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ループス腎炎 その1

ループス腎炎の分類は以前のWHO分類から今は国際腎臓学会(ISN)/Renal Pathology Society Classification 2004 を使用しています。治療指針は腎臓組織所見により異なり、寛解導入治療と維持治療では治療方法が異なります。最近の新しいstudyを含めupdateされた良い記事がありましたので寛解導入と維持治療の2回に分けて触れてみたいと思います。
Lupus.jpg
ISNクラス1と2は腎予後が良いため免疫抑制治療は行いません。ループスの降圧にはレニン-アンジオテンシン系を阻害する薬剤が第1候補となっています(KDOQI) 。ACEIを使用した場合そうでない場合に比較して10年腎予後がよいとされています。

ISNクラス3と4(増殖性腎炎)の寛解導入治療にはステロイドだけでは不十分で、ステロイド+免疫抑制剤の併用を行いますがどういった免疫抑制剤が推奨されているのでしょうか?
Cyclophosphamideは有効であることが分かっていますが、IVか経口の是非は分かっていません。IVは血球減少、膀胱保護、コンプライアンスの観点から経口よりもよいといわれています。Cyclophosphamide IVパルス(0.5-1g/m2)/月 x 6ヶ月のみ行ったグループと上記の治療に加え、以後3ヶ月ごとにIVパルスと少量ステロイドを投与した場合、後者は再発が少なかったと示されています。その後のフォローで毎月のCyclophosphamideパルスに加えステロイドパルスを併用すると腎予後がよかったと報告しています。ですが予想通り、感染症、大腿骨頭壊死、心疾患、骨粗鬆症などの副作用が多かったわけです。

他の免疫抑制剤ではどうでしょう。最近のRCTではmycophenolate mofetil (MMF)の有用性が多く報告されています。このスタディーは半分以上が黒人ですが、MMFとcyclophosphamideで導入治療した結果6ヶ月の時点での寛解はMMF(52%)、cyclophosphamide(30%)であったとしています。そして、感染症の割合がMMFグループで少なかったことが分かっています。最近のRCTでも同様の結果が得られています。Activeなループス腎炎患者370人をMMF(3g/day)かcyclophosphamide IVにわけ6ヶ月治療した時点では寛解率(56.2% vs 53%)、腎機能や死亡率に差はありませんでした。
MMFと同様のanti-proliferativeであるazathioprineは寛解導入には有用でないことが知られています。

SLEの病態にはB cellが大きく関与していることはからB cellを減少させる、Anti-CD20 monoclonal 抗体Rituximubを使用したstudyが最近見られます。使用方法はSteroid、 cyclophosphamide、MMFといった免疫抑制剤に併用して使用することが一般的です。
実際一部のループス腎炎では有効性が報告されていますがこの二つのRCTからrituximubを加えたことによる有用性は証明されていません。ひとつは腎炎のないSLEでMMF/AZA/metethotrexate各々の治療に加え、それぞれにrituximubを加えた場合とそうでない場合でみた結果、差はないと結論しています。もう一つはループス腎炎において、MMF単独とMMF+rituximubで寛解と腎予後に差はみられなかったとされます。

Calcineurin inhibitor (CNI)も寛解導入に使用されます。Tacrolimusやcyclosporineは移植後の免疫抑制にはなくてはならないCNIですが、増殖性ループス腎炎にCNI+MMF+steroidといった移植後同様の組み合わせで使用した場合の有用性が報告されています。ISN 5(膜性腎症)に増殖性変化(ISN4)をきたしたactiveなループス腎炎患者40人をランダムにCNI+MMF+steroidかcyclophosphamide(IV)+steroidで治療した場合、6及び9ヶ月での寛解率および合併症の割合はCNIグループの方がよかったとしています。
以前ここでも少し書きましたが、ループス腎炎には血漿交換の有効性はありません。次回はISN5と維持療法について触れてみます。

T.S


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