「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

   日本・アメリカそれぞれの話題をお届けします日米腎臓内科ネット
<< July 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

Alport症候群にStem cell transplant?

Alport Syndromeは日本ではあまりみたことなかったのですが、こちらにきて思ったより多いので驚いています。Alport Syndromeは遺伝性疾患で、腎臓の糸球体基底膜(GBM)を構成するtypeⅣコラーゲンの6つのαsubunitのうち、α3-α5(COL4A3, COL4A4, COL4A5)のいずれの変異でも発症します。頻度は4万人に一人とされますが、それ以上いる気がします。遺伝形式はX linked(COL4A5 mutation)が85%と多く、要は男性に多く発症することになります。血尿とたんぱく尿がともにみられ、腎不全の進行は早く20-30歳代でESRDに至ることもあります。また、腎移植をしても、5%程度と頻度は少ないのですが、抗GBM抗体症候群をおこすことがあります。その理由は本来GBMのコラーゲンを欠損していたところに新たなコラーゲンが置き換わるので、それに対し拒絶反応がおきるからです。
laminated alport.jpg
ところで先日、MUSCでstem cellの研究をされている日本人の先生から、Alportのマウスにstem cell transplantを行うと完全に治るから、人でもやってみてはどうだ?と聞かれました。たしかに進行の早い腎炎ですし、移植以外に治療のない遺伝疾患であること、しかも移植後の抗GBM抗体症候群もおこりうるなら、Stem cell transplantは十分に考慮すべきoptionだと思いました。
この研究からは、Alportモデルのマウス(COL4A3−/−)に、正常マウスの幹細胞を移植した結果、尿所見や腎機能、病理所見の改善に加え、欠損していたコラーゲンが移植後、発現したと報告しています。これが人に安全に適応できたら良いと思います。みなさんはどう思われますか?

T.S
固定リンク | この記事を編集する | comments(2) | trackbacks(0)
< 血漿交換ガイドライン2010(その3) | 日米比較:日本にいない医者:D.O. vs M.D. >
ARCHIVES
OTHERS