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Water Homeostasis (MDIBL Renal Physiology Course )

赤血球(RBC)は腎臓髄質の毛細血管など高浸透圧の環境を通過する際、どうやって身を守っているのでしょう?RBCの細胞膜にはアクアポリン(AQP)とよばれる水チャネルがあるため、細胞内外の水の動きを調節できていることが関係しています。現在では多くのAQPチャネルが腎臓を含め体内に広く存在し、水の再吸収およびosmoregulatorとして機能していることはよく知られていますし、この赤血球にある水チャネル(AQP-1)を発見したPeter Agreはノーベル化学賞を受賞しています。
RBC.jpg
このモジュールではいくつかのおもしろい実験を行いましたが、今回はRBCがさまざまな浸透圧物質(sucrose、urea、glycerol)によって水がどう移動するかを観察した実験を紹介します。詳細はこのコースのdirectorであるZeidel先生がAgre先生と20年前に行った実験結果 に記されています。
実験方法はStopped-Flow Fluorimeterとよばれる光散乱分析装置(RBCが膨張すると散乱が抑制され、縮小すると散乱が増強される)を使用してRBCを高浸透圧下において水の動きを観察します。最初はsucrose液(高浸透圧)にRBCをいれると予想通り細胞外に水が移動しRBCは縮小します。次にsucroseではなくureaやglycerolを使用して同様の浸透圧を作ると水の動きはあまりありません。ところが、RBCを1M urea(1100 mOsm)でincubateしたのち、0.5M urea + NaCl (1100 mOsm)下におくと、RBCは縮小します。 そしてphloretin(Urea transport 阻害)やHg2+(AQP阻害)下では細胞外への水の動きは遅延します。これからわかることは、1)RBCはUrea透過性であること 2)transporterはphloretinやHg2+で阻害可能であること 3)Ureaやglycerolは有効な浸透圧物質ではないことがわかります。
xenopus oocytes.jpg
AQPが水透過性であることはXenopus Oocytes(カエルの卵母細胞)を使用した実験でもよくわかります。この細胞はAQPがなく、水透過性がありません。ところが、AQPのRNAを卵母細胞に注入すると、細胞膜にAQPが発現し、水透過性が増加します。
Toad bladder.jpg
Toad bladderはAQPが発現しているため、この膀胱を水で満たし、さまざまな浸透圧の溶媒に入れて、ADHを投与することによりその膀胱容量を観察する実験も行われました。

さまざまな方法により水の動きを観察できるよい実験だと感じました。

T.S
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