ラシックスは一日何回処方していますか?

Lasix (Furosemide) はループ利尿薬ですが、その作用機序はヘンレ上行脚におけるNKCC2(Na-K-2Cl)carrierのCl-siteを阻害することにより尿中へNaClを排泄します。極量を使用した場合、糸球体からろ過されたNaの20-25%を尿中に排泄することができる強力な利尿薬です。またヘンレ上行脚はCa2+ がNaClの取り込みに伴って受動的に再吸収される部位であるため、ループ利尿薬の使用によって尿中Ca2+ 排泄も促すことも特徴です。
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ところで、ループ利尿薬をNa+の排泄目的で使用する場合注意すべき点は、通常1日1回の使用では、一日当たりの尿中Na+排泄量はラシックスを使用しないのと同じであるということです。この図は人に一日当たり270meq、120meq、20meqのNa+を摂取させ、ラシックス40mgを一日一回投与した結果を示しています。棒グラフは6時間間隔です。ラシックス投与前は、ほぼ尿中Na+排泄=経口摂取ですが、ラシックスを投与すると最初の6時間で尿中Na+排泄は急激に上昇します。ところが塩分を多く摂取(左グラフ)するほど以後Na retentionが起こり、実質の尿中Na+排泄は投与しない場合と同様になることが示されています。一方、極端に塩分制限をした場合(右グラフ)、尿中Naの実質排泄はラシックス1回でも十分に得られることが分かります。ループ利尿薬で十分なNa+排泄を達成するには
1) 塩分制限をすること(もっとも理想)
2) ラシックスを2回/日以上投与することが必要なことが分かります。
LasixはLasting six hoursからきているので、2回以上投与するようにできています。

ところで腎不全ではループ利尿薬の投与量を増やす必要があります。その理由は、ループ利尿薬は近位尿細管から分泌されヘンレ上行脚に達しますが、腎不全があると蓄積した馬尿酸塩などのorganic anionと競合しlasixの尿細管での分泌を阻害するためです。
腎不全では1回あたり最大160mg程度を一日3-4回まで増加させることによりよいレスポンスが得られると示されています。

T.S
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