用される時代が遅かれ早かれやってくると予想され、その時代の到来前にマーカーの理解をさらに深める必要があると思います。最後に、zebrafishは生後もnephronが増え続けるそうで、哺乳類でも”nephron progenitorsの抑制”を解けば、AKI repairに応用できるのでは、仮説をたてているグループもあります(Nature)。

波戸 岳
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サイアザイドについて

JNC7によると、リスクファクターのない高血圧症に推奨される第一選択はサイアザイドです。サイアザイドにはhydrochlorothiazide (HCTZ)、chlorthalidoneそしてmetolazoneといった種類がありますが、半減期の違いだけで、いずれも遠位尿細管のNa+-Cl-transporterのCl-側を阻害します。ループ利尿薬同様、低K血症を呈することがありますが、ループ利尿薬とは逆にCa2+排泄を低下(遠位で働くため、ヘンレ上行脚ではNa+やCa2+が取り込まれる)するため、腎結石(カルシウム)などの治療に用いられます。
hctz.jpg
サイアザイドはループ利尿薬ほど強い利尿薬ではありません。このstudyは人でサイアザイドとアミロライドの作用を実際に試したのです。
この図によると、HCTZを使用して3日程度まではNa+排泄が増加しますが、その後は低下しています。(braking effect)またK+排泄は最初の数日は排泄傾向にありますが、14日程度すると投与前とほぼ同様の状態に落ち着くことがわかります。利尿薬を開始しK+値を測定するなら2週間程度してからするべきとされる理由がこれからわかります。

16日目に今度はamilorideを投与します。Amilorideは集合管主細胞にあるENaCチャネルを阻害するため尿中Na+排泄は増加し、その引き換えにK+を保持することがこの実験からわかります。

ちなみに利尿薬による低K血症の機序は
1) Na+のdistal delivery(集合管主細胞のENaC でNa+/K+の交換が行われる)が最大の理由です。介在細胞でH+/K+の交換も関与しています
2) その次にVolume↓によりレニン-アンジオテンシン系の亢進です。

腎不全になるとサイアザイドは効かなくなるからループ利尿薬に変更することも多いかと思いますが、その一つの理由は、サイアザイドは糸球体で濾過され遠位尿細管に到達しますが、ループ利尿薬はほとんどが尿細管分泌されるためといわれています。でも効果の違いを人で証明したstudyはないと思います。実際Metolazoneは腎不全患者でもとてもよく効きます。

T.S
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Fellows Schedule

今回はフェローのスケジュールを紹介したいと思います。一例として私の所属するプログラムの実際の予定表をここにあげます。個人名は排除して、フェローの出席が要求されているところは赤字にしました。これはあくまで一プログラムのスケジュールですが、他のプログラムも同様にfellows conference やgrand roundsが組み込まれているはずです。これらのカンファレンスやレクチャーの合間に患者をみて、手技(透析カテーテル挿入や腎生検など)をこなし、アテンディングや学生らとラウンドするというのが日課となります。さらに週に一度は外来があり、週によっては腎移植外来などで週二回外来が入ります。
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Fellows conferenceのテーマは通常、ケースプレゼンテーション、ジャーナルクラブ、もしくはMorbidity/Mortalityで、月に一回か2回ほどの頻度で自分の発表の番が回ってきます。CQI (continuous quality improvement)と呼ばれる臨床の質を高めるための、ミニリサーチのようなものも、一度は発表することが義務付けられています。Grand roundsは一つのテーマについて深く掘り下げて一時間話をするので、準備が楽ではありません。幸いgrand roundsは年に二回のみの割り当てです。
上記は臨床中心のフェローの日程です。多くのプログラムではリサーチに集中できる期間が与えられており(数ヶ月から年単位)で、その間はコンサルトなどのランダムなコールを受けずに、自分のやりたいことに専念することができます。

波戸 岳

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「先生、何年目?」←この言い方やめましょう

アメリカで医師をしていると誰もが感じることだと思いますが、「○年目の医者?」と言う聞き方をまずしませんね。年齢なんてまず聞かれたことはありません。新聞でもテレビのニュースでも人の名前の横に(○○歳)表示はされません。これは差別に当たります。履歴書にも生年月日はいれません。
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日米双方で医師をしてきて「先生は何年目?」と聞くこともあったし聞かれたこともありますが、アメリカに来てからはこの言い方はよくないと感じるとともにあまり意味がないと思います。医師の総合的な能力は経験年数に比例しません。もちろん1年目のインターンと5年目のフェローでは違いはもちろんあるわけですが、本質は何年医師として働いたかではなく、どういった環境で何を診て、何を勉強して、それをどのようにキープし、最新の情報に常にupdateできているかが大事なわけです。このような総合的な最新の医学知識を持ったうえで、医師としての経験が初めて意味をなしてきます。一方で、人は年齢を重ね成熟していくわけですから、「何年目か」は人として、医師としてどの程度成熟しているかの判断する材料としては良いのかもしれませんが、あいさつ代わりに聞くことではないですね。

日本の医療現場は年功序列が強いと思いますが、医学は経験年数の多いものが必ずしも優れているわけではありませんし、少なくともこの序列が優秀な学生や研修中の医師の発言や行動をつぶすような圧力として機能してはダメだと思います。日本ではそういった序列を明らかにしないことから何か始めてみるべきです。こちらで研修をしていると、優秀で素晴らしい学生や研修医はfacultyと対等に議論を交わすことができることから、私も彼らから多くを学ぶことができ、最近経験年数は思っているほど重要ではないとつくづく感じる日々です。
これを読んでいるみなさんはまず、「何年目の医師の○○です」という言い方をやめることから始めましょう。

T.S
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糖尿病性腎症 (DMN) の進行

1型糖尿病性腎症(DMN)は前回書いた通り自然経過としては血糖/血圧にかかわらずmicroalbuminuriaの存在はDMNへのリスクファクターではあるのですが、microalbuminuriaははたして不可逆性なのでしょうか?これを示したのはPerkinsらの2003年のstudyです。これによるとmicroalbuminuriaを呈した1型糖尿病性腎症の患者386人(平均DM罹患年数11年)を2年ごとにフォローし8年間追跡した結果、ACE-Iの使用に関係なく、初期のmicroalbuminuriaおよびA1C、BP、脂質が低いほどmicroalbuminuriaはなくなる傾向にあり、"初期のDM(1)ではmicroalbuminuriaは可逆性を持つ"と結論しています。最近発表されたDCCTのstudyによりますと、1型糖尿病患者が持続性のmicroalbuminuriaを呈しても、血糖、血圧、脂質を改善することによりなんと40%!もの患者はアルブミン尿から正常尿所見にもどったとしています。このstudyとてもよくできててもっと注目されるべきと思いますが、、、、なぜNEJMやLancetにのらなかったかが不明です。
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また興味深いことに病理所見で糖尿病性変化が見られても、膵移植をすると10年かけて徐々にそれが薄れていくことが示されています。
顕性蛋白尿を呈するDMNに至るには10-20年必要であるとさまざまな文献が示しています。Krolewskiらは1939ー1959年の間Joslin clinicを訪れた1型糖尿病性腎症の患者292人を20-40年間!も見た結果顕性蛋白尿の出現はDM発症後5-15年にかけてピークがありそれ以降は減るとしています。また一旦顕性蛋白尿が見られると、ほとんどがESRDへと進行していくことは多くが報告している通りです。
ではどういった要素がDMNの進行に関与しているのでしょうか?Hovindら はアルブミン尿(>200mcg/min)を呈している1型糖尿病性腎症301人を平均7年毎年BP、A1C、脂質、GFR、蛋白尿を計測し重回帰分析を行った結果、カットオフ値は提示されませんでしたがBP、A1C、脂質、蛋白尿各々がGFR低下に関連しているとしています。
腎臓の大きさですが、一般的には糖尿病の腎臓は大きいことは前回述べましたが、ESRDに至るころには一般的には他の腎症よりも大きいものの、おおまかには1/4は小さく、1/4は大きく、1/2は正常の大きさになるようです。また糖尿病によるESRD患者のほとんどは糖尿病性網膜症の罹患があることも数多くの文献が示している通りです。
さていままでほとんどが1型DM腎症ばかりでしたが、2型糖尿病のstudyで有名なのはPima Indianのstudyです。彼らは高率にDMになる部族で、ESRDへの進行も高いです。彼ら194人を正常、IGT、新規糖尿病、糖尿病(平均12年の罹患)にわけその進行を見た結果、数々の1型糖尿病のstudyと同様に2型糖尿病でも、アルブミン尿の存在はその後のDM腎症の進行を予想できたとしています。このfigure1&2は教科書に載っているいわゆる典型的なDM腎症の経過を示していますので参照してください。
そしてRitzはここで1型DMでも2型DMでも極めて似たような臨床経過をたどることを指摘しています。

まとめますと、糖尿病性腎症は1型でも2型でも多かれ少なかれhyperfiltrationを起こし、その後、数年アルブミン尿を呈し、5年から10年程度かけて蛋白尿の出現そしてCKDへ移行し、最終的にはESRDへと進行していくのが一般的です。今の医療では多少なりともその進行を遅くすることができてもcureは難しく、DMの極めて初期(アルブミン尿)に血圧、血糖や脂質の管理を施すと可逆性もあることが指摘されています。
DM腎症の自然経過、アウトカムに関する文献はさまざまですがいくつか重要だと思ったことを中心におさらいしてみました。

T.S

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