「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

   日本・アメリカそれぞれの話題をお届けします日米腎臓内科ネット
<< January 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

尿細管性アシドーシス(RTA) part 1

RTAは腎臓が原因で酸が蓄積し高Cl性の代謝性アシドーシスをきたす病態です。1から4型までありますが、本によっていろいろな書き方をしていますが自分なりに重要なポイントだけまとめます。
nephrocalcinosis.gif
1型RTAは最初に見つかったので1型となっていますが遠位(distal)RTAとも呼ばれます。これは集合管からH+が正常に分泌されない状態です(尿細管側のH+ATPaseと血管側のCl-/HCO3 exchangerの異常)。人はタンパク摂取から約100mmol/日のH+を産生し、主に腎臓の尿細管から排出します。排出されたH+は当然そのまま出て行くことはできないのでリン酸塩などの滴定酸(20%)とアンモニアNH3(80%)と結合し尿から出て行きます。
NH3+H+→NH4+(実際はNH4Cl)・・・(1)
尿イオンの内訳は陽イオンが主にNa+、K+、NH4+で陰イオンは主にCl-です(HCO3-はほとんど0)。したがって通常はNa+K+NH4=Clのはずです。NH4+は直接測定ができないので、測定可能な尿中Na、K、Clを用いて、尿アニオンギャプ(UAG)を計算しNH4+の割合を推測します。すなわち定常状態ではUAG:(陽イオン)-(陰イオン)=Na+K-Cl=陰性になります。ところがH+が尿中に排泄できないdistal RTAでは式(1)からNH4+の産生がないためUAGは理論上0か陽性となります。またH+が尿に出て行かないので尿のpHは通常>5.5と高くなります。1型RTAはアシドーシスが重度なため、骨でのH+の緩衝がさかんになり、骨からCaが多く失われる結果、高Ca尿症とnephrocalcinosisが見られるのも特徴です。

2型RTAは近位(proximal)RTAとよばれ2番目に発見されたためその名前がついています。糸球体でろ過されたHCO3-は通常ほとんどが近位尿細管で再吸収されます。ところが遺伝的にHCO3-の再吸収にかかわるトランスポーターに異常がみられたり、薬剤やlight chain(多発性骨髄腫)などが原因で尿細管障害をきたすとHCO3-の再吸収が正常に行われなくなります。これが2型RTAの原因です。具体的には血漿HCO3-が約15 mmol/L以下にならないと尿細管でのHCO3-の再吸収が起きなくなります。したがって、慢性の2型RTAでは尿中にHCO3-は見られませんが、重曹などで血漿HCO3-を上昇させると尿中にHCO3-が出現します。このHCO3-は遠位尿細管で取り込まれ、代わりにKが分泌されるのでHCO3-を投与したときのみ低K血症が見られるのも特徴です。一方1型RTAはH+の代わりにK+が多く分泌されるため低K血症が見られます。ではUAGはどうでしょうか?HCO3-はNH4+と結合するためProximal RTAでは UAGの測定はあまり意味がなくなります。重曹投与などで尿中にHCO3-が出現するときとそうでない場合があるからです。

次回はCKDと4型RTAについてです。

T.S
固定リンク | この記事を編集する | comments(0) | trackbacks(0)
< Clinical case I | 誰のための論文? >
ARCHIVES
OTHERS