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Re:(2) 腎代替療法のオプション提示について

August 14, 2010
日本大学医学部附属板橋病院 腎臓高血圧内分泌内科 岡田一義

田川(村島)美穂先生へのコメントと追加(2)

1)ボタンホール挿入
現在、投稿中の内容ですが、オープンにします。昨日、Twardowskiらの方法と當間らの方法を組み合わせた簡易ボタンホール作製法を紹介しましたが、この方法では、同一スタッフが同一部位に同一方向で通常の穿刺針を数回反復穿刺しボタンホールを作製するため、穿刺孔広がりの可能性およびボタンホールが完成するまでの穿刺スタッフ固定の短所があります。そこで、初回穿刺は通常の穿刺針を用いて行い、次回穿刺以降いきなりボタンホール専用針を用いて挿入しても87.5%で成功しました(小川千恵、岡田一義、他:日本透析会誌 投稿中)。本当に簡単にボタンホールを作ることができます。

2)腎臓内科医からの腎移植情報提供の少なさ
 私は、腎移植についても適切に説明をしているつもりでした。しかし、私が診る腎移植術後の患者は、拒絶反応や感染症などで入院し、透析を開始した患者だけですので、腎移植によい印象を持てない現状もあります。腎代替療法の中で、腎移植は生存率が最も高いですが、重症感染症などにより死亡する患者も少ないながらいることも事実です。患者に腎移植が最も生存率がよい腎代替療法であると情報提供をしていますが、重症感染症のことが気になっています。
一方、透析についての情報提供では、感染症は透析患者では発症しやすいのが常識であるため、詳しくは情報提供していませんが、透析患者の約20%が感染症で死亡しています。また、腎移植では拒絶反応も気になりますし、透析に移行して大変落ち込み、自殺しようとした患者もいました。一方、内シャント閉塞は、経皮血管形成術や再造設術を行えば問題は少なく詳しくは情報を提供していません。また、腹膜透析継続は5年程度が目安なことを詳細に情報提供していますので、腹膜透析から血液透析に流れ作業的に問題なく移行しています。

今回コメントを書いている中で、腎代替療法選択時に、腎移植術後の再移植については情報提供していないことに気付きました。腎移植術後の再移植は、内シャント閉塞や腹膜透析から血液透析への移行と同じ範疇に入ることであり、明日から情報提供しますが、最高何回腎移植を受けた患者がいるのでしょうか。
長浜先生が指摘していますように、腎臓内科医から腎移植の情報提供が少ないのは、腎移植医が術後の診療も継続していることが理由ではないかと思います。移植医ではなく腎臓内科医または透析施設担当医が術後を診療するようになれば、腎臓内科医または透析施設担当医が持っている腎移植に対する負の部分を取り除くことができ、保存期CKDと同レベルの管理も必要な術後診療は腎臓内科医のほうがより適しているのではないかと思います。
ところで、日本で腎移植後の患者を腎臓内科医が診療することはほとんどないと思いますが、実際のデータをご存じでしたら、教えてください。米国では、100%腎臓内科医が診療するのでしょうか。

3)質の高い終末期医療
多くの医師は尊厳死を支持していますが、私は日本でより受け入れやすい尊厳生という概念を提唱しました。今まで終末期患者にどのような言葉をかけたらよいかよくわからなかった医療従事者から、尊厳生という概念を知り、患者にかける言葉が見つかったと感謝されています。
最も大きな問題は、多くの医療従事者は事前指定書が重要と認識していますが、ほとんどの医療従事者は事前指定書を実際に書いていないということです。医療従事者自身が事前指定書を書いていないのに、他人に書きましょうとは言えるはずがありません。5年前の当院全看護師(816名)への意識調査の結果、0.2%が「事前指定書を書いて、持っている」、0.6%が「事前指定書を書いたことがあるが、破棄した」との散々な結果でした(岡田一義、他. 日大医誌 64: 15, 2005)。日本で、実際に事前指定書を書こうとした場合、日本尊厳死協会と日本レットミーディサイド研究会の2種類の事前指定書がよく知られています。私には内容が適切とは思えなかったため、2003年に尊厳生の事前指定書を作成し、いろいろな意見を取り入れ、今までに9回改訂しました(http://www.ckdjapan.com/)。よい意見がありましたら、取り入れさせていただきたいので連絡してください。
米国では、事前指定書を書いている人は希望した通りの治療やケアを受けられると思っていましたが、その約1/3しかいないと以前聴いたことがあります。米国では、実際、国民のどのくらいが事前指定書を書いて、実際にどのくらいが希望した治療やケアを受けられているのでしょうか。

4)日本での腎代替療法の選択肢説明方法
各施設で腎臓教室などを充実させる必要がありますが、すべての腎代替療法を行える施設はほとんどないので、地域として取り組み、市民公開講座を行うことが重要と考えます。患者中心の医療の中で、CKD患者の意思決定を尊重するじんぞう病治療研究会を立ち上げ、市民公開講座を開催し、参加者から在宅透析および腎移植を選択する患者が増えています。市民公開講座で講演を行いますと、参加者の質問を受ける時間が少なく、大勢の前では質問できない参加者がいる問題点があります。そこで、気の弱い参加者にも質問がしやすく医療従事者が参加者と対面方式で対応して、さらに理解しやすいようにポスターや機器(公正競争規約厳守)なども展示しています。これが次回のプログラムですが、まだ後援依頼をしている最中なので、ホームページにはアップしていません。すべての腎代替療法、保存期CKD治療、CKD連携について講演会と展示会の両方で情報提供していますので、地域で同様なことを行いたい場合にはお力になれるかもしれませんので連絡してください。
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