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透析患者の降圧薬(その2)

日本は欧米に比べβ遮断薬の使用頻度は少ないと思いますが、欧米では急性心筋梗塞や心不全では特にACEI/ARBとともに必須の薬になります。透析でも安全に使用できる薬です。いくつか気をつけるべき点は、まずpropranololやnadololなど非選択性β遮断薬は空腹時や運動後に高K血症をきたす可能性があることです。またそのほかの選択性β遮断薬やα作用を持ち合わせたβ遮断薬の半減期や透析除去率はこの表にあるとおりですが、atenololはその半減期の長さから腎不全患者では使用を避けるべきです。Metoprololは米国で最もよく使用される薬のひとつですが、透析ではほぼ除去されますので厳密には透析後に再投与が必要になります。一方carvedilolやlabatalolなどαβ遮断薬は透析では除去されません。
透析におけるβ遮断薬の使用に関してですが、このstudyによると、118人の維持透析中の心不全患者(NYHA2-3で皆RAAS阻害薬+ジギタリス内服)にcarvedilolかコントロールを投与して観察した結果、24ヶ月の時点でCV死亡率、入院率がcarvedilolグループでよかったとしています。
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カルシウム拮抗薬はnon dihydropyridine(diltiazemなど)かdihydropyridine (amlodipine、nifedipineなど) に大別できますが、いずれも透析ではほとんど除去されません。このstudyによると250人(RAAS阻害薬やβ遮断薬を内服)の透析患者にamlodipineかプラセボを追加投与し30ヶ月観察した結果、統計的な有意差は見られなかったもののamlodipine内服グループで心血管eventが少なかったとしています。
α遮断薬はALLHAT trial(lisinopril、amlodipine、doxazosin、 chlorthalidone)で心血管eventが利尿薬グループにくらべdoxazosinグループに有意に多かったことから試験は中止され、それ以来もっぱらα拮抗薬は敬遠されがちですが、透析では実は安全に使用でき、容量の調整や透析で除去されないという利点があります。寝る前の処方が一般的です。

Clonidine/methyldopaなど中心性交感神経刺激薬は口渇、反跳性高血圧など様々な副作用がみられるので最良の薬ではないのですが、clonidineは米国では頻繁に使用されています。この薬は透析で除去されませんし半減期が長くなることも注意点です。Minoxidilはfluid retentionが特徴ですから透析患者での使用は最終選択肢となります。
最後に米国では頻繁に使用されるhydralazineですが、透析患者での使用の安全性は不明です。この薬はループス様の薬剤反応を起こすことで有名ですが、実際はそれほど見かけない印象です。ただし、一日4回の処方が必要なのでコンプライアンスの問題から好ましくありません。

透析における降圧薬の薬物動態、除去率や臨床での効果などを中心に簡単にまとめて見ました。
T.S
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