
ところで、私も教育目的入院をやっていて、思うのですが、教育目的入院を行うと、食事療法を体験してもらうとか、スタッフによる指導ができること以外に、患者さんの性格や家庭環境や社会的状態などが非常によくわかり、有用です。外来での数分の会話では、きっちりした性格でしっかり病気や薬のこともわかっていると思っていた患者が全然、薬をきちんと飲めていなかったり、家族の協力が得られず、コンビニ弁当で食いつないでいたりしたことに気づくということもまれではありません。薬を一包化して、コンプライアンスを改善したり、腎臓食の宅配を紹介したりしています。
アメリカと日本の医療を両方経験すると、こういう「教育目的入院」が認められる日本のシステムというのはとてもすばらしいと思います。日本の腎不全患者や透析患者の死亡率や心血管系イベント率が低いことがDOPPSをはじめとする様々なデータで、注目されていますが、その一因として、教育目的入院に代表される日本の医療の地道な努力と、患者さんの側のコンプライアンスや努力があるような気がします。「教育目的入院」というのは日本でしかできない貴重な医療ですので、いつか、多施設の大規模前向きコホートを作り、「教育目的入院」が腎不全の進行予防にどれだけインパクトがあるかというようなデータを世界に発表したいなと思います。
田川美穂