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糖尿病薬によるCKD患者の血糖コントロール (その2)

ビグアナイド薬は、腎障害患者では、排泄が遅延し、血中濃度が上昇して乳酸アシドーシスを起こす可能性があります。ビグアナイド薬にはいくつかの薬がありますが、日本では、すべて軽度腎障害でも禁忌になっていました。その理由は、ビグアナイド薬は、当初、重篤な腎機能障害を禁忌と設定されましたが、軽度腎障害の患者も乳酸アシドーシスを起こしやすい状態であるとして禁忌になりました。
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そこで、海外で販売されている「グルコファージ®」を国内に導入し、メトグルコ®として承認され、ビグアナイド薬の中でこの薬だけが軽度腎障害にも使用できます(中等度腎障害では禁忌)。一般的に軽度腎障害はCcr 50~80 mL/min、中等度腎障害 Ccr 30~50 mL/min、重度腎障害 Ccr 30 mL/min未満です。米国での添付文書では、「Renal Insufficiency: In patients with decreased renal function (based on measured creatinine clearance), the plasma and blood half-life of metformin is prolonged and the renal clearance is decreased in proportion to the decrease in creatinine clearance. Contraindication: Renal disease or renal dysfunction (e.g., as suggested by serum creatinine levels ≥1.5 mg/dL [males], ≥1.4 mg/dL [females] or abnormal creatinine clearance) which may also result from conditions such as cardiovascular collapse (shock), acute myocardial infarction, and septicemia.」と記載されています。
ビグアナイド薬を処方されている中等度腎障害で、臨床上問題を認めない患者もいます。米国では、添付文書に従い、血清クレアチニン濃度で男性 1.5 mg/dL以上、女性 1.4 mg/dLでビグアナイド薬は必ず中止しているのでしょうか。それとも、アシドーシスやeGFRなどを指標にしているのでしょうか。

日本大学医学部附属板橋病院
腎臓高血圧内分泌内科 岡田一義
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