「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

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酸塩基平衡(2)

前回書いたとおり、人は酸を絶えず産生していますが、そのほとんどを代謝し、体外に排泄することができます。しかし
1) 腎不全で酸が排泄できない、もしくは酸の過剰負荷があるか
2) HCO3-の喪失
があると代謝性アシドーシスをおこします。
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酸の処理方法ですが、最初の対処は細胞外のHCO3-による緩衝システムによります。
酸(H+)が増加すると、HCO3-が緩衝剤として数秒~数分以内にCO2へと変化させ、肺胞換気により体外へ排出しています。

H+ + HCO3- →H2CO3 →CO2+H2O 

ここで例としてpH 1の強塩酸HCL(12mEq/L) を静脈注射したらどうなるか考えてみます。PCO2は40と変化しないと仮定します。HCO3-はHendersonの式から、正常値の24meq/Lから12meq/Lへと下がるため
[H+]=24×PCO2/[HCO3-]
  =24×40/12=80ナノeq/LとなりpHは7.1となります。(メモ参照)

つまり12mEq/L (12×10の6乗 ナノEq/L)の強酸の負荷をHCO3-の緩衝により、血中の[H+] を正常の40→80 ナノeq/Lとたった40 ナノeq/Lの増加にとどめたことになります。これは99.99%以上のH+がHCO3-によって緩衝されたことを意味しています。


メモ)pH7.00における[H+]は100 ナノmol/Lで、pHが0.1増加するごとに[H+]は20%減少すると覚えておくと便利。表参照


次回は酸の細胞や骨での緩衝についてです。

T.S
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