「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

   日本・アメリカそれぞれの話題をお届けします日米腎臓内科ネット
<< May 2024 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

腎臓内科医がいなくなる?

腎臓内科のフェローシッププログラムは全米で148あり400以上のポジションがあります。2013年7月スタートのポジションを見るとマッチング率が77%だったそうです。この内訳をみるとAMG(アメリカ医学部卒)は25%程度でほとんどがIMG(外国医学部卒)であることがわかります。AMGはみなマッチしそうなものですが、高望みをしすぎたのか、驚くことにマッチしなかった人の6%はAMGだったそうです。ただし全体として、腎臓内科医になろうとする人は主にIMGであることがわかります。http://www.nrmp.org/
Immigration2.jpg
ところが最近医学部の増設がどんどん進んでいることと、経営悪化などの理由から病院が閉鎖されレジデンシーポジションが減少していることにより、なんと2015年にはAMGの数が米国のPGY1レジデンシーポジションの数を上回ると見られています(文献)。IMGにとって臨床留学への門がますます狭くなる一方、専門研修を行うためには、レジデンシーを前もって行うので、腎臓内科のようにIMGに大きく依存するsubspecialtyは今後どうなるのかまったく予想がつきません。

プライマリーケアやER医はもっと必要とされている中、最近の内科レジデンシー修了後の進路で人気なのが入院患者を専門にみるhospitalistです。多くは7 days on 7 days offというスタイル。12時間勤務を7日連続して7日offになる。良さはOnとoffがしっかりしていることですが、患者数によっては非常に大変で、12時間で終わらないことも多々あり、精神的にも体力的にもかなりきつい仕事であると経験者は語ります。

研修制度はどこも良さ悪さがあるわけですが、アメリカの学生の人気がいくつかの科に集中していることや医学部の増設に伴う研修の質の低下が懸念されるなど、アメリカの臨床研修制度には問題がたくさんあります。

T.S
固定リンク | この記事を編集する | comments(0) | trackbacks(0)
< 臨床研究の難しさ | 教育方法の違い >
ARCHIVES
OTHERS