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Kt/Vと透析量

HEMO study ではさまざまな理由から頻繁透析の有用性が証明されなかった
わけですが、NEJMにFrequent Hemodialysis Network (FHN)Daily Trial が発表され通常透析(3回)と頻回透析(週6回)では死亡率、左室肥大率や様々なsecondary outcomeが頻回透析の方がよかったとしています。夜間透析と通常透析を比べたstudyも近いうちに発表されると思いますが、血液透析は時間を長く、頻繁に行う方が予後はよさそうです。ここで問題になるのが、透析量の測定法です。
KT/Vは透析量を推測するために用いられますが、最近はこの概念が正確ではないかと言われています。Kt/Vは透析前後の尿素窒素の値で透析量を予測します。
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ところがこの単純なstudyによると、KT/Vは透析時間を延長すると実際の透析量を反映しない可能性が示されています。

Geniusという透析器は血流量と透析液量の比が固定されていますが、この透析器を用いて透析患者さん9名をそれぞれ4,6,8時間と透析しました。ただし、時間が長くなるほど、血流量・透析液量を低く設定し、合計の透析液量が4,6,8時間透析で同じになるようにし、透析液は全て回収され、その内容と透析前後の血液値を調べたそうです。
その結果、4,6,8時間ではKT/Vは同じであったそうですが、尿素窒素、クレアチニン、リンや中分子のβ2グロブリンは長く透析するほどクリアランスが高かったと示しています。つまり、合計透析量が同じでも時間を延ばして達成した場合、透析により除去された小分子や中分子は増加しますがKT/Vには反映されないという結果です。
この理由ははっきりしませんが、低血流透析は血液中のureaの値が高く、組織から血中への小分子の移動がよいことや、時間が長いほど産生されるureaは多いことなど推測されますがこのあたりはよく調べる必要があります。またUF (除水)によるconvectionはureaを取り除きますので除水量が多いほどureaのクリアランスは上がることも重要です。いずれにしても長く透析すると、FHNのstudyが示すように生命予後の改善を導き、その理由として高い透析量の達成があるはずですが、KT/Vだけではこの透析量を必ずしも正確に反映しない可能性があることは覚えておく必要があります。

T.S
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