「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

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Professional Development Seminar (その2)

医療やサイエンスはきわめて発展の早い分野ですが、それに携わる科学者や医師の多くは時代遅れのアプローチを取っていることが多いことに警鐘を鳴らすレクチャーがありました。サイエンスとビジネスにおけるイノヴェーションは同等のレベルで考えていないことが多いわけですが、その最大の理由は医師は多少生産性が悪くても職を失わないからなのだと個人的に思います。
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科学者に必要なinnovation/motivationに関してDan PinkがTEDで面白いプレゼンをしていますのでみてください。あるアイデアから始まり、実験、薬の開発、治験、実用化とサイエンスはもはや独立した分野ではなく、ビジネスと大きくかかわっています。遺伝学や臨床治験データなど膨大な情報量の共有、実験は同時に多数の人間とコラボレーションをし、その行程を場合によってはアウトソースしたりする。ボスから与えられた研究テーマを地道に一人ラボで行うのは21世紀のアプローチではなくなっているのかも知れません。発展する科学をリードする科学者に必要なのは1) Autonomy (自主性) 2) Mastery (精通性) 3) Purpose (目的)をしっかりと備えていること。そしてこのプレゼンでも繰り返し出てきますが ”There is a mismatch in what science knows and what business does”というのは事実かもしれません。

実際、医師や科学者がinnovativeになるにはどうしたらよいかということに関しては難しいのですが、ここでも出てくるグーグルの話は我々にとって大事な要素だと思います。グーグル社員は勤務時間の20%を“仕事と全く関係のない”ことに費やすようになっていて、実際、彼らの新しいアプリケーションやアイデアの半分はこの20%の“全く関係のない”時間から生まれているそうです。日々の診療や研究に忙殺されている医師や科学者にとって容易な課題ではないのですが、世界経済が落ち込み、リサーチに費やされるお金もカットされている今、"innovative mind" を持ち続けることは大変重要なことだと思います。

T.S
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