「日米腎臓内科ネット」活動ブログ

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Co-medicalスタッフの充実

こちらに来て驚いたのは、医師以外のco-medicalスタッフの守備範囲の広さです。
米国はチーム医療という観念がより強い気がします。これに関して良さ悪さはあるのでしょうが、多くの場合よいと感じました。

例えば、ICUナースは特別にトレーニングを受けていますので患者さんの昇圧剤の調整を行うことができます。sepsisなどで昇圧剤を投与中の患者さんの血圧をmonitor (通常map>65を目安に)しながら
医師の指示なしに調整してくれます。そのほか人口呼吸管理に関する知識も豊富で私はresidentのころは特にナースに教わるところが多かったです。人工呼吸器管理は呼吸療法士が指示の下、ウィーニングから抜管までしてくれます。

そして透析もしかり。CRRT (持続透析) は基本的にICUのナースが管理をしてくれます。
脱血流不良やちょっとした血圧低下では呼ばれません。彼らが昇圧剤の調整やカテーテルの調整を行いますし、しっかりとした知識を備えています。こちらでは、抗凝固剤は使用しないか (血流が日本より早いため必要ない場合がほとんど) してもcitrateを使用します。このcitrateはイオン化カルシウムの血中濃度を頻繁に測定しなければなりませんがこういった測定と凝固剤の調整もプロトコールができていてすべてナースが行います。医師は極端な話、CRRTに関してはオーダーを書くだけといっても過言ではありません。

わたしが 日本でCRRTに携わったころは機械のプライミングから透析液や補液の交換
脱血流不良をふくめたトラブルシューティングはもちろんほとんどベッドサイドから離れられなかったのを記憶しています。いろいろとそういった経験から学ぶことも多かったです。
研修の立場にある医師にとって本当によいかという問題は難しいですが、やはり、その中間あたりがよいのかもしれません。

コンサルト制度のブログで書いた通り、コンサルトフェローは多くの患者さんを見ますので
一人の患者さんに時間を取られ過ぎると仕事が回らないというのも事実です。医療の質という観点では、理論上、細かいところまでも指示は医師に任すのがよいのかもしれませんが、実際、現場の医師は忙しく“その指示をあおげていたら、迅速な治療ができてた”なんてこともあるでしょう。そういった意味で、ナースやcomedicalの守備範囲の広さは(きちんと勉強し、ある程度の経験があってを前提にですが) 医療の質の向上につながる気がします。
NPの話題も日本ででているようですが、チーム医療の観点からもよいと思います。

みなさんはどう思われますか?
T.S
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