典型的な腎移植後経過

腎移植と同時にインダクション(免疫抑制導入)を行います。米国ではステロイドパルスに加え、バシリキシマブまたはサイモグロブリンが主流です。質の良い腎臓であれば吻合直後より尿を目視することが出来、腎機能も翌日から改善し始めます。術後翌日よりタクロリムス、マイコフェノレートを開始し、以降メンテナンスとして継続します。尿量はばらつきがありますが、1Lから多いときは10L以上出る時もあり、利尿薬や輸液を適宜投与します。必要なら透析も行います。米国では術後2-5日で退院することが多いですが、当施設では合併症がなければ術後4日目の朝に2投目のバシリキシマブを投与して退院となります。当初は術後3―5日で退院させて本当に大丈夫なのかと不安でしたが、案外上手くいくものです。患者さんは、最初の数日から1週間は創部痛と頻尿で体力的に消耗しますが、その後徐々に回復していく方が多いです。貧血がなければ術後1カ月で運転を許可します。復職時期は人によりますが、順調ですと2-3カ月以内に許可できます。

腎機能は、早ければ移植後1―2週間で安定化しますが、概ね2-3カ月かかる印象です。KDPIや虚血時間など、ドナーのプロファイルから腎機能の安定化までの期間が大体予測できます。腎機能回復のスピードが予測より遅い場合は生検を考慮します。日本と異なり生検は放射線科に依頼する必要があるので、生検が行われるまで3-4週間は待つ必要があります。緊急で必要な場合は入院させます。米国ではプロトコール生検は主流ではなく、当施設でも行っていません。

最初の2週間は週2回の通院と血液検査を行いますが、腎機能や体調の回復に応じて検査や外来受診頻度を徐々に延ばしていきます。術後6-8週後には血液検査は隔週、外来受診は月一回とし、以降1年間継続します。

もう一つ重要なのは患者教育です。当施設ではコーディネータおよび薬剤師が、初回外来と2回目受診時に数時間かけて患者教育を行います。その後も、コーディネータは通年患者のコンプライアンスを確認します。コーディネータは各患者の生活背景を驚くほどよく知っており、彼らのアドバイスに非常に助けられています。

次回はdelayed graft function (DGF) とprimary non-functional kidney (PNF) についてお話ししたいと思います。

GU


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