サイトメガロウイルス(CMV)感染症

移植後は感染症のリスクが上昇しますが、ウイルス感染症の中ではサイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス、パルボウイルスB19、BKウイルスが問題になります。今回はCMVについて説明します。

CMV感染のリスクはレシピエントとドナーのCMV IgG抗体の有無で変わります。ドナーの抗体の有無にかかわらず、レシピエントがCMV IgG(+) であれば中等度リスク、ドナーがIgG(+)でレシピエントがIgG(-)ならハイリスク、双方ともIgG(-)なら低リスクとなります。CMVはドナー(およびレシピエント)の白血球内や臓器細胞内に潜伏しており、免疫抑制により再活性化することでレシピエントに感染します。移植直後からバラガンシクロビルの予防内服を行いますが、中リスク患者は3カ月、ハイリスク患者では最低6カ月必要です。予防内服終了後は、3カ月程度CMV PCRをチェックします。ウイルス量が1000-2000 IU/mL以上になると無症状でも治療が必要ですが、3桁以下だとモニタリングのみ行うこともあります。

患者がCMVハイリスクだと分かった場合は、多くの腎移植内科医は身構えます。発症が急速でかつ重篤化し易いためです。移植後順調な経過を辿っていたと思いきや、ある日突然強烈な全身倦怠感や消化器症状が出現し、ウイルス量がひと月前がゼロだったものが数万以上に上昇しているなど寝首を掻かれることは稀ではありません。したがって、ハイリスク患者ではたとえ無症状であってもCMVが検出された時点で治療を開始します(search and destroy strategy)。殆どはバラガンシクロビル、ガンシクロビル静注に反応しますが、中には耐性を持つものがおり(resistant CMV infection)、その場合はUL97/UL54遺伝子変異をチェックします。治療抵抗性の場合はマリバビルやレテルモビルに変更します。どちらもよく効きますが極めて高価なので、途中でバラガンシクロビルやシドホビルに変更せざるを得ない場合もあります。

厄介なのはCMVハイリスク患者がCMV感染症と重症TCMRを併発した場合です。ATGを投与すると感染増悪は必至です。またATG、MMF、バラガンシクロビルは全て白血球減少を起こします。免疫抑制剤の調整が難しく、悩ましいところです。

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