TCMRとAMR その1

拒絶反応は大きく分けてT細胞メインのTCMR (T-cell mediated rejection)とB細胞が産生する抗体メインのAMR (antibody-mediated rejection)に分けられます。

拒絶反応はT細胞の活性化から始まります。活性化したT細胞はB細胞(形質細胞)を刺激し、抗体産生が行われます。こう書くとTCMR単独発症はあっても、AMRは単独発症せず、必ずTCMRと併発するように思えます。しかし、実際はAMR単独発症は極めてコモンです。なぜでしょうか?

それは、TCMRにおいて組織損傷を担うT細胞と、 B細胞を刺激するT細胞は別物だからです。TCMRでは、エフェクターT細胞(CD4+Th1、CD8+)が実際に組織に浸潤し攻撃を行います。間質や尿細管にはT細胞が認識しやすいAPCやMHC-IIが多く発現しているためT細胞の第一の攻撃対象になります。そのため、TCMRは尿細管炎、間質炎が表現型の中心となります。APCやMHC-IIは動脈内皮には発現していないためTCMRでは動脈炎は滅多に起きません。しかし、重度のTCMRではサイトカインにより血管内MHC-IIやケモカインなどが発現されます。そのためT細胞に認識されてしまい、結果として動脈炎を発症することがあります。TCMRは抗原提示量が多い移植直後から初期にかけてよく発症しますが、経時的に発症リスクは減少していきます。

対して、AMRはB細胞(形質細胞)が産生する抗体による血管内皮傷害が主病態です。B細胞を刺激するのは濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)であり、エフェクターT細胞ではありません。さらに、B細胞は腎臓組織内ではなくリンパ節などのリンパ器官で刺激され抗体を産生し、AMRを発症します。つまり、AMR発症はT細胞の腎組織内への浸潤(TCMR)を必要としません。これがTCMRとAMRが必ずしも併発しない理由です。また、形質細胞が抗体を産生すると、長期間にわたりメモリーB細胞が存続します。そのためAMRは慢性化したり移植後長期間経過しても発症します。抗体は血管内皮上に発現する抗原に結合し組織を傷害します。糸球体や傍尿細毛細血管は血管の塊ですから、AMRでは糸球体炎 (glomerulitis)、傍尿細管毛細血管炎 (peritubular capillaritis)が表現型の中心になります。

GU
Calendar
<< January 2026 >>
SunMonTueWedThuFriSat
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
search this site.
tags
archives
recent comment
others
admin