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酸塩基平衡(1)

人はたくさんの酸を産生するため絶えずそれと戦っているようなものです。人はその酸を中和して、体外へ排出するシステムがあります。このシステムが崩れると、体は酸性に傾きアシドーシスという状態を作る一方、反対に体がアルカリ性に傾き、アルカローシスという状態になることもまれにあります。何回かに分けてこの酸塩基平衡のシステムについて書いてみようかと思います。
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人が生きていくためには食事をとるわけですが、炭水化物や脂肪、タンパク質の代謝から酸が作られます。酸は2つあって
1) 揮発性の酸(最終代謝物が炭酸になるものでCO2として呼吸で排出される)と
2) 不揮発性の酸(主に含硫アミノ酸の酸化による)

にわかれます。人は揮発性酸をCO2換算で 一日に15,000mmolも作りますが、呼吸を普通にしている限りほとんど肺から出て行きます。その一方、不揮発性酸は主にタンパク質の代謝によるものですが、一日当たり50-100mEq前後のH+となります。

これら酸が絶えず産生されているにもかかわらず、血中のpHは7.40と安定しています。pHはH+のことでpH=-log[H+]で表わされます。pH7.4は血中の[H+]濃度に換算すると40ナノmol/Lと一日に人が産生する不揮発性酸の100万分の1程度の濃度です!
血中の[H+] 濃度が多くのH+産生にかかわらず、ほとんど変化しない理由は、HCO3-による緩衝システムが大きく関与しているためです。次回はHCO3-の緩衝システムについてです。

T.S
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