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Resistant hypertension (治療抵抗性高血圧症:その1)

そもそも至適血圧とは何か?これはあまりよくわかっていないのが現状で、JNC8は主にランダム化試験の結果を元に、60歳以上の一般人口では150/90mmHg未満、それ以下の年齢層は140/90mmHg未満とし、CKD/DMがある場合18歳以上では140/90mmHg未満と最近提案しています。問題点は同じJNC内でも意見がわかれていて、共著者らがここで賛成しない旨を表明したり、AHAにいったてはこのJNCのガイドラインを全く認識していません。KDIGOは基本140/90未満としていますがアルブミン尿がある場合は130/80未満としています。それだけ不確定要素があるのだと思います。
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降圧値のターゲットも重要ですが、どうやって血圧を測るかはとても重要です。オフィスか自宅か、ABPMか?ABPMがオフィスの血圧よりも心疾患リスクを予測できることがわかっていますが、ABPMはコストの問題もあり、現在はオフィスより自宅でも血圧測定値が心血管リスクをよく予想といわれています。

さて本題の治療抵抗性高血圧症ですが高血圧患者の5-10%程度がこれに分類されます。Resistant hypertension(RH)もしくは治療抵抗性高血圧症の定義は「利尿剤を含む降圧薬3剤以上を使用しても至適血圧に至らない」ことです。こういった患者にはどうやってアプローチをするべきか?

まず、偽性RHを除外することです。
1) 血圧が適切に測定されていない(着服測定やカフの大きさの不一致など)
2) 患者さんのAdherenceが悪い(10%以上はこれに当たるとされる)
3) 白衣高血圧
4) 不十分な薬量(複数の薬剤が投与されているが各々のドーズが不十分)

これらが除外できたら真のRHと考え治療を行う。

治療は以下の4項目を考える必要があります。
1) 生活習慣上、改善点はないか?
2) 血圧を上げる作用を持った薬を飲んでいないか?
3) RHをおこしうる2次性高血圧の要素はないか?
4) もっとも効果の高い降圧薬の組み合わせを使用していあるか?

次回はこのRHの治療方法とそれを裏付けるいくつかの臨床試験を紹介します。
TS
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