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科学者の育成を進める

JAMAにPromoting Science Educationという記事が載っていました。
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/303/10/983?home

国の発展には良質な教育の重要性があげられますが、アメリカの大統領はこれを“Educate to Innovate” というcampaignとして取り上げています。
http://www.whitehouse.gov/issues/education/educate-innovate

その中の一つにscience, technology, engineering, and mathematics (STEM). の分野におけるアメリカの学生の参加および能力の向上を目的とした企画があります。これは国のお金のみならず、企業、マスコミ、ボランティアの援助を得て、若い学生に科学の楽しさを覚えさせ、彼らが将来、科学分野のinventorやinnovatorとなれるよう目的が掲げられています。アメリカにおける教育の質は実はピンからキリで、良質の教育を受けられる国民はそう多くはないのですが、良い学校の教育制度、先生や生徒の質はやはりよいものです。それにもかかわらず、アメリカの15歳未満の子供の数学や科学の分野は特に、世界の先進国と比べるとそのレベルはまだ低いです。こういったアメリカの弱点を子供に科学の楽しさを教えることにより補っていくというcampaignを立ち上げたObamaさんの方針には賛成です。

さて、一方でアメリカにおける貧困層の教育レベルの低さは問題です。実際、2005年にはカリフォルニア、テキサス、ニューメキシコ、ハワイは、非白人が半数以上を占め、2050年には半分以上の州でいわゆるminorityと呼ばれる人種が半数以上を占める時代が来るそうです。すなわち、こういったminorityの教育水準を上げない限り、アメリカの教育や国力そのものの低下は免れなく、この問題は今始まったことではありませんが大きな障害です。

このJAMAの記事にはStanford大学でこういったminorityとくに黒人、ヒスパニック系で良質な教育環境にいない高校生を夏のExtra-curricular activity として大学内に居住環境を与え、特に科学の分野の楽しさに触れさせ、将来の科学者育成に結び付けようとするProgramが1988年から行われていることが書かれています。具体的にはその指導をするのが、同じminority出身の科学を専攻するUndergraduate studentですがいままでに、500人ほどの高校生がこのprogramを終了し、その99%が大学に進学し、80%前後が卒業しています。
これは一般の国民(黒人やヒスパニック、ラテン系)の4年制大学卒業率が10-15%程度であることを考えると大きな数字です。こうして成功したminorityはまた自分のlocal communityに帰りその良さを伝え、次の世代をinspireするでしょうし、多くの子供の目標となるでしょう。
先につながるよい企画であると思います。もしこういった企画を各州の代表大学で実現できたとするとその効果は絶大なるものとなるでしょう。Stanfordのprogramのお金はNIHやHoward Hughesのgrantからきているので、そういった経費の問題が最大の問題でしょうが、国費だけではなく企業やマスコミなど”Educate to Innovate”のように様々な方面から出資が得られれば、不可能ではないかもしれません。

日本では将来の科学分野のinventorやinnovator育成へはなされているのでしょうか?
次回は日本における教育の良さ悪さを、日本の外からみて思ったことを書いてみたいと思います。

T.S
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