「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

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乏尿について

乏尿の定義は400ml-500ml/dayです。その理由ですが、理論上、人は食事から溶質を平均10 mOsm/kg/day摂取し、尿は最大1200mOsm程度まで濃縮できると仮定した場合、一日の摂取した溶質すべてを、GFRを変えずに最小限の尿に排泄するとその程度の値になるということです。例えば、60kgの人なら一日600 mOsmの溶質を摂取しますので、腎臓が1200mOsmまで濃縮できた場合、摂取した一日の溶質は500mlの尿に排泄することが可能なはずです。それに、不感蒸泄や便からの溶質や水分の喪失などを考えると、体重にもよりますが大体400-500mlになります。

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これを実際人で試したものが1930年代に行われています。産婦人科医のChesleyは健常人や妊娠中毒症などに水分制限をかけ尿を濃縮させ尿素を調べた結果、尿量が0.35ml/min未満(505ml/day)になると、尿中の尿素は一定になることを示しました。すなわちこの値がGFRを変えずに腎臓が最大限尿を濃縮できる値(乏尿)であるとしています。その後、水分制限による尿中のクレアチニン、リン、窒素化合物、非窒素化合物などを見た結果、尿量は0.35-0.5ml/min(504-720ml/day)以下なるとこれらの尿中排泄が一定化するとしています。したがって実際は乏尿といっても実際の人で試すと幅があることが想定されます

ちなみに上記論文と同じ年にMillerらが報告していますが、クレアチニン排泄が糸球体からの濾過だけではなく尿細管から分泌されることはすでにこの時にわかっていたのです。クレアチニンを静注するとイヌリンクリアランスは変わらないがクレアチニンクレアランスは上がることを示しています。すごいですね。

T.S
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