「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

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日帰り腎生検

私の施設では腎生検を午前中に行い、6時間程度の経過観察後、患者さんは帰宅する。入院させないというところが,米国らしいところで、帰宅後に容態が悪くなることも意外と多い。33%の合併症が腎生検後8時間以上経ってからおこるという報告もあり、6時間程度で返していることの危険性がよく分かる。せめて,1泊入院させてもいいのではと思うが、米国ではなかなかそうもいかない。
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オンコールの際に、腎生検をした患者さんから血尿持続、背部痛等の主訴があった場合、ERにいってもらうこととしている。何が起きているのか電話だけでは分からないので仕方ないと思う。

日本腎臓学会の腎生検ハンドブックには以下のように記載がある。

日本腎臓学会の平成10 ~ 12 年の集計によりますと,日本全国で1年間に約1 万人の方が腎生検を受けています.軽い出血などの合併症が,100 人あたり2 人程度(1,000人あたり20 人程度)で生じます。すなわち98 名の方は特に問題なく終了しています。輸血や外科的処置を必要とする人は,1,000 人あたり2 人程度です.すなわち,998 名の方では特に大きな処置は必要ありません。最近3 年間で,不幸にして亡くなられた方が2名いますが,1 万5 千回の腎生検で不幸にして1 名死亡されるという危険度です。通常の腎生検の手順で行えば,かなり安定した検査法であることがわかりました。

腎生検では使う針の太さが施設によって違うことも多く、合併症の頻度にも影響を与えていると思います。日米で使っている針の太さが同じか、ちょっと興味があるところです。

今井直彦
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