
なぜmoonshineを取り上げたかというと、違法蒸留酒は「鉛」を多く含むからです。最近の蒸留装置はだいぶ少なくなったようですが、以前は車のラジエーターが蒸留装置に使用されていたので、漏出した鉛による、lead nephropathy(慢性鉛腎症)が問題です。
ローマ帝国はワインに含まれていた鉛が原因で衰退したのが一つの原因といわれるほどですから鉛は昔から問題を引き起こすことがわかっています。米国では1980年以前に製造されたペンキは鉛を含むため主に子供への中毒が知られていますし、大人に関しては精錬所勤務者における中毒は今も問題です。

Lead nephropathyは高血圧性腎症と区別がつけにくく、特にこの地域では高血圧性腎症の診断を受けている人たちの中で鉛の影響が見逃されていることがよくあると言われます。「高血圧」、「軽微たんぱく尿」、「痛風」と「慢性腎臓病」が主なサインです。これって日本ではいっぱいいますよね、所変われば違った疾患があるものですね。つくづく問診の重要性を感じます。「Moonshineはするか、もしくはしたことがあるか?」は今の病院では必ず問診事項に含まれ、驚くことに結構な割合で「yes」と答える人がいます。慢性鉛腎症が疑われた場合、確定診断にはCaNa2EDTAという鉛に結合するキレート剤を注射し、尿中の鉛を測定します。また治療も同様です。
それにしてもmoonshine=「月明り」ですから夜中に製造したからついた名前なのでしょうか?ちなみに研修医のアルバイトをmoonlightingと呼びます。これも届け出なしでやると違法な場合がありますのでご注意を。
T.S