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日米比較:腎臓移植成績

日本での腎臓移植件数は2006年にやっと年間1000件を超えたが、アメリカの腎臓移植数は日本に比べて圧倒的に多い(日本:1302、米:16119. 2009年)。単純にアメリカの人口が日本の2倍強である事を考えても、やはり大きな違いである。内訳を見てみると、日本では9割近くが生体腎移植であるのに対して、アメリカでは生体腎移植と献腎(死体腎)移植が、約半数ずつである。最も異なる点は、日本は献腎(死体腎)移植のうち脳死の占める割合はわずか1割以下なのに対してアメリカでは逆に脳死が9割以上を占める点である。
また、献腎(死体腎)移植の待機時間が日本では15年と極端に長い。これは透析患者さんの5年生存率が60%であることを考えると、深刻な長さである。ただ、アメリカでもドナーは不足しており、以前に比べると待機期間は延びてきており、今では3~5年である。
周術期管理は日米共に外科が中心に行う。しかし、腎臓移植後は日本では外科がそのままフォローするのに対して、アメリカでは腎臓内科がフォローする。移植後は感染症や慢性腎臓病の管理が主体になり、しかも5年、10年といった長いスパンになることを考えると、腎臓内科がフォローするのが妥当だと思う。治療成績は両国ともに1年生着率(1年後に移植腎が機能している率)が約90%と良好ではある(日本:90.1%、米:92.5%)。

SRTR Annual Report 2009年
日本移植学会2010年
長浜 正彦
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