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教育方法の違い

日本の大学入試の多くは点数至上主義に代表されるように、一発入試で良い点数を取れば合格。一方でアメリカの大学入試は、学校での成績、共通試験の点数のほか、ボランティアを含めた学外活動の経験、校内外での賞の有無そして入学後にどうしたいかやどう貢献できるかなどをエッセイや面接を通して表現できるか?ということが大きな判断基準になります。日本でのみ教育を受けてくるとこういった米国式の選抜方法に対応出来ません。どうしてでしょうか。
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教育法には「pedagogy 」と「andragogy」があります。前者は「権威依存型、つまり先生に大きく依存し、通常教室での集団教育を特徴とし、生徒個人の経験はそれほど大事ではなく、subject centoredすなわち、生徒は「What should I know?」というスタンスをうみます。悪い言い方をすると、試験に出るsubjectを探し、それ以上のことを考えようとしない状況を生む可能性があります。Pedagogyは教育上必要な過程ですが、基本的には低年齢層への教育方法です。一方andragogyは、生徒に独立性をもたせ、教育の場では教える方も教わる方も平等、少人数での対話を含み、生徒は問題提起によりモチベーションを覚え、個々の経験は非常に重要な学習のリソースとなり、そこからproblemを見出し、performance centoredすなわち「what do I do?」という状況をうみます。この環境を作ると生徒は次から次へと問題提起し学んでいけるのです。これが高等教育以上に必要とされる教授方です。

教育現場には「pedagogy 」と「andragogy」両方必要ですが、米国の良い学校ではこの後者の教育方法が小学生レベルですでに導入されていることが多く、こういった生徒は高校を卒業するころには、知識の習得と理解におわることなく、それをどう自分へ適応していき、どう自己分析および評価していくなど、幅の広い能力や技能を身に付けられる可能性があります。Ivyリーグに代表されるような良い大学に入るためにはこのandragologicalな環境での教育を受けることは非常に大事で、日本の多くの学校ではないことです。これが日本と欧米の学生のレベルのcreativityに差を生むひとつの要因であると思いますし、日本の教育のきわめて大きな欠点であると思います。

あと数年で開校すると言われているハーバード大学レベルでかつ学費が半分以下のオンライン大学Minerva Projectは世界からエリートを選抜し未来のリーダーを育成しようとする個人的にとても注目しているプロジェクトです。ここはまさにandragogyを重視した大学で、知識詰め込み型の教育を受けた人たちには難関となるでしょう。

T.S
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